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最高の相棒、そして未来

明日と今日の二話連続投稿になります

 巨大な斧が空間を切り裂くような一撃に、地面が耐えきれずに爆ぜる。その巨体からは考えられないような速度と体重の乗ったその一撃。


 並の人間なら、肉塊となった事を認識するだけで終わるだろうその一撃。


 だが、観察眼を使う風斗はそれをいなす、避ける。当たれば一撃で死に至ると、打ち合った瞬間、本能がそう告げたからだ。フォルネウスは力で、風斗とサンドラはスピードで攻めていく。


 場に木霊する剣と斧と、ハンマーと爪がぶつかり合う音。剣戟が、森の中を駆け巡る。数時間にも思える集中力のほんの数分の撃ち合い。無限にも思えるその攻防の刹那の瞬間、僅かな差ではあるが、風斗の剣がフォルネウスの体を切りつけた。


「ふむ。」

「!? 」


 確かめるようなその様子と剣の手心の無さに、風斗は不気味な感覚を覚え、一旦距離をとる。後方に大きくノックバックをしながら、風斗は観察眼を使い相手の情報を見た。


 観察眼の能力の一つ、相手の固有技能を確認する。


「(物理と魔法半減の固有技能? そんなのありなのか)」


 風斗の目にぼんやりと映る相手のステータス。マナ保有量こそあまり無いが、特筆すべき物理と魔法の半減。風斗を軽く動揺させるには、十分すぎるその情報。


 ぼんやりとしたステータスが突然かき消され、前方でブンブンと頭を振るフォルネウス。


「情報を見たか。だが、二度はない。それに貴殿の剣には心が乗っていない」

「なに? 」


 返答のようにフォルネウスは距離を縮め、左手のハンマーを振りかぶる。体重の乗っていない軽く放つその攻撃を、風斗は剣で受け止めたが、軌道を逸らせず、もろにその体に鈍重な殺意が響き渡る。


「がはぁ......!?」

「貴殿、何か勘違いしていないか? 」


 押し返すように剣に力を入れるが、片手でサンドラを軽くいなしながら、フォルネウスは依然言葉を向ける。


「貴殿が成さないといけないことは、我を殺し、町を友を守ることだ。我の成すことは貴殿とその魔物を殺し、町を蹂躙することだ」


 そう言いながら、風斗はサンドラと共に蹴られ、体が吹き飛ぶ。空中でまう血を見ながら木に激突し、頭から流れる暖かい血を感じながら、フォルネウスがポポに近づくのを目に写す。


「先程の下劣な人間は、どんな手を使っても殺すが、貴殿のような人間に対しては、闘いの後に殺すと我は数億の魔物達の王として決めている。だが......」


 そう言いながら、風斗とサンドラを守るようにそびえ立つポポの腕を切り落とした。


「!? 」

「ぎゃああああああああ、ああああああウデがオデノウデガああああ!」


 壮絶な叫び声を上げながら、ポポがその場に倒れる。


「やる気がないなら、その場で死ね。それともこの魔物と町を蹂躙すれば、貴殿は剣を振るうか? 」

「貴様ァ! 」

「それとも、貴殿はまだ守るものが居るのか? その者達に教えよう。貴殿の友人が一人でこうして戦っていると、そうすれば貴殿も―」

「それ以上は、言うな......!」


 風斗の行動は守る為の行動だ。それは恩着せがましいと、彼女たちに伝わることを毛嫌いしている。それは大切な人たちの距離感が分からないから。


 風斗の中で何かが切れる音と、出血による冷静な中でやっと一つの問題が解かれる。


 風斗に瞳が紅く燃え上がり、マナが迸るように空中にその軌跡を残す。今まで以上にクリアに見える景色と瞳に宿る熱く迸る何かを触りながら、風斗は眼前の敵に向かい言葉を吐く。


「ああ、分かった。貴方のお陰だ、礼を言う。フォルネウス」


 風斗はゆっくりと流れる血を拭いながら、フォルネウスとポポに近づく。その様子に、フォルネウスは眺めるが、その巨大な斧を振るった。


「!?」


 風すら断ち切るようなそんな一撃を、フォルネウスは避けられる。いや、既にその攻撃が振られることを理解した動きに翻弄される。風斗は風纏でポポを安全な場所まで動かすと、悲痛な表情で謝罪を口にした。


「ごめん、ポポ。俺の甘えが君を傷つけた」

「あ、兄貴......」

「もう...大丈夫だから」


 風斗は着ていたローブをポポに被せる。治癒効果も付属されているそのローブ。そしてポポの目に映る、黒髪の少年。生温い風に髪をはためかせながら、剣を握るその腕に無数の青筋が浮かび上がる。


「オ、オデは腕が切り落とされても、ハエテくる......」


 オーガと呼ばれる魔物の固有技能。自己再生にも似た自己再生力。


「そっか、でもこれでもっと早くなるよ」


 風斗はゆっくりと、フォルネウスの方に目を向ける。その目は、殺意に染まり、自らの甘さを捨てた目だ。風斗は自身の瞳に軽く触れながら、誰に向けるわけでもなく、ゆっくりと言葉を吐く。


「やっとお前を理解した。前兆は何度かあったもんな。」


 風斗の前兆のあった観察眼。この街に来てから、あの少女も、このポポの状況すら映し出したその瞳。ありふれた技能でありながらも常に風斗を救っていた最強にして、最強の相棒。


「『()()()』。俺に力を貸してくれ」


 未来を見通すその瞳を認知した瞬間、熱されていた頭も、混濁したような思考も、その全てがクリアになる。


「重ねて、礼を言うフォルネウス。そして謝罪を。()()()()


 その言葉を待っていたかにように不敵に笑みを浮かべる魔人、フォルネウス。ゆっくりと腰を低くし、斧を肩に担ぎあげながら、相手の出方を伺うように言葉を待つ。


「貴方の考えなど知らないが、俺の友人にした事は許さない。魔人フォルネウス、俺らの邪魔をする、貴方を全力で()()


 紅蓮に染まるその瞳が空間に軌跡を残しながら、風斗の剣が再び振るわれた。


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