主要都市国家ルーゲン
柔らかな日差しと心地の良い風に吹かれながら揺れる木々、規則正しく配置されている街頭やしっかりと整備されている道の先にその都市は悠然と佇んでいた。
主要都市国家ルーゲン。面積およそ8000km、推定人口3400万人、ありとあらゆる魔法や歴史などの知識、様々な武術や剣術からなるその国家は全人口の8割を人で占めている。
人々は活気豊かに日常を謳歌していた。店は活気づいて人を呼び込み、あらゆるところで大道芸のようなものもやっている。
内容は魔法を模した見世物だが、花火のようなものが打ち上がったり、分身どうしで戦ってみせていたり、己の磨いた格闘術などを披露していたりと、なにかの祭りをやっているかのような賑わいだった。
「す、すごいですね...!」
道を歩きながら風斗は口をぽかんと開けていた。今までの人生の中でこんなに賑やかな街は見たことがないし、生き生きとした人たちを見るのも初めてだった。
「驚くのはまだ早いですよ?」
そうリシュが風斗に悪戯っぽく笑ってみせる。その笑顔はさながら満開の花のように可憐で美しく、周りを歩いていた通行人の男達が、今俺に笑いかけた!と言い争いを始め、その様子を周りの女性が冷めた目を宿しながらジト目をし、子どもはあどけないながらもその笑顔をじゃの所に向けていた。
かくゆう風斗も、発言が千鳥足になってしまうぐらいには目を奪われている。当のリシュ本人はあまり気にせず慣れた手つきで売店からなにか食べ物を買っていた。
その際も屋台のおっちゃんからなにかサービスを受けており、時折風斗の顔をチラチラ見ながら嫉妬混じりの視線を向けてくる。
風斗は不自然に目線を逸らすが逸らした先にも同じような視線が多いので、見る場所がなく仕方なく自分の金色に染まった髪の毛の先をいじって待つことにした。その間にもリシュは屋台のおっちゃんと話をしている。
風斗は生まれながらの日本人であり当然髪の毛は短髪の黒色、黒目、身長165cmの小柄な男子である。
生まれてこの方髪の毛を染めた経験もなく、目の色も今は緑色になっているがカラーコンタクトレンズを入れている訳では無い。なぜ色が変わっているかと言うとこの国の信仰に理由はある。
昔この地には黒の悪魔と銀色の魔女が対立していた。ふたつの強大な力により土地は痩せほそり、空は割れ、空気は汚染されておよそ人が住める環境ではなかった。
この状態では世界が崩れてしまうと思った神は大地の眷属ラミアスを遣わせその戦いを終わらせ、土地を生き返らせたと言われている。
そのラミアスの信仰が国の信仰となっている訳だが、どうやら銀色、黒色というのは不吉の色とされているらしくその色を体に宿した者は魔のものとなり世界を混沌に導くと云われている。
カリストが言うには信仰は内部に行くにつれて強まっていくらしく、今いる商業区や一般住民区の人間はさほど気にしていないらしい。
さらに黒髪や銀髪はわりと産まれてくることは多いらしくその時は着色魔法という風斗自身にもかけられている魔法で色を変えるらしい。
今までの事をルーゲンに入る前に説明されリシュの魔法で色を変えているということである。
国に入る前のことを思い出しているとリシュが帰ってきたらしい。両手に抱えるほどの食べ物や何やらをもって。
「ま、前が見えません!カリスト先生〜?風斗さん〜?どこですか〜?」
カリストや風斗から見ると食べ物や装飾品やらの塊が話しかけているようであり、二人は目を合わせ苦笑いを交わすと、リシュの事を助けに行くことにした。
その間もどんどんと荷物は追加されていく。その美しさもあるが気さくで話しやすく、穏やかな性格なのも人気な理由なのだろう。その人気の高さに内心感心しつつも、どんどんと積み上げれていく貢物に心底驚愕する風斗なのだった。
あまり進んでおらず説明が多いですが次でがっっと行きたいと思います。