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努力のステータス

風斗のステータスがようやく見られます。

それと連続一週間投稿最後の投稿となります。

感想などは活動報告で出しておきます。

「貴方が私のマスター?」


 その言葉に返答をどうしようかと迷っていると、その少女は首を傾げる。肩まで伸ばされた水色の髪の毛が揺れる。


「貴方が私を救ってくれた。だからマスター、違う?」


 質問の意図をが分からないと思ったのか、言葉を補足してきた。


 風斗とリシュは目を合わせ、一応確認を取る。


「えっと貴方のお名前は?」


「ごめんなさい、記憶がないから分かんない。機体番号は首の後ろに書いてあるけど...」


 そう言いうなじを見せてくる少女。確かにそこにはNo.0000と書かれている。


 もう一度風斗はリシュと目を合わせると、リシュは頷く。


「とりあえずそのマスター?っていうのはやめないかな。僕は春野風斗。隣に居るのはリシュ・アンベリール」


「リシュって呼んでください。」


 その返答を聞くと、朗らかな笑みを浮かべながらぺこりと頭を下げる。


「それでマスター」


「結局マスター呼びなんだね...」


 もう半ばあきらめ顔の風斗を置いて少女は話を続ける。


「私にも名前が欲しい。」


 少女は真剣な眼差しを風斗に向ける。名前をつけるなんて経験したことも無い。果ては相手は美少女。


 様々な単語や意味が頭の中で荒れ狂い、頭が痛くなり始めた頃一つの単語が脳裏をよぎる。


「フリー...ジアなんてどうかな?」


 その言葉に少女の目が軽く見開かれる。くすぐったいような嬉しいような、そんな表情を浮かべた。どうやら気に入ってくれたようだ。


「フリージア、ジアいい響き。じゃーマスターとリシュ、、、さん?これからジアって呼んで」


 その言葉に二人は返答する。


「リシュで構いませんよ。これからよろしくお願いしますジア。」


「僕のことは...まぁいっかこれからよろしくね、ジア。」


 崩れ欠けている教会の中、月明かりを浴びながら笑顔を咲かせる三人であった。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 左右で浮いていた機械と大きなランスを収納し、帰り道を歩く三人。ジアは手の上で水を球体のような形に留めながら、遊んでいた。


 それを見ながら風斗達は様々な話をする。今までの経緯や風斗が異世界来訪者だということや、学園でのリシュの姿など話せるだけ三人は話した。


 ジアが記憶喪失であるという事実や、滅びたとされるの機械人形である事を考慮し、風斗の秘密を打ち明ける形となる。


 楽しい帰り道を終え、三人はルーゲンのギルドに足を運ぶ。依頼達成の品とジアの通行手立てを作るために。


 星の灯りに照らされた大きなギルドに着くや否や、風斗を見つけた職員がとてつもない勢いで走ってきた。あの恰幅の良い女性職員だ。


 あまりの気迫に、今はない武器があった腰に手を添えてしまう風斗。


 目の前まで走ってくると、攻撃かと錯覚するような怒号が飛んできた。


「このバカ冒険者が!!!」


「!?」


 突然の暴言に疑問符をあげる風斗。だが待ったはかからず、まくし立てるように口は回り続ける。


「あんたらどんだけ心配したと思ってんの!近くの村でライカンスロープが出たって噂とあんたらの行った依頼が近くで、あんたらがなかなか帰ってこないからあたしゃ、もう...!」


 泣きじゃくるその女性に二人とも顔を合わせ、誠心誠意謝る事にした。


 おそらく数多くの冒険者の亡骸を見てきたのであろう。彼女たちギルド職員がどんな思いで送り出しているか、この対応で感じる。


 この職員だけではなく、実際に依頼を出していた職員や、その周りの職員もほっとしたような顔で一同を見ていた。


「そのすみませんでした。とりあえずただいまです。」


「全く、生きてりゃいんだよ。生きてさえいれば。」


 母親のように心配の言葉をかける女性職員に感謝の気持ちを伝える。


 騒動が少し落ち着いたのを見計らい、今回の出来事を話すのと同時に魔物達のコアを渡す風斗。


 その出来事に沈静化されていた周囲の反応は、火のように燃え上がってしまう結果となった。


 様々な質問や応答、果ては違う冒険者達に囲まれてしまうことになり、三人が解放されるのは日が登ろうとする朝方になってしまった。


 風斗は実績を称えられギルドランクCなり、受けれる依頼と職員の心配するような視線も増えた。


「ごめんねジア。こんな時間かかるとは。」


「別に大丈夫。これも貰ったし。」


 朝焼けを浴びるギルドから三人は抜けて、商業区を練り歩く。昼や夜の活気は今はなりを潜め、綺麗に舗装された道があるだけ。


 玩具を買ってもらったようにジアが通行手立てを持ち、はしゃいでいる。


 その姿にほっとしながら今後のジアの泊まる場所を考えていると、急にジアが立ち止まった。


 その様子にリシュも疑問符をあげている。


「これ、光ってる」


 手の先に遊ばせていた六角形の通行手立てが淡い光に包まれていた。


 風斗は驚きその様子を眺めるが、リシュは慣れたように見続けている。


 そして数分経つと六角形の通行手立ては姿を消し、一枚のカードが姿を表した。その姿にジアがジト目で繰り出す。


「これ、やだ」


 ジアの率直な感想が口から飛び出した。しょぼんとしながらカードをじろじろと見回すと、飽きたようにポケットにしまった。


「え、え、え、」


 動揺が攻め勝ち風斗が、リシュに助け舟を求めているとその様子に、にっこりとした笑みを浮かべながら解説を始める。


「私たちの持っている通行手立てはマナを直接流すことで姿が変わるんです。流すためには一定量のマナが必要なので、ここで冒険者になるか違う道を往くかを決める指標になるんです。」


 そう言いながらリシュも自らのカードを取り出す。初めて見たリシュの通行手立ても、ジアと同じようにカードの形態を持っていた。


「通行手立てと違って、今まで得た追加技能が詳細に書かれているんです。」


 なぜ教えてくれなかったのか、という疑問が風斗の中で立ち並んだが、ある程度の力がないとカード化にできない事実。


 さらに純粋に風斗には様々な道がこの世界では提示されており、ひとつのことに囚われて欲しくないとリシュが考えていたからではないか?という考えに至る。


 しかし風斗は手元の鞄から自分の通行手立てを取り出すとマナを込め始めた。やはり自分も、二人と一緒の物がいいと思っていたからだ。


「(確かに完全な無機質よりはマナが入り込む余地があるような気がする。初めて受け取った時には全く感じなかった感覚かも)」


 マナが吸われる感覚に陥りながら数分間同じ感覚でマナを流すと、風斗の通行手立てが光り出す。


 光が収まる頃には、リシュやジアのようなカードが一枚風斗の手の上にあった。


「なるほど。マナ操作が未熟ならこの姿にならない、だからある程度、冒険者の選別にも使えるんだ。」


 うんうんと頷くリシュと、風斗のカードをマジマジと見つめるジア。


「マスター、なんかカードにいっぱい書いてある」


「え?」


 確かめるように裏面を見ると確かに様々な技能が書いてあった。


「これは?」


 リシュが確認しながらゆっくりと説明を始める。


「これは追加技能といって通行手立てを作ったあとに獲得できる物です。固有技能と違って熟練度を上げることで、どんどん機能が上がっるんです。」


 風斗の表面には簡単な個人情報とギルドランクが、裏面には技能が以下の通りに書かれていた。


 =====================

 表面


 春野風斗 男性 16歳

 保有マナ総量 8万2309


 ・主要都市国家ルーゲン ギルドランクC


 裏面


 固有技能︰観察眼Lv7[遅延]+[拡大]+[マナ読み取り]


 獲得技能

 ・格闘熟練Lv3[身体向上]

 ・各武器熟練Lv3[剣能力向上]+[剣技能力向上]

 ・各魔法攻撃熟練Lv5[風魔法]+[雷魔法]

 ・魔法操作循環補正Lv4

 ・魔法構築効率化Lv6

 ・魔法イメージ力補正Lv3

 ・思考回路高速化Lv7

 ・縮地Lv1

 ・マナ受動Lv2

 ・空中歩行Lv1


 =====================


「これが僕の...能力?」


 ぽつりとこぼした言葉にリシュが反応を示す。


「はい!風斗さんがこの世界に来てからの努力の結果です。普通の人は半年間でここまでいきませんよ!」


「そっか...こうカードに書かれてると俄然やる気が出るね!」


 ですが、と付け加えるように話が続く。


「視覚化されるのは確かに楽ですけれども、あまり能力や技能に過信しすぎてもいけませんよ。」


「うん。分かってる、何が起こるかわからないからね」


 そう言いながらも頬が緩みっぱなしの風斗を見ながら、二人も嬉しいような気持ちが胸に弾ける。


 朝日を背に三人は家へと歩みを進める。ほのかに鼻に、涼しい風が掠めた。もう夏の終わりはそこまでやってきている。



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