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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

無題。

作者: 藍哀 蒼碧

数分クオリティの自己満な鬱

暗い部屋に紐がたれていた。

輪っかになるように結ばれ、天井からぶら下がっていた。

それを見て自分はこれから死ぬんだなと思った。ついに、本当に死ぬんだなと。


キッカケなんて簡単に生まれるものだ。一度に闇が自分を襲って来たり。今までにない衝撃を受けたり。

なんだっていい、なんだってキッカケになることができる。全て重なり、何もかも面倒になり、嫌になり、どうでも良くなる。

その度に思っていた、「死にたい」と。

しかし、いざ死ぬとなると足は動かないし、なかなか実行にうつれなかった。

そんな自分にも嫌気がさして、また同じ言葉を繰り返すんだ。


自分の周りには人がいた。でも、ずっと独りだったのではないか。そんなことを思いながら、椅子の上に足を乗せた。


なにも辛いことばかりじゃなかった。楽しいこともあった。友達と遊んだり、仲間と笑いあったり、恋をしたり。

でも今、積み上げてきた苦がとても簡単に、崩れてしまった。その崩れた苦がそんな思い出を、押しつぶした。

友達とはなんだったんだろう、仲間とは、恋とは。わからなくなってしまった。


大切な人もいなくなり、自分にはもう何も残っていない。紐を握り、ゆっくりと自分の首にかける。

やっぱり死ぬのは怖いな…でも、この世、人間のほうがよっぽど怖いものだ。

さようなら自分、さようならこの世界。

今まで自分の存在を許してくれててありがとう。自分をこんなにも苦しめ、楽しませてくれて…ありがとう。

未来を抱えた若い身体を紐に委ねる。

死ぬんだな。

椅子から足を離す。椅子は音を立てて倒れた。闇が自分を包んだ。


果たしてこれが、自分の望んだ事だったのだろうか…。自分はこんな簡単に死んでよかったのだろうか。

人生は後悔の連続だ。悔いのない人生など、この世にあるものか。いつも人間は後悔をするものだ。


自分がいなくともこの世は何事もなく動いて行くのだろう。誰もが自分を忘れ、人生を歩んでく。


実際に道を通らなければその道の構造がわからないように、人生もそんなもの。

先なんてわからない。もしかしたらこの状況から良い方へ進んでいくかもしれない。

でも、これで良かった。自分は自ら未来を捨てた。それが自分の選択なのだから。

後悔はしてないと言ったら嘘になるかもしれない。




さようなら、ありがとう、ごめんなさい。

此処で自分の未来は終わり。



それは力なく紐にぶら下がり揺れていた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 自殺の直面の心の葛藤、ていうのが伝わりました。 [一言] そこに至る経緯が、回想か何かあるとまた話が広くなって面白いかもしれません!自分は未熟者ですが、他の作品で参考になればよろしくお願い…
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