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獅子王と太陽の姫  作者: 咲良
第0章
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プロローグ

「セシーリア・ルルド・フェーブスと申します。」


大きな瞳を正面に向け、少女は初めて会うエストリア王に挨拶をした。




謁見の間の最奥には、一段上がったところに2つの玉座が並び、王と王妃が座っている。


王妃の隣には王太子と思われる少年が佇み、謁見の使者を興味深そうに見つめている。



この時、挨拶に訪れていたのは、イル族の長とひとりの少女。


今回の謁見の目的は、6つになったばかりの少女のお披露目であった。






エストリアは大陸の南西に位置する大国である。


東には山脈が連なり、鉱山資源が豊富に採掘されていた。


また、南は海に面しており、漁業や貿易が盛んだった。


宝石の加工技術が優れており、宝飾品を他国に輸出することで利益を上げていた。


そして、広大な国土を有し、国内の食料事情をほとんど自国で賄っていたため、大国の地位を維持し続けることができた。




イル族の村は、そのエストリアと西隣りの農業大国シュトラールに挟まれる場所に位置していた。


この村がどちらの国にも属さずに存続できたのは、イル族が優れた血をもつ民族であったからだ。




イル族は、身体能力が非常に高い。


幼い頃から武器の扱い方を学び、狩りをしながら生活する。


治癒力や免疫力も高く、けがをしてもすぐに治り、病気にかかることはほぼない。


ひとたび他の民族と争いになれば、容赦なく敵を排除し、誇り高き血を脈々と守り続けてきたのだった。




そして、それ以外にもう一つ。


イル族に共通していたのは、その髪と瞳の色である。




エストリアやシュトラールは、金色やプラチナの髪をもつ者が多い。


けれど、イル族は一様にブラウンの髪とブルーの瞳。


それゆえ、使者として訪れた二人の容姿は、謁見の間に居合わせた者たちの中にとっては珍しく、また異質であった。





使者の一人である長は、イル族の代表的な容姿をしていた。


けれど、もう一人の少女は、・・・。




イル族であるにもかかわらず、長とは異なる色を宿していた。


結い上げられた髪は、ダークオレンジ。


王を見つめる瞳は、エメラルドグリーン。




エストリアでも珍しい組み合わせの色は、謁見の間に居合わせた上位貴族や近衛兵達に少女を強く印象付けた。


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