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20.未知との遭遇

前話に引き続き、御門先生サイドからスタート~。


「というわけで、デートしませんか?」


 昼休み、ちょうど良く生徒達の指導をする当番から2人とも外れていたから、井橋先生をつかまえてデートをねだった。


「あ、えと・・・俺も、デートしたいなって、思ってて・・・」


 わ!なんか、すごく嬉しい!!


「ちなみに、どこか行きたいところとか、ありますか?」


「あ、その・・・実は」


 どうやら私を連れて行きたい場所があるらしい。井橋先生はつっかえつっかえ説明してくれる。


 その説明を噛み砕くと、イメチェンに一役買ったらしいブティックの店長に会わせたいっていうことだった。


 それ良い!だって、井橋先生に気付くきっかけをくれた人だし、私もお礼言いたい!


「行きましょう!!ぜひぜひ!」


「あ、じゃ、今日は会議ありますし・・・明日なら、大丈夫ですよね?」


「大丈夫です!!」


 というわけで、最初のデートの約束を取り決めた私は、ご機嫌でその日を終えた。


 そのデートで未知との遭遇をすることになるとは知らずに・・・。



***



「ここですかぁ・・・なんか、高そう・・・」


「うちの生徒達とか、その家族とかが御用達扱いする店ですからねぇ・・・ちょっとお高め、かな?・・・でもサービスは文句なしですし」


「ああ、なるほどー・・・」


「それに・・・あんまり、お金使わないじゃないですか・・・寮だと」


「激しく同意です・・・っていうか、よっぽどお金のかかる趣味でもない限り、常に黒字ですもんねぇ・・・」


 カツカツで暮らしてた学生時代が懐かしい・・・。


「研究費とか、消耗品費とか、ケチらないですからね・・・理事長」


「そうそう・・・大体のものが必要経費で買えちゃうっていうのが、さすが金持ち学校・・・」


「はは・・・」


 まぁ、パンピーの私達にはわからない苦労もあるんだろうけど。


 なんかさっきからテンションが高いっていう自覚はあるんだけど・・・どうも、止まんないのよね。初デートで浮かれてるっていえば浮かれてるんだけど。


 引かれてないかな?大丈夫かな?


 そう思いながら井橋先生を見て・・・すぐに視線を前に向けた。やばい、何アレ、ものすっごい破壊力なんですけど!


 こう、穏やかさの中に愛情がむちゃくちゃこもった視線と笑顔が!!ああっ、顔が熱いぃ!


「な、な、中に、は、入りましょ、ね?」


 とりあえず、ここで突っ立っていてもしょうがないからと促せば、井橋先生はこっくりと頷いた。


「そうですね。行きましょう」


 井橋先生の先導で店内に入ると、野太い声の歓声があがった。


「あらぁ!!!まぁああ!!」


 ・・・ん?


 なんか、おかしくない?


「ちょっと!しげみちゃんっ!!来てちょうだいよぉ!!」


「な~に?・・・んっまぁ!!井橋先生!その子が彼女~!?」


 ・・・あ、唐突に理解した。これは私が今までに会ったことのない人種だ。っていうか、ナマではじめて見た。


「井橋、せんせ・・・」


「あ、驚きましたよね・・・その、悪い人達じゃないんですよ?」


 ああ、井橋先生のフォローが入りましたー。


 まぁ、悪い人達じゃないのは親身になってくれたっていう井橋先生の話を聞いていたからわかるんだけど、これはインパクト大だわ。


 だって、黙って立ってれば、それなりにイケメン(井橋先生や最首先生には敵わないけど)の2人が・・・オネェ口調って・・・。


「やっぱり、初見(しょけん)は皆こういう反応なのよねぇ~。どうしてかしら~?」


「そうよぉ。オカマなんて、テレビでも当たり前に出てくる時代じゃないのぉ」


「・・・あ、違くて・・・」


 私は思わず否定してしまう。だって、オネェ口調なだけならこんなにびっくりしてないもん。


「違う~?何が~?」


 細マッチョオネェの方が首を傾げる。うう、なんか、迫力美形だわー・・・ってそうじゃなくて。


「その、オネェ口調とのギャップが・・・」


「ああ!そういうこと~!・・・女の格好してないでこの口調だからってことね~?」


「も、あるんですけど・・・お2人とも、男性として見るとカッコイイので、それとのギャップが・・・」


「あら~・・・なんだか、ほめられちゃったわ~」


「ここまでストレートに言われるとテレるわねぇ」


 あ、あわわ、距離感がわかんない~。どこまで言って良いのかなぁ???


 私がオロオロしているのがわかったのか、井橋先生がポンポンと肩を叩いてくれた。


「御門先生、落ち着いて」


「う、は、はいっ」


「あらやだぁ!彼氏彼女になったのに、まだ苗字呼びで、しかも敬称が先生ぃ?」


 はうっ!それ、一番気にしてるトコなのに!!


「いや、その・・・名前呼びはまだ、その、ハードルが高いです・・・」


 う。激しく同感・・・。


 いくらなんでも、すぐには呼び方は変えられない。っていうか、公私混同しそうで怖い。うう、これが恋愛初心者の弊害(へいがい)か・・・!


「あらぁ・・・いまどき珍しい純情っぷりねぇ・・・」


「いっそ、必要に(せま)られるまでそのスタンスでも良いわよね~」


 え?必要に迫られるって、な、何?何のこと!?


「必要って・・・ッ!!」


 わ~!井橋先生が真っ赤に!!え?井橋先生は今の意味がわかったの??


「あの、今の、どういう・・・」


「うふふ・・・それは後で井橋先生に聞いてちょうだいねぇ~?」


 ニタリと笑った顔も、たいそうイケメンでいらっしゃいました・・・。


 うう、気になるよぅ・・・。

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