19.ご報告
2人がそれぞれ、お世話になった人(達)へ報告に行きました・・・。
――side 景之
「というわけでですね、一応、お付き合いすることになりました」
「んっまぁ!よかったじゃないのぉ~!」
はい、大体わかっていただけただろうか?
俺は今、おねにーさん改め雪緒さんの所に来て、結果報告をしにきている。
いや、だって・・・お世話になったし。
「っていうかぁ、律儀よねぇ」
クスクスと笑う雪緒さん。
「お2人の助言には助けられましたから・・・」
「嬉しいこと言ってくれるわぁ、ねぇ?繁美ちゃん」
「ホント~、井橋センセってば、もうっ、惚れちゃいそ~!!」
えっ・・・。
お付き合いできるようになったって報告なのにな・・・。
俺の戸惑いが感じられたのだろう、繁美ちゃんは一瞬きょとんとして、それから大爆笑した。
「――ぶふっ・・・あはははははっ!!本気にしないでよ~ぅ!お付き合い始めたばっかりの井橋センセに言い寄るわけないじゃないの~!」
「・・・あ、すみません・・・どうも、こういったことには慣れてないもので・・・」
そう言って謝ると、繁美ちゃんは目を細めた。
「ふふっ、マジメね~。まぁ、そういうトコはポイント高いわよ!!せっかく彼女を捕まえたんだから、逃がしちゃダメよ!――あと、ここにも連れてらっしゃいね!」
「あ、はい、ぜひ」
御門先生にも彼(彼女)等を紹介したい。だって、彼(彼女)等がイメチェンを手伝ってくれたからこそ、御門先生に意識してもらえたんだし。
まぁ、それが仕事だって言われてしまえばそれまでだし、そもそもここを紹介してくれたのは藤吾先生で、連れて来てくれたのは久馬だ。
でも、それでも、紹介したいって思うのは、やっぱり彼(彼女)等が親身になって相談にのってくれたからだ。
うん、今度こそ、御門先生を誘ってみよう。
――side 詩織
「そう、おめでとう。というか・・・井橋先生の想いが報われてホッとしたわ」
美都先生の言葉に、胸がズキズキと痛む。
「・・・ほんっとに、申し訳なくて・・・」
「あ、ごめんなさい。詩織先生を責めてるんじゃないのよ?・・・ただ、本当にホッとしたの。せっかくお似合いなのに、もったいないじゃない?」
「――お、お似合い・・・」
お似合い・・・そっか、お似合いなんだぁ・・・。
ニヘっと、思わず緩みそうになる口元を押さえる。
「あらあら、幸せそうね、詩織先生」
クスクスと美都先生に笑われて、顔がカーッと熱くなる。
「うう、だって・・・初カレですよ、初カレ・・・しかも、好みのタイプどんぴしゃ・・・」
「そうよね、詩織先生も恋がしたかったんだものね。良かったわ」
ニコニコと笑う美都先生・・・ああ、ホント、癒しだわ。私もこんな風に人を癒せるようになりたいなぁ・・・。
「ええ、そりゃもう、需要と供給がお互い見事に・・・って、そうじゃなくてですね・・・その、お付き合いって、どんな風にしたら良いですか?・・・井橋先生ばっかりに頑張らせちゃうのも、なんとなくアレで・・・」
そうなのよ。お付き合い開始までも井橋先生はすごく頑張ったんだって久馬くんは言っていた。その間、私はただ受身でいただけ。
コレって良くないと思うわけで。
「詩織先生って、そういうところはきちんとしたいタイプなのね。でも、わかるわ、そういうの」
「そう・・・なんか、申し訳ないっていうか」
「うんうん、じゃあ、詩織先生からデートに誘ってみるとかどうかしら?井橋先生もどこまで踏み込んでいいかわからないだろうし、詩織先生からGOサインを出してあげないとね?」
そっか。そうよね。立場的に向こうが告白して、こっちがOKした立場だから、誘うにしても緊張するものよね・・・っていうか、こっちが誘うのも緊張するっ・・・!
「う・・・わ、私も、緊張する・・・」
「あらあら・・・」
「で、でも・・・井橋先生だって、すっごい頑張ったんだし・・・私も、が、頑張る・・・!」
「うふふ、可愛い・・・頑張ってね?詩織先生」
うう・・・美都先生が楽しそう・・・。
でも、井橋先生とデート・・・うん、やっぱり、カレカノらしいこと、やってみたい。
思い立ったら吉日って言うし、井橋先生の予定を聞いてみなくちゃ!




