17.答えを
久々の更新です。
「あ・・・」
「ご、ごごご、ごめんなさいっ、その、突然ドアが開いたから・・・」
「いえ・・・その、こちらこそノックもせず、すみません・・・」
あ、なんか、心臓がズキズキする。
あからさまに離れられたのがちょっと傷ついた・・・。
「あーもーっ!じれったいなぁ!!俺、こういうの本気で嫌なんだよね!!」
久馬がそう言って叫ぶと、にゃんこ達がビクゥッと反応して動きを止めた。
瞳孔を細くしてこちらを見ているので、そうとう驚いたんだろう。
あーぁ・・・大きな声を出すから・・・。
「久馬・・・」
「あちゃぁ・・・しばらくビビられるかも・・・もう!井橋先生としーちゃんのせいだかんね~」
「ご、ごめん・・・」
「えと、ごめんなさい・・・」
なんとなく言いがかりな気もするけれど、俺と御門先生がうまくいくように奔走してくれている久馬に対してそんなことを言えるわけもなく、2人揃って頭を下げた。
「まぁ、まだ始業までには時間あるし?・・・ちゃんと話したら?」
久馬・・・やっぱり、お前をキューピッドと呼んでも良いだろうか?
***
そんなこんなで、にゃん国部屋から追い出された俺達は、人気のない廊下で横に並びつつ、お互いに牽制しあっていた。
いや、これから戦うとかじゃないから。
確かに、戦うような気持ちではあるんだけど、それは自己防衛って意味であって、御門先生を傷つけようとかそんなことは一切考えていないのであって・・・。
ああ、心が千々に乱れるってこういうことを言うのだろうか。動揺して、自分が何を考えているのかわからない。俺、絶対に冷静じゃないよな?
「あ、あの」
「ひゃいっ!!」
―――なにそれ可愛い。
ああ、ダメだ。デレっと鼻の下が伸びてたらどうしよう?
でも、御門先生も声がひっくり返るほど緊張しているのかと思ったら、なんだか気持ちが落ち着いてきた。
「―――久馬のお節介に乗ってみようと思ってます・・・昨日の今日でこんなことを訊くのは、御門先生を追い込むようで心苦しいのですが・・・答えを、ください」
こんな気持ちのままじゃ、きっとお互いに仕事に影響が出るだろうし、斬るならバッサリお願いしますって感じだ。
「―――うう(こういう時、男らしいとか・・・くぅ、卑怯だ~!)」
うんうんと御門先生が唸るのだが、何を言っているのかよく聞こえない。
「あの、すみません・・・もう一回・・・」
「―――罪悪感で押しつぶされそうなのに!なんでそんなに私のタイプにドンピシャなんですか!!卑怯です!!」
え、ええええ?!ひ、卑怯って、卑怯って・・・!!
「え、えと・・・その、す、すみません」
「なんで謝るんですか!!言いがかりでしょ!?」
ええええ!?逆ギレ!?
「あ、その・・・なんとなく?」
「流されまくりじゃないですか!!・・・私、ずっと、井橋先生のことを無視してたようなものなんですよ!!なのに、なのにっ」
ああ、そっか。御門先生は・・・俺に悪いって思ってくれてるんだなぁ・・・。
だから、いくらタイプだとしても、同情からくる“好き”かもしれない状態で告白の答えを出したくないのかぁ・・・。
思わず納得してしまって、俺は何も言えなくなってしまった。




