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メルディウス祝福祭開催

お祭りかぁ…どんな感じなのかしら!―――リアーナ




今回はリアーナ視点です。

目の前に見えてきたのはとても賑やかな村。



「わぁ…すごい!」



祝福祭の準備をしていると聞いていたけどみんな楽しそうに作業している。



セリオンさんやアルミナさんには言ってないけど私はある事情でアーデル村に来た。



「な!すごいだろ?俺が村を出てる間にこんなに準備が進んでるとは思わなかったけどな」



「はい。とても賑やかで祝福祭が楽しみです!」



本当は祝福祭が目当てで来たわけではないけど事実、私の心は躍っていた。



「では…私はそろそろ行きますので」



「えっ!アルミナさん今年は祝福祭に出ないのか?」



「いえ、明日の祝福祭にはまた来るつもりですよ。一度、教会に戻って先程の件を大司教様にご報告しなければならないのですよ」



そう言うとアルミナさんは天馬に乗って去っていった。



余談になるけどあの天馬はエリザベスと言うらしい。



アルミナさんが去っていくと同時に可愛らしい女の子が走ってきた。



「セリオーン!遅かったから心配したのよ!」



「悪い悪い!ちょっと手間取っちゃってな。で、これが御札な」



セリオンさんは先程、アルミナさんから受け取った御札を女の子に渡した。



「で…その人だれなの?」



と、こちらを見る女の子。



どことなく怒ってる?



けど私への怒りというよりセリオンさんに怒ってるみたい。



「ああ、この子はリアーナ。教会に行く時に助けもらったんだ」



「そうなんだ。初めましてリアーナさん。サラっていいます。セリオンを助けてくれてありがとうございます」



「いえいえ!こちらこそアーデル村まで案内までしてもらいましたから」



その後、祝福祭の事など話したりしてひとまずセリオンさんの家に行くことになった。



サラさんは家の方で準備があるらしく途中で別れた―――「テルモ爺ちゃんはまだ外か…。大したもてなしは出来ないけどゆっくりしてってくれ」


「はい。ありがとうございます」



私はセリオンさんが煎れてくれたお茶を飲んで一息ついていた。



「うーん…会ったときから思ったんだけどさ…敬語やめてくれないか?あと名前にさん付けも。ちょっと敬語だと慣れないんだよな」



「え?あ、うん。わかった。で、祝福祭って明日なの?」



「そうだよ。もしかして調べてなかったのか?」



「え!?えーと、祝福祭の事を知って急ぎで来たから調べる時間がなかったの」



我ながら苦しい言い訳をしてしまった。



「そうなのか?それじゃあ仕方ないな。そういえばリアーナはどこから来たんだ?」



良かった、気にしてないみたい。



「私はシルリア皇国から来たの」



「へぇー首都か!一度、行ってみたいな。首都って魔法だらけなんだろ?」



セリオンは凄いはしゃいでる。



よっぽど魔法に縁がないんだろう。



「そうね。首都だけじゃなく近隣の村でも魔導器をどの家でも使ってるのよ」



「魔導器か…魔導器ってアルミナさんがしてたネックレスとかリアーナがしてるブレスレットの事だろ?」



「そうよ。これも魔導器の一種ね」



そう言ってブレスレットをセリオンに見せた。



「こういう装飾品以外にも家庭では火を出したり食料を冷やしたりする魔導器もあるの」



「そうなのか。食料を冷やせれば腐らないもんな。それって簡単に造れるのか?」



「いいえ。魔導器には核となる物が必要なのよ。例えば聖石や魔石とかね。家庭で使うような物だとちょっとした魔力が籠もった物でいいんだけど、私のブレスレットの用に身につけた人に不思議な力や高い身体能力を授けてくれる物は聖石や魔石を核に使わないとダメね」



「てことはリアーナが魔法を使えるのも魔導器のおかげなのか?」



「簡単に考えるとそうね。けど魔導器と人間にも適性があって私みたいに治癒魔法を使える人もいれば身体能力を上げるのに特化した人もいる。まぁ世の中には魔導器を使わないでも魔法を使える人もいるみたいだけどね」



「賢者オダインとかか?」



「ええ。バルハラ戦役時代は魔導器なんてなかったしね」



「そうなんだ。…けど聖石や魔石がないと作れないのか……そうだ!ちょっと待っててくれ」



そういうとセリオンは二階に走っていった。



あんなに慌ててどうしたんだろう?



戻ってきたセリオンは机の上に箱を置いた。



「これなんかどうだ?両親が俺に残した物らしいんだけど」



セリオンが箱から出したのは白く透き通った石だった。



「これは間違いなく聖石ね!これなら魔導器職人に頼めば作れるわよ」



「そっか!やったぜ。もし首都に行ったら作ってもらおう!」



セリオンは凄い喜んでいる…けど。



「セリオン…聖石を魔導器に加工するのは非常にお金がかかるのよ?」



「そうなのか…。まぁいつかできたらいいな!」



「そうね。それに聖石から作った魔導器じゃなくても幾らかは身体能力の向上にはなるわよ?城の一般兵士とかはみんな小さな魔石から作った魔導器を使っているのよ」



「そうなのか…。色々と教えてくれてありがとな!」



その後、アーデル村の事やセリオンの事などの話で盛り上がった―――話に夢中になっていたせいか日もだいぶ落ちてきた



「もうこんな時間なのね…宿を探さなきゃ」



私はそう言って席を立った。



「この村に宿屋なんてないぞ?観光地ってわけでもないからな。だから祝福祭に来る人はみんな当日に村に来るんだぜ」



そ、そんな…もしかして野宿なの…!



「もし良かったらうちに泊まっていけよ。助けてもらった礼もしたいし部屋もあるしな」



神は私を見捨てなかったのね!



「ありがとう!お言葉に甘えさせてもらうわね」



ガチャッ。



扉が開いて入ってきたのはお爺さんだった。



この人がテルモさんかしら?



「あっ!爺ちゃんおかえり。この子が一泊するけどいいかな?助けてもらった礼がしたいし」



「話はサラちゃんから聞いたぞ。リアーナさんと言ったか…セリオンを助けていただいてありがとう。何もない所ですがゆっくりしていって下さい」



「はい!お世話になります」



「祝福祭を目当てで来られたんでしょう?明日はセリオンに案内させるので楽しんでください」



「爺ちゃん!俺、御輿運びじゃなかったか?」



「それはワシがなんとかしとくから大丈夫だ」



その後、私は夕飯をご馳走になりお風呂に入った後、疲れていたのかすぐに寝てしまった―――祝福祭当日―――



私は待ちきれなかったのか早くに起きた。



一通り、身だしなみを整え終わるとコンコンと扉がノックされた。



「リアーナ。起きてるか?」



「ええ!いま行くわ」



一階に降りると朝食のいい匂いがした。



「リアーナさん。昨日は良く眠れましたか?」



「おはようございますテルモさん。おかげさまでグッスリ眠れました」



「そうですか。それは良かった。では朝食を食べましょう」



朝食の時間は料理がとても美味しく、テルモさんやセリオンが色んな話をしてくれて楽しい時間を過ごした。



楽しい朝食なんて子供の時以来…。



なんてお祭りの日に変な事考えちゃった!―――




朝食を食べ終わり外に出てセリオンに村を一通り案内してもらった。



アーデル村は魔法を使わないけどみんな活き活きとしていてとてもいい村だと思った。



「祝福祭までにはまだ時間があるな…そうだ!アルミナさんを迎えに村の入り口まで行こう。いいかな?」



「ええ、大丈夫よ。ふふ、案内役はあなたなんだから任せるわ」



入り口に向かうと丁度アルミナさんが着いた所だった。



「セリオンにリアーナさん。迎えに来てくれたのですか?」



「うん!そろそろ来る頃だと思ってな。そうだ、飲み物持ってくるから二人ともここにいてくれ」



そう言ってセリオンは走っていった。



…無言。



セリオンがいないと会話が続かない…。



「そ、そういえばアルミナさんはアーデル村の出身なんですか?」



「そうですよリアーナさん。5年前に教会に入るまではここに住んでいたのですよ。だからここは私の大事な故郷なのですよ」



「そうなんですか。好きなんですねアーデル村が。…あ、あと気になってた事があるんですけど…私の事は呼び捨てでいいですよ?私のほうが年下なんですから」



「そうですか。ではリアーナと呼ばせていただきますね」



「おーい!待たせたな」



セリオンがコップを持って戻ってきた。



「遅いよセリオン?」


「そうですよ。私はともかくリアーナを待たせるとは何事ですか朴念仁」



「お前らいつの間に仲良くなったんだよ…!」



後からやってきたサラさんも交えて談笑していると。



「メルディウス祝福祭の始まりだぞー!」



と聞こえてきた。



「いよいよ始まりだな!よーし今年は仕事ないから楽しむぞ~!」



「セリオン!リアーナさんの案内を忘れちゃダメだからね!」



「わかってるよサラ!けどワクワクしちゃってさ!」



「もう…!リアーナさん、アルミナさん。セリオンをお願いしますね。私はお手伝いがあるので」



サラはそう言うと手を振って家に入っていった。



「よし、じゃあ行くぞ!」―――








「あー楽しかったぜ!」



「うん!特に綿あめっていうお菓子美味しかったわね」



「クマ人形…やりました。」



祝福祭はとても楽しかった。



セリオンが食べ過ぎでダウンしたり綿あめっていう不思議なお菓子があったりアルミナさんは射的で落としたクマ人形を大事に持っていたり。



あと御輿を持って山を登っていくのは迫力があったし最後にはサラが一年の幸せを願う舞を踊っていたけど綺麗だったなぁ。



私は大満足で祝福祭を終えたのだった。



その後、私はセリオンの家にもう一泊させてもらうことになった。



アルミナさんは実家に帰ったみたい。



明日からは私の本当の用を済ませなきゃ。



事件が起きたのは翌朝だった。

「アルミナ講座~!」



「相変わらずテンション高いな」



「クマ人形を手に入れたからに決まってるではないですか。そんな事もわからないのですか?」



「アルミナさんがわからない!」



「二回目の今回は魔導器についてです」



「今、ホットなネタじゃん!」



「一昔前からホットなネタではあったんですけれどね…」



「「…………」」



「…ゴホン。本編の方でリアーナが大部分を説明してくれたので少し補足程度にお話しましょう」



「まず、魔導器を装備すると不思議な力が使えるようになるのは覚えていますね?」



「ああ。けど魔石程度じゃ身体能力を上げる程度なんだろ?」



「はい。しかし聖石を使ったものや同じレベルの核を使った魔導器を使うと魔法やそれに準ずる能力を手に入れることができます」



「で、能力は魔導器との相性で決まるんだったよな」



「はい。その通りです。そして能力にはそれに応じた名前…真名がつけられます。大きな力を使うときはこの真名を言葉にする事で使えるようになります」



「てことは前にアルミナさんがグールを倒した時は違うのか?」



「ええ。魔導器の一般能力の使用には真名は必要ありません」



「へぇー。で、アルミナさんの能力名は?」



「嫌です。教えません。セクハラですか?」



「なんでセクハラなんだよ。ちょっと聞いただけなのに」




「それだけ真名は必要な物なのですよ。では、また次のアルミナ講座で会いましょう」

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