裏社会のコネ
【悪魔も聖書を引用できる——】
衝撃のラスト!
あなたはきっと騙される!!
「拓海様、どうかなさいましたか?」
屋敷に戻るなり、沢尻に声をかけられた。どうやら、かなり思いつめた顔をしていたようだ。
「いや、麗子の体調が心配でさ」
とっさに口にした言葉に、沢尻はさも納得したようにうなずいた。
「確かに、お嬢様のことは私も心配しております。ですが、他にご心配事があれば、ぜひ私にご相談ください」
「ありがとう。そのときは相談させてもらうよ」
立ち去ろうとするが、沢尻はささやくような声でさらに続けた。
「実は私、裏社会のほうに少々コネがありまして」
「え!?」
拓海は思わず驚きの声を上げてしまう。
得意げな顔で沢尻は話を続けた。
「先代の当主——お嬢様のお父上のことですが、あの方には立場上いろいろありましてね。ここだけの話、私が汚れ仕事を任されていたんです。それで、そのときのつながりが今でも残っていまして」
「そ、そうなんだ……」
「ですから、拓海様も遠慮せず私を頼ってください。トラブルの芽は早めに摘んでおくのが賢明ですから」
その口ぶりは、まるでリョウとの一件を知っているかのようだ。もちろんそんなはずはないだろうが、彼にはすべてを見透かされているような気がして落ち着かない気分になる。佐藤との企みまで知ってるのではないかと勘繰ってしまうほどだ。
「では、私はこれで」
沢尻は冷笑を浮かべて去っていった。
拓海は彼の背中を不安な気持ちで見つめながらも、リョウの件で彼の力を頼りたくなった。しかし、彼女のことを相談すれば、それが麗子に伝わるおそれもある。沢尻は口が堅そうに見えたが、当然ながら麗子を優先して忠義を尽くすだろう。したがって、今回の件で彼に頼るのは得策とは思えなかった。やはり、自分でどうにかするしかなさそうだ。
リョウに脅迫されていることは美穂には伝えていない。言えば、責任を感じて落ち込むのは目に見えていたからだ。ただし、今後は計画が終わるまで、美穂とは会わないつもりでいた。軽率な行為を重ねて、これ以上余計な問題を増やすわけにはいかない。
「だが、ぼくは彼女なしで、最後まで耐えられるだろうか……」
拓海は今後を思い、憂うつな気持ちになった。
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