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【猟奇的サイコスリラー】イミテーション  作者: てっぺーさま
第四章 闇堕ちする男

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39/59

黒装 ②

【悪魔も聖書を引用できる——】


衝撃のラスト!

あなたはきっと騙される!!

「今日のたっくん、何だかすごい……」

 美穂は胸を大きく上下させながら声を震わせた。乳房の谷間に浮かぶ大粒の汗が、彼女の興奮を物語っている。目はぼんやりと潤み、いまだ官能の余韻に浸っているようだ。

 拓海が額に優しく口づけすると、彼女は目を細めてさらにうっとりとした表情を浮かべた。

「しばらく会えなくなるから、今のうちに愛し合っておかないとね」

 すでに三度、彼女の身体を求めていた。三度目はほとんど精液も出なかったが、今夜はさらに彼女を求めるつもりだった。

 美穂が寂しげな目を向けてくる。

「あたし、たっくんなしで耐えられるかな……」

「だいじょうぶだよ。こうしておけば——」

 拓海は美穂の手をつかみ、彼女の指先を口に含んだ。美穂が恥ずかしそうに目を細める。

 唾液に濡れた彼女の手をかざし、拓海は言った。

「この手をぼくの右手だと思って慰めたらいい」

「うん。そうする」

 拓海は仰向けになり、天井を見つめた。三度の行為で全身に心地よい疲労感が広がっていた。麗子とのセックスではこうはいかない。性欲は発散できても、愛のないセックスは何とも味気ないものだ。

 拓海はふと、隣の部屋が妙に静かなことに気づく。

「そういえば、〝口笛〟の声が聞こえてこないな」

 美穂が目を輝かせて答えた。

「そうなの! 言うの忘れてたけど、最近あいつ、引っ越したみたいなの」

「おお、それはよかった」

 拓海は自分のことのように喜んだ。

 一年ほど前に入居してきた隣人は、深夜だろうとお構いなしに電話でまくし立てる中国人の男だった。まるで喧嘩でもしているかのような騒々しい中国語に、拓海は何度も閉口させられた。深夜の電話だけでも苛立つのに、それが理解不能の言語となればなおさらだ。美穂はトラブルを恐れて注意できずにいたが、以前の部屋でも隣人の騒音に悩まされており、「隣人運がない」といつも嘆いていた。

 その中国人の男は電話以外でも無駄にうるさかった。部屋中をドカドカ音を立てて歩き回り、戸棚の開け閉めにも乱暴な音を立てた。さらに、ベランダの窓を開け放って口笛を吹き、こちらの神経を逆撫でした。

 いつからか拓海と美穂は、彼のことを〝口笛〟と呼ぶようになっていたが、そんな厄介者がようやく引っ越したのだ。彼女が喜ぶのも当然だった。

 美穂が顔を寄せてきた。

「どのくらい会えなくなるの?」

「まだわからない。しばらく様子を見るしかないよ」

「そう……」

「あと、万が一のことも考えて、LINEでの連絡も控えよう。何かの拍子に君からのメッセージを見られるおそれもあるから」

 美穂が露骨に不満げな顔をしたのを見て、拓海は胸を痛めた。気持ちは痛いほどわかった。会えないだけでも辛いのに、その上LINEまで制限されては寂しさを紛らわす術がない。それでも、ここは非情になるしかなかった。明確な線引きをして臨まなければ足元をすくわれかねない。なぜなら、これから金のために、殺人に手を染めようとしているのだから——。

「美穂、これだけは信じてほしい。しばらく会えなくなるけど、ぼくの心はいつも君といっしょだ。ぼくはいつだって、君のことばかり考えているんだから。だから、少しだけ我慢してほしい。この計画がうまくいけば、今よりも幸せになれるんだから」

「うん、そうだね」

「計画が成功して大金が手に入ったら、無理して働く必要もなくなる。二人で自由気ままに暮らせるんだ。何なら日本にこだわらなくったっていい。外国の田舎町で、二人でのんびり暮らすってのもありだ」

「ならあたし、オーストラリアがいいな」

「なんで?」

「コアラとかいて、なんか平和そうなイメージがあるから」

「なるほど。ハワイとかはどう?」

「あ、ハワイもいいかも! オアフ島って、パワースポットがいっぱいあるんだって」

「パワースポットか」

「二人で癒されたいね」

「ああ、必ず行こう。二人でハワイに」

 気分が高ぶってきた拓海は、身体を起こして美穂に覆いかぶさっていく。

「え、たっくん、四回目だよ!?」

 美穂が驚いて目を丸くする。

 拓海は彼女の胸を鷲づかみにしながら言った。

「さっきも言ったろ? 今夜は時間の許す限り、愛し続けるよ」

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