予想外の反応③
【悪魔も聖書を引用できる——】
衝撃のラスト!
あなたはきっと騙される!!
「……ここは?」
タクシーを降りるなり、拓海は問いかけた。
目の前には、鉄製の柵でできた巨大な門がそびえていた。その高さは三メートルほどもあり、簡単には乗り越えられそうもない。左右の石柱には監視カメラが設置されており、厳重な警備が施されているのが一目でわかる。
薄暗がりの中、拓海は門の向こう側に目を向ける。手入れの行き届いた庭木が整然と並び、その奥には堂々とした洋館が鎮座していた。
「……麗子、ここは?」
拓海の問いに、麗子は気まずそうな顔で答えた。
「……ここ、わたしんちなの」
「え!?」
拓海は目を見開いて麗子を凝視した。
「実は、ただのOLっていうのも嘘で……」
麗子はそう言って、バツが悪そうにうつむいた。
「じゃあ、さっきのマンションは?」
「あれは知り合いのものなの。海外に住んでいる間、わたしが鍵を預かってて……」
拓海は努めて優しい口調で問いかける。
「麗子、どうして今まで嘘をついてたんだ?」
しばしの沈黙のあと、やがて麗子は静かに口を開いた。
「嘘をつくのが悪いことだって、もちろんわかってるの。でも、過去にお金目当てで近づいてきた人がいて……。それも一人や二人じゃない。そのせいで、男性に対して不信感を抱くようになってしまって。それであんなことを……。いろいろごめんなさい」
麗子はうつむいて肩を震わせる。拓海はそっとその肩に手を置いた。
「いや、いいんだ。その気持ち、わかる気がするから」
「本当?」
「ああ。君は〝お金持ち〟っていう肩書きのせいで、ありのままの自分を見てもらえないことに不安を感じていたんだろ?」
「ええ、そうなの」
「なら、ぼくはその逆だ」
「逆?」
「そう、真逆だね。ぼくが売れない役者だと知ったとたん、多くの女性がぼくから離れていった。肩書きだけで幻滅されたんだ。どんな肩書きであろうと、ぼくはぼくでしかないのに……」
「拓海さん……」
「でも今にして思えば、女性側に非はなかったんだと思う。そりゃそうだよね。だってぼくみたいな売れない役者なんて、将来性ゼロなんだからさ。とくに結婚を意識した女性にとっては、不良物件みたいなもんだし……」
拓海が自嘲気味に語ると、麗子は少し怒ったように言った。
「そんな風に自分を卑下するのはやめて。わたしは信じてる、拓海さんの可能性を」
「ありがとう……。でも、さっきの言葉は撤回させてもらうよ」
「え? さっきの言葉って、もしかして——」
「そう。結婚の話さ」
「なぜ!?」
拓海は小さく肩をすくめてから言葉を続けた。
「君とぼくとでは、立場が違いすぎる。こんなとこに住んでる君とは釣り合わない」
麗子が憤ったように声を上げた。
「だから言ったでしょ、自分を悪く言わないでって! わたしは、あなたの肩書きなんて気にしない。ありのままのあなたが好きなの」
「麗子……」
「ね、お願い。わたしにあなたの夢を応援させて」
拓海は、麗子の瞳をじっと見つめて問いかける。
「本当にいいのかい? こんなぼくで」
「いいのよ! そんなあなただからこそ、いいんじゃない!」
麗子の上げた声が周囲に響き渡る。
拓海は彼女の真剣な視線を受け止めると、改めて言った。
「わかった。ならもう一度、ちゃんと言わせてもらう。麗子、ぼくと結婚してほしい」
「ええ、喜んで!」
仕切り直しのプロポーズに、麗子が笑顔で応えた。
しばらくの間、互いの想いを確かめるように見つめ合う。通行人がちらりと視線を向けてきたが、拓海は気にせず麗子を抱き寄せた。
耳元で、麗子がそっとささやきかけてくる。
「拓海さん、これからは役者一本でがんばってほしいの。だから、アルバイトは全部辞めてちょうだい。生活費は、わたしが負担するから」
「いや、そんなわけには……」
「いいの。パパが残したお金があるから、あなた一人を支えるくらいどうってことない。それより、わたしのためにも夢を追いかけてちょうだい」
「本当にいいのかい?」
「ええ、もちろん」
「……麗子、ありがとう」
拓海は、再び麗子をきつく抱きしめた。
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