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モブリーナシリーズ

陰謀を阻止しようと罠をかけたら、ドアマットヒロインがかかった

作者: ひよこ1号

一度寝ぼけていたのかデータを消してしまって書き直したのです。

くうぅう!8000文字がぁ!

戦争が終わり、戦後処理も終わり、いつか大公になる予定の土地は、今はザイード帝国から派遣された騎士が護り、宰相直下の政務官が代理で治めているらしい。


と、私は聞いています。

そんな私はモブリーナです。

皆様ごきげんよろしゅう。


今わたくしはですね。

お父様と絶賛討論中。

もう五歳になったらさあ、国外に行っても良くない?

って事を延々と。

父は皇帝だから、帝国を離れられない。

離れるとしても周囲の国に行くくらい。

でもそれでも、大国の長だからさ、相手から来いってなるよね、うん。

ほいほい自分から行くと侮られちゃうもんね。

結婚式とか、お祝い事とかそういうので行くくらい。


でも、私が行きたいのは別の所。

何と!

何とですよ!

この世界には獣人がいて、獣人国があるというのです。

どんどんぱふー!

モフモフですよ。

モフモフと人間の合体って、どれだけ罪深いのっ!

って思うんだけど。

父が許してくれない。


「モブリーナよ!何が不満なのだ?申してみよ!」

「別に不満じゃないです。だけど、生で彼らの生活を見たいんです。奴隷とか無理矢理連れて来た人を眺めるのは嫌です。そんな可哀想な事するのは駄目ですよ」


だが、皇帝である父はむむむ、と眉間に皺を寄せる。

彼には分からないんだよね。

だって、何でも手に入るし(お母様以外は)

何でも自由になるんだもの(お母様以外は)


ああ、私の血って、お母様譲りだと思われてるね、絶対。

別に放浪したいとか、一か所に留まっていたくない、とかじゃないんだけどな。

ただ、前世で気になっていたあれこれを見たいだけ。

もちろん、最前列かぶりつきでよ!


「だからといって、そんな遠くに、お前を……くっ!」

「すぐ戻ってきますって言ってるのに。十日の旅で獣人国に行き、一週間過ごして、十日の旅で戻ってきます。ほら、一か月程度でしょう、お父様」

「そんな!そんな!二十七日間も離れるなんて!!」


あっ、こいつ刻んできやがった。

一日だって離れるものかって執念を感じるわ。

分からないでもないけど、今まだ四歳だし。

でも絶対揉めるって思ったから、早目に言っておいて良かったわ。


「でも、前に言ったじゃないですか。何でも褒美を取らそうって」

「……言ったな」


目が泳いでるよ!


「それでわたくし申し上げましたよね。私が何かしたい時は邪魔しないでくださいって」

「……そんな事を言った、かな……?」


おい、健忘症か!?

往生際の悪い!


「じゃあもう、わたくしもお父様の言う事は聞きませんよ。カザレス皇帝との会談をリヒテンシュタール大公領で行う時、お父様と二十日の旅ですけど、やめますね」

「えっ?約束したのに!?」

「お父様が約束を守ってくれないなら行きませんし、今色々やってる色々をぜーんぶやらない」


玉座にふんぞり返っていたお父様は、私がぺたんと座っている玉座の脇の、絨毯が敷いてある階段まで下りて来た。


「その様な事を言うでない、私の可愛い天道虫よ!」


いや、それ、虫じゃん。

相変わらず呼び方豊富だな!


「先に約束を破ったのはお父様です。旅は危険だから?お城から出れないので、お父様と旅行楽しみだったけど、残念ですわーあーあーーー」

「私が悪かった!共に旅に出ようぞ!」

「……獣人国の旅は?」

「…………ゅるす……」


めちゃくちゃ消極的だったけど、言質はとったぞ!

だから、抱きついて頬ずりした。


「お父様ありがとう、大好き」

「ああ、私もだ!モブリーナ!私の愛しいくまちゃんや!」


今度はくまか。

もっと可愛いもの他にあるでしょうに。



ともかく、私は父との約束を手に入れたので、本格的に勉強を始めた。

カザレス帝国の地理と言語。

大陸の二大勢力は西にザイード帝国、東にカザレス帝国がある。

両者が戦っていた平原はその中間地点にあった。

その場所を含む、カザレス帝国の半分が今回私の領地となったのです。

亡くなった方々の冥福を祈り、鎮魂の為に後できちんと戦争はいけないよって石碑でも建てよう。

地理的にはザイード帝国と大差なく、比較的寒暖差の少ない土地。

北にオーレンス王国とミルッセン公国が面している。

このミルッセン公国は元はと言えば、カザレス帝国のミルッセン公爵領だったものが、独立した形。

何故かといえば、そう……皇子による婚約破棄に端を発している。

時の皇子が公爵令嬢相手にやらかした結果、独立されてしまったって訳です。

くぅぅ!生で見たかった!

でも時間を越える手段はないので、仕方ない……。

当時戦争が起きなかったのかと言えば、小競り合い程度はあった模様。

けれど、理由が理由だけに皇子が陣頭指揮を執ると言っても、諸侯は見向きもしなかった。

皇帝が外遊中の出来事で、皇子は何とか事を収めようと帝国軍を動かそうとしても拒否され。

結局皇子に従う騎士団の一部と、近衛騎士で討伐に向かったけど返り討ちにあって終了。

あほやな。

皇帝が戻った時には全て終わってた。

けれど、大怪我をした皇子は離宮に隔離して終了。

公爵家は戻らず。

魔道具に使う魔鉱石の産地だった事もあって、魔道具が発展しているらしい。

こうして、歴史に埋もれた乙女ゲー臭がする事件を掘り起こすの楽しいね!

はっ?今私歴女として楽しんでる!?

いや、真面目に勉強している人に悪いわ。

でもこういう歴史の学び方は楽しいよね!

想像の翼を広げてムフムフしてたら、お姉様がいらした。


第四皇女のロスヴィータお姉様。

母上は第二側妾のディライ様。

とっても綺麗な白銀の髪で、お姉様もそれを受け継いでいる。


「モブリーナ、今少し、お話しても宜しいかしら?」

「はい、いいですよ」


本当は立ち上がって淑女の礼を執るところなんだけど、私は毛足の長い絨毯に直に座って、伸ばした足の上に大きな本を置いている。

立ち上がるのが面倒くさいんです。

侍女がささっと、お茶の用意をしてくれた。


「モブリーナは大公領を賜る事になったのですわよね?」

「ええ、いずれは国として独立して同盟国になる予定ですが」

「えっ?」

「えっ?」


驚かれたので、こちらも驚いてしまった。


「何か問題でもございますの?」

「いえ……そういう訳ではないのだけれど……ええ……」


ん?

何か歯切れが悪いな。

もしかしてディライ様が何か関わっているのかな?


「優秀な人が居れば、爵位と土地をお分けしないことも無いですけど」

「……そう、そうですのね……」


迷うようにロスヴィータお姉様は目を伏せる。

何だろ?


「でも、立地的に結構厳しいと思いますよ。もしかしたら独立した途端戦争になるかもしれませんし」

「えっ?そのように危険なのですか?」

「そうですねぇ。新興国になりますし、両帝国と同盟関係にあるとはいえ、それぞれの帝都と距離もありますし、カザレス帝国がどこまで友好的か、今のところ読めませんし。狙ってくる国はあるでしょうね」


ふう、と物憂げに溜息を吐いて、ロスヴィータお姉様は意を決したように言う。


「婚約者のボスピッヒ侯爵令息がね、共にモブリーナを支えて統治したいと仰っているの」

「ほう……」


名前、ボスピッピかと思ったのにボスピッヒか。

ピッピだったら可愛かったのに。

でも考えてる事は可愛くないな!


「わたくし達は貴女が素晴らしく優秀だという事は知っておりますけど、でも軍議の内容を漏らす訳にもいかないでしょう?ですから、皇帝陛下の寵愛が篤いだけと、そう勘違いされているのね」

「はっはぁ……それはそれは」


やばい。

私の相槌おっさんくさくない?

ヘンベル侯爵とお父様の所為だわ!


「確かに、知らない人から見たらそう見えるかもしれないですね。付け入る隙があると。ふむ」


大体、お父様はそんな風に思われるような愚鈍な人物ではない。

まあ確かに?

常軌を逸した愛情は注いできますけどね!

でも、戦争に参加した軍閥諸侯が黙って従っているのを見て、察しろよ!

分かるだろ?

本来ならそこから不満が出るもんだぞ!?


「お姉様は、彼に親愛の情とかは?」

「特には……。泥船に一緒に乗って沈む気はありませんわ」

「お、おぅ……」


やばい、またやってしまった。

だから、大母様にも「陛下にそっくり」と笑われるのだ。


「では、この件はわたくしに預けて頂いても?」

「ええ、面倒事を相談して申し訳なかったわ」

「いえいえ、元はと言えばわたくしも原因の一端ですから、お気になさらないでくださいませ。お姉様の幸福の為にも一肌脱がせて頂きます」


お姉様は優し気に金色の瞳を和ませて微笑んだ。

実際に、欲深い阿呆が何を考えているかまでは私も分からなかった。

でも、ピッピと同じ思考の人はいるよね、必ず。

だったら、先に手を打っておこう。

大体、そんな阿呆にお姉様は勿体なさ過ぎる。



早速私は、皇帝陛下の所へお邪魔した。


「おお、我が愛しのお砂糖ちゃんや!」

「お父様、お願いがあって参りました」

「うむうむ、何が欲しい?何でも買ってやろう」


私はふるふるっと首を横に振る。

違う、そうじゃない。


「お姉様の婚約者のボスピッヒ侯爵令息に、リヒテンシュタール領の主権を狙われています」

「……何?……処刑、か……」


ちがうちがう!

色々すっ飛ばし過ぎ!


「軍閥貴族以外は、わたくしの功績を知りません。故に、皇帝陛下の親馬鹿が高じての叙爵と封土だと思われているようです」

「……処してはならんか」

「なりませんてば」


確かに不敬だし、阿呆だけれども。


「ですので、お父様の名誉回復の為にも、わたくしの人材発掘の為にも、試験テストを行いたいと思うのです」

「ほう?」

「その試験テストの結果次第で、爵位と領地を賜ると皇帝陛下の名の下で発令してくださいませ。貴族子女であればどんな爵位でも何番目のお子でも構いません」


本当は平民からも優秀な人材が欲しいけど、そっちは後回し。

まずは貴族達の不満を解消しなくちゃね。

あと、ちょっとした罠も仕掛けたい。


試験テストの内容はわたくしが考えます。でもそちらもお父様のご下問だという事に致しましょう。その試験でこれはと思う人物達が居れば、わたくしが直に面接をいたしますので」

「ならんっ!二人きりになどさせぬぞ!?」


そっち?

まあ、それならそれでいいけど。


「では、お父様もその慧眼を以てお確かめくださいませ」

「うむ、それならばよかろう」


まあ、優秀なら私は女性でも雇うので、男性ばかりじゃないんだけどね。



試験テストの内容は大体こんな感じ。

戦争について。

交渉が不能なものとする。

相手は互角として、どのような戦術で戦うか述べよ。


内政について。

帝国内と気温湿度共に似た土地をどのように発展させるか述べよ。


法律について。

基本的にはザイード帝国の法律を下地にするが、カザレス帝国の法律と反していた場合どのように調整するか述べよ。


大体こんな感じ。

他にも人種問題やら色々と気になる聞きたい事を設問にした。

何故かって?

良い案があったら、パクる予定だからですよ!

ハーイ!私パクリーナ!

だって、一人の知識や考え方じゃ偏りが出てしまうじゃない?

私も何も専門家でもないし。

強いて言うなら乙女ゲームの専門家です。

恋愛問題ならおまかせください。

……多分?

良きに計らえるかと思いますよ?


でもこれは何も頂きモブちゃんする為だけの試験テストではないの。


試験テスト期間中は城に滞在してもらう。

期間は一週間で、図書館の利用は可。

だけど、他の受験者や役人などの職務についている人々と話すのは不可。

当然ながら、替え玉や買収も不可。

途中離脱をする者は下城して構わない。

そこで試験終了。


これで本人の書物による調査能力や、実力が判るってわけです。

それと、外界と遮断される事のプレッシャーね。

で、本人の実力を測るんだけど。


私が見るのは、何をしたか、していないか、なの。

例えばこちらの禁止事項に触れる者は必ず、いる。

それを使用人達に見張らせるのだ。

色々な派閥があるから、報告を怠る者もいるかもしれない。

だから、更に暗部に全て見張らせるのだ。

使用人の進退については私の仕事じゃないので、両陛下のご意向に任せる。

でも、受験者は私の裁量の範疇なので、やってやりますよ!

友人同士で挨拶はしても、試験内容に触れたらアウト判定。

不正ではないけど、不合格!

不正と見做される行動をした者は、試験結果と一緒に張り出しますからね!!



そんなこんなで一週間。

私は普段通りにのんびりと読書をして過ごす。

まあ、魔道具工房には足繁く通ってはいるけれど。

遠い国の貴族名鑑も三歳から収集し始めて、言語も片言でいいから覚える。

この身体は脳みそも優秀なので、中々に捗るわい。

竜神国の冷遇される番の話に出てくる皇子も見つけた。

これはどうしよう、と悩むのが目下の楽しみ。

本当なら手を触れずに見守る予定だったんだけど。

踊り子さんに手を触れてはいけないので。

でもさ。

物語が始まる前なら介入しても良くない?

バッドエンドや死んじゃう人達が、見つけられる範囲で居たら助けないと寝ざめわるいじゃん?

私が気づかなかったり、見過ごしてしまったら諦めてもろて。


なんて、楽しんでたらあっという間に試験終了。

私は採点に大忙し。

完全に幼過ぎて、ミミズみたいな字で名前書いて終わりの答案とか、そういうのは最初から事務官に除外して貰う。

それで絞った精鋭が十人くらい。


最初にやってきたのは、見すぼらしい眼鏡の赤毛……の女性。

え?侯爵令嬢??

これって完全にドアマットヒロインでは!?

心が浮き立つのを抑えて、まじまじとその姿を見る。

どう考えても服装が……。

髪の手入れも……。


「ジモーネ・オーピッツと申します……」


弱弱しくか細い声で、自信なさげに言う。

父を見れば、眉間に皺が寄っていた。

多分、彼女が名乗ったから侯爵家の令嬢だって分かったんだね。


「随分と慎ましやかな御召し物ですのね?」

「……あ、……お、お目汚しをいたしまして」


今にも泣きそうな感じで謝る。


「責めたのではありませんわ。もしかして生家ではあまり待遇が宜しくないの?」

「……おっ……弟を助けてくださいませ……っ!」


おお?!

弟がいるんだ。

人質かな?


「分かりました。助けて差し上げますから、現在の状況をお話ししてくださる?」

「は、はい」


涙ながらに語った内容は、お家乗っ取りそのものでした。

ご馳走さまです!!!

ていうか、すぐに処す皇帝陛下ちちうえがいるのにようやるなー。

それが分からないアホなだけか。


前侯爵はだいぶ前にお亡くなりになっていた。

係累であるジモーネの母親である侯爵夫人も病没している。

中継ぎの侯爵は、入り婿。

愛人は元男爵令嬢。

未だに再婚せずに愛人止まりなのかな?

再婚となったら改めて戸籍が調べられちゃうもんね。


ともかく、愛人との間に姉と弟がいて、本家にも姉と弟。

めっずらしいな!

虐めてくる奴も虐められる方も二人いるなんて!

しかも、弟が病弱だから、家に残したまま逃げる事も訴える事も出来ず、八方塞がり。

じゃあ、仕方ないよねってなった。

私みたいに生き意地が汚い奴なら、どんな手を使っても状況を変えられるかもしれないけど。

普通に生きて来たご令嬢じゃ無理だよね。

時々変なドアマットヒロインているじゃない?

幼い頃からだったら分かるけど、ある程度育っているのにずっと従っているタイプ。

ああ、性格だから仕方ないねってなる人もいるけど、中には味方を得た途端に反撃し出す人とかもいて。

そんだけ強いなら最初から自分で何とかしろよ!って思ったりとか。

中身が入れ代わったり、記憶が戻ったりして豹変するのは分かるんだけどね、別人だから。

でもこの子は生粋の、純粋な!ドアマットヒロイン!

虐げられて、何とか上層と話が出来るかもしれないって、賭けに出たんだね?!

えらいぞ!


「分かりました。此処へ来ることは、勿論その盗人共……いえ、ご家族もご存知?」

「……あっ、ええ、はい。新しい爵位と領地や役職だけでも賜れば、高額な給料が頂けると説明しましたら……」


ふむふむ、弟という人質がいるから、快く送り出したのね。

多分狸の皮算用しているだろうなぁ。

侯爵家は弟がついで~新領地は姉の物!みたいな。

下手したらこのドアマット姉弟の殺害計画もあるかもしれないね、これ。

少なくとも病弱設定の弟は、外部と触れ合いがないもの。

なり代わるのはそう難しくない。

と思うじゃん?


「では、優秀者を讃えるパーティーを開催して、そこに呼び出しましょう。祝いの席だと分かればのこのこ出てくるでしょうから。その間に弟君は確保させます。屋敷内部の見取り図や軟禁されている部屋の見取り図を描いてください」


私が言えば、侍女がささっと紙とペンを差し出す。

ジモーネは侍女にぺこりと会釈して、ペンをとった。


「見張りは本日これより向かわせますので、ご安心くださいませ。また、貴女も弟君もしばらく王城にて保護いたしますから、弟君は病気の療養を、貴女は礼儀作法マナーや事務仕事についての訓練を受けてくださいませ」


「……は、はい……よろしいのでしょうか?」


ジモーネの目が不安そうに揺れる。

頼れる大人が居なかった彼女は、心細かっただろう。

おーいスパダリ!仕事しろや!

ドアマットヒロインが弱りまくってるぞー!!

心の中で悪態をついてから、私はにっこりする。


「貴女の内政や法整備についての意見は中々宜しかったので、わたくしの下で働いて頂きます。でも、貴女はこれから色々なものを身につけねばなりません。弱くても、弟君を守っていらしたように、自分の意思と考えを貫き通す強さと、自信を」

「出来るでしょうか?」

「ええ、わたくしがそう決めたのですから出来ます。不安になったらいつでもお聞きなさい。わたくしが何度でも大丈夫と言ってあげる」

「……モ、モブリーナ皇女殿下……っっ」


ジモーネの涙腺が大決壊を起こした。

その後ろでおっさん……皇帝も、涙を滲ませ大きく頷いている。

何かあれだ。

お姉様の婚約者のピッピを罠に掛ける予定が予定外の獲物もかかってしまった。

大漁大漁。


そうそう、優秀者は十人だったけど、不正した阿呆は三十人くらい居た。

ちょっとした違反から、完全にこれやっちゃってますね……というものまで。

ピッピはそっちのあーあ、君やっちゃったね?ってグループ。

優秀な低位貴族と結託してた。

金銭目的の低位貴族と、名誉と領地が欲しい高位貴族。

お父様はこれで、大手を振ってお姉様の婚約を解消できる。

でも貧乏な低位貴族の方は、事情によっては斟酌しないでもない。

後々調査に掛けよう。

まずは目の前の問題。


「侯爵家の資金は今後調べるとして、一時的に貴女と弟君の費用はわたくしの方で立て替えます。領地については、折角なので試験に受かった人達で試しに運営してみるのもいいかもしれないですね。ゆくゆくは弟君が継ぐとしてもまだ先になるでしょうし、ある程度侯爵領の把握と安定に努めたら、代行をする者に引き継ぎましょう」

「何から何までっありがとう存じます」

「まずはご自分を大切にしてあげてね。身嗜みを整えるのも仕事の内だと思って」

「はい。感謝致します」


あとで面倒見の良い侍女を送りつけよう。

そして、ドアマットヒロインの観察日記でもつけようかな。

一応この後、面接のお話(将来の側近達)×2とアホの子聖女の捕獲の話×2が登場予定です。

獣人国の話も書きたい……けど、連載もあるので、ゆっくり更新になるかもですが、見守って頂けると嬉しいです。(ドアマットヒロインの虐待親のざまぁも別枠で書く予定です)


誰だ!フルーツ禁止のひよこに栗とか芋をすすめたのはっ!

サツマイモ美味しいです……。

運動をすすめてくださった方もありがとう……小説書くのも有酸素運動ですよね……?

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― 新着の感想 ―
父親気持ち悪すぎです 将来が怖い
相変わらず優秀でモブ詐欺しまくってるなぁ、この幼女。 あと皇帝、語彙が豊富なのか適当なのか微妙だな。
 採用された家臣たちからの忠誠心限凸間違いなしですね(笑)  というか人質の弟くん、本当に『病弱』なのかも疑わしいな。なにか盛られてない?
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