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4-4

それから数日、クリストフェルとアンリエッタは何となくギクシャクしていた。

ティータイムはいつものようにするのだが、あまり会話が弾まない。

(この前までは普通に会話してたはずなんだけど……どんな会話をしていたか思い出せない)

アンリエッタはため息をついた。


「書類の整理をしてきます」

アンリエッタは、執務室の隣の書庫に逃げ込むように入った。

特にやることがあるわけでもないが、2人で執務室にいると、何かそわそわしてしまう。

以前も仕事中にずっとしゃべっていたわけではないはずなのだが、今は何となく気まずい空気を感じていた。


古い書類の整理をしようとしていると、書類の中から手紙が出てきた。

(何でこんなところに……)

読もうと思ったわけではないが、目に飛び込んできた文字に驚愕した。

「サンドラへ クリストフェルより」

アンリエッタの手が震えた。

すぐに目を逸らしたが、目に入ったいくつかの単語が脳裏にこびりつく。

どう考えても恋文のような内容だった。


(クリス様が書いた手紙……出せなかった手紙と言うこと?)

指先から体が冷えて行く。

見てはいけない。見たくない。

吐き気が込み上げてきた。

アンリエッタは手紙を元に戻し、書庫を出た。


「アンリエッタ? 顔色が悪いようだが……」

クリストフェルはすぐに異変に気付いた。

「申し訳ありません、クリス様……気分が悪くなって。休ませていただきますね」

そう言って、返事も待たずに部屋を飛び出した。


アンリエッタが部屋で休んでいると、すぐに医者がやってきた。

医者はストレスと過労によるものだと診断した。

(医者がヤブと言うわけじゃない……。病気の症状が無いのだから、そう診断するしかないでしょう)

アンリエッタは着替えてベッドに横になった。


驚いたことに、色んな人がやってきた。

執事のトマスや料理長のエマは

「奥様が元気だと思って頼りすぎた」

と泣いて謝るし、イーサンまでやって来て

「そんなに無理をさせていたとは思いませんでした」

と土下座されてしまった。


「アンリエッタ様を休ませてください!」

と、怒ったライナにすぐに追い出されてしまったが。

「アンリエッタ様、何でも必要な物はお申し付けくださいね。何かあったら、そのベルを鳴らしてください。隣の部屋に待機しておりますので」

水差しとグラスを側に置いて、ライナは寝室を出ていった。

ゆっくり休めと言うことなのだろう。


クリストフェルは、来ない。

仕事が終わらないのだろう。

アンリエッタはため息をついた。

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