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スキル成長

「テッポードン!!……あれ?」


 おかしい、N兵器魔法のテッポードンが撃てなくなってしまった。


 一体これはどうしたことだろう?


「ステータスオープン!」


 僕は自身のスキルを見ることのできる言葉を唱えて、僕の持つN兵器魔法のリストを確認する。

 ……ない!テッポードンがどこにもない!


 だけど、テッポードンの代わりに、「ミニッツメン」という魔法がそこに合った。


 これが意味することは……そうか!


「なるほど、テッポードンを使いこんだから、『ミニッツメン』にスキルが成長したんだ!」


 剣術や魔法のスキルを使い込むと、レベルが上がって新しい魔法や技が使えるようになることが知られている。きっと暗黒魔大陸から帰って来るために、テッポードンをこれまでにないくらいに使い込んだことが良かったんだろう。


「となると……この『ミニッツメン』はテッポードンより威力が高いに違いない。少し遠目に放ってみよう」


 僕は遠くの海を見て、そこに神経を集中する。


「ハァァァァァ!『ミニッツメン』!!!!」


<カッ>


 遠くで閃光が発生し、しばらくしてこちらに凄まじい衝撃波が襲ってくる。


 ――N魔法は元から威力がすごいから、変化があまりよくわからないな……。

 きっと強くなってるんだろうけどね。


 僕はさらに10数発のミニッツメンを放って、暗黒魔大陸から人の住む大陸へと帰ってきた。


「雪……?」


 大陸に帰ると、なにか季節外れの雪が降っている……。

 いや、手に触れても冷たくない。これは灰だ。


 きっと魔王の仕業だろう。


 魔王と僕たちが戦ったあと、こういった灰がよく降ってきていた。


 この大陸にも、魔王の魔の手が迫ってきているに違いない。


 ……いや、何を考えているんだ僕は。僕はもう勇者パーティを追放されたんだ。


 もう魔王の事なんて考えなくていい。


 僕は海に沈む夕日を見る。あの日が沈む先には勇者たちがいる。


 彼らを信じるんだ。


 僕は暗黒魔大陸から帰って来るのに使った、イカダだけが残る海岸を後にした。


 処分しようかと思ったけど、イカダは鳥が羽を休めるのに使っているな。


 静かに横たわって、まるで死んだように眠っている。

 ふふ、それなら使わせてあげるとしよう。


 スローライフするには、魔大陸から遠く離れた場所がいいな。

 できるだけ思い出とは身を遠くに置きたい。


 僕は岸辺から道を探し、近くの村へと向かうことにした。


 道をたどる僕の耳に、戦いの音が聞こえてくる。

 剣の撃ち合う音と、叫び声、きっと誰かが襲われているんだ!!


 音のする方へ走ると、剣をもった男たちがもみ合いになっている。


 明らかに無法者と言った風体の男と、皮鎧を着た商人の護衛風の男。

 近くには閉ざされた馬車。


 地面には傷を受けて転がる死体。

 どうやら、盗賊の襲撃現場に居合わせたようだ!


 こういう時に便利な魔法がC兵器魔法にはある。

 あまり使いたくは無いのだけれど、この際言ってられないな……!


「サイルーイ!!」


 僕はそう叫ぶと、手からもうもうと白い煙を放つ。


 この煙はC兵器魔法でも最も殺傷力の低いものだ。

 死にこそしないが、ある一点ですさまじい威力を持っている。


「何だこりゃ!ウェーゲッホゲホゲホビョボェェェェ!!!!!」


 煙を浴びた無法者は、涙と鼻水、ゲロまみれになってその場に転がる。


 このサイルーイは顔に当たると、ドラゴンでさえ涙を流してのたうち回る。


 これを使えば大抵の魔物は動けなくなるので、このすきにトドメをさすのだ。


 そう言えばこの魔法は結構使っているけど、なかなかランクアップしないな。

 NBC兵器魔法の特性かもしれないけど、まだ未知な部分が多いんだよね。


 なにせ使えるのは僕だけだし。

 それに……


「ありがとう、助かったぜ……あんたは、魔法使いかッホゲホゲホ!」


 馬車から上品な服装をした美人のお嬢さんが出てきた。


「一体どうしたのですか、ケネス、騒がしいですよ。そんなせき込んでいないで、彼にお礼を」


「あ、まだ出てくると……」


「ビョーッボホゲッヘゲヘオロロロロロロロ!!!!!」


 NBC兵器使いの僕にだけあるユニークスキル、「NBC兵器魔法完全防御」のスキルのおかげで無事なんだけど、周りの人はこうなっちゃうんだよね……。


 彼らが落ち着くのを待って、僕は話を聞くことにした。

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