俺は柴咲さんを諦めない⑥
白鳥さんはそんなことを言いながら、チラリとこちらを見る。
大丈夫だ、問題ない。
俺が貰ってやるとも。
「ということなので動画は見せられないが、代わりに白鳥さんが改めて証言してくれるようだ」
「ええぇ!?」
「動画を見せられない以上仕方ないだろう。さあ白鳥さん、はっきり証明してくれ」
「うぅ……」
すまないな、白鳥さん。
君の恥じらいが見たいんだ。
「わ、私は、その、主様を……、好きだと、認めます」
「……それは異性として?」
「うん……」
柴咲さんに念を押すように確認され、恥ずかし気に俯く白鳥さん。
可愛いと言わざるを得ない。
「ふぅ、それじゃあ、万事解決ですね。二人とも、おめでとうございます」
「いや、待ってくれ。まだ全ては解決していない」
「なんでですか? もう二人とも付き合ってるんですよね?」
柴咲さんには、最初から俺たちが好きあっていることもお見通しだったのだろう。
それでも、直接親友の口から気持ちを聞きたかった、といったところか。
そして、この前俺に言ったように、自らは身を引く気満々である。
しかし、そうはいかない。
「俺も白鳥さんのことを好きだからな。しかしそれはそれとして、柴咲さんのことも好きだ」
「っ! 何を言ってるんですか! そんなのダメです!」
「ダメと言われても、気持ちは変えられない」
「~~~~!」
ハイそうですかと好きな気持ちを消せたら苦労はしない。
「静香ちゃんはそれでいいの!?」
「私は、それで構わないです」
白鳥さんがそう答えると、柴咲さんは俺と柴咲さんを交互に見て、信じられないとでも言うような顔をする。
「二人とも、本気なの?」
「俺と白鳥さんが嘘をついていないことはわかるだろう?」
「…………」
柴咲さんはニオイで嘘を見抜くことができる。
それはつまり、嘘をついていないこともわかるということである。
それに加え、俺と白鳥さんの本気具合も伝わっているハズだ。
「……詩緒ちゃんは、ズルいよ」
「ズ、ズルいって、何が?」
「だって、本当は私が身を引いて、主様と詩緒ちゃんが結ばれるのを見守ろうとしていたんだよ? それなのに、主様を使って私の気持ちを暴いて、逃げれないようにして、それで自分は身を引くなんて、ズルいよ」
「それは、だって……、静香ちゃんには、幸せになって欲しいから……」
「そんなの私だって同じだよ! 詩緒ちゃんは私にとって一番大切な友達だし、幸せになって欲しいと思ってる!」
お互いを思って譲り合う二人。
……尊い。