表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/22

俺は柴咲さんを諦めない⑤

 


「ふむ。試しにアレに投げてみてくれないか?」



 俺は以前ゲーセンでゲットした巨人人形を指さす。



「そんな、可哀そうです……」



 ……奇行種相手に可哀そうか。白鳥さんは優しいな。



「じゃあ、あのスケボーでいい」


「え、本当にいいんですか?」


「二度と使うことはないだろうから問題ない」



 あのスケボーは以前ノリで買ったものだが、実際にはやる場所も限られているし、ほぼ使うことがなかった。

 社会人になりたての頃は、こういった無駄遣いが結構多い。



「それでは――」



 そう言ったと同時に、白鳥さんの腕がブレる。

 恐ろしく速い投擲、俺でなきゃ見逃しちゃうね。



「貫通はしていないが、かなりの威力だな」



 苦無はスケボーの腹にしっかりと突き立っていた。

 この頑丈な板にこれだけ深く突き刺さるのだから、間違いなく人体に当たれば大ダメージだ。

 白鳥さんは怒らせないようにしよう。


 スケボーから苦無を引き抜いて白鳥さんに手渡す。

 再び秘密の花園を覗けると期待したが、流石に柴咲さんが許さなかった。



「まあ、とりあえず座ってくれ」



 座布団のような気の利いたものはないが、これまたゲーセンでゲットしたクッションがあるのでそれに座ってもらう。

 本当は捨てる予定だったが、これで価値が数倍に膨れ上がる。暫くは枕にでも使わせてもらおう。



「邪なニオイがします」


「ああ、少しエロイことを考えていた」


「なっ!? 何を考えてるんですか!?」


「仕方ないだろう。自分の部屋に美女二人がいるんだぞ。妄想くらいして当然だ」


「こ、この人、なんでいつもこんな堂々としてるの……」



 俺だって好きに堂々としているワケではない。

 柴咲さんの前では嘘は無駄なので開き直っているだけだ。



「私達、これからナニをされちゃうんですか……?」


「ナニもしない。話し合いをするだけだ」



 そして、白鳥さんは白鳥さんで変な想像をしているようだ。

 裸エプロンの件といい、どうも彼女の頭は少しピンク色な気がする。

 男で嫌な思いをしたという話だが、むしろそれで変なスイッチでも入ってしまったのだろうか。



「今朝の続きになるが、白鳥さんは自分の気持ちを認めた。言質も取ってある。……そういえば白鳥さん、あの動画は柴咲さんに見せても?」


「絶対! ダメです!」



 白鳥さんは、会社で見ない方がいいと忠告しておいたのに、トイレで動画を視聴してしまった。

 結果、情けない叫びが女子トイレから響き、ちょっとした騒ぎになっていた。



「もう、お嫁にいけませんよ……」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 相変わらずの三人にほのぼの(?)しました♪ 黒はいいですよね! グッときます(`・ω・´)b 巨人、奇行種で笑いました( *´艸`)
2022/03/29 21:43 退会済み
管理
[一言] >恐ろしく速い投擲、俺でなきゃ見逃しちゃうね。 信じられないほどの上玉だ、久々に血が騒ぐぜ( ˘ω˘ )
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ