俺は柴咲さんを諦めない②
「上手くいったって、ことですよね?」
柴咲さんが俺に視線を合わせて尋ねてくる。
俺からは何も言っていないが、白鳥さんから何か聞いたのだろうか?
……いや、それにしては曖昧な聞き方だし、恐らくニオイで判断したのだろう。
「白鳥さんから本音を引き出すことには成功したよ」
「凄いですね。静香ちゃん、かなり強情だったと思いますけど」
これはなんと説明したら良いだろうか。
寝ぼけているところに質問をしただけなのだが、そこに至るまでの説明が難しい。
裸エプロンで誘惑され、マッサージして、事情を聴いて、強引に迫った(回答を)ら気絶されたのだが、それを説明したところで信じてもらえるだろうか。
いや、柴咲さんの能力なら俺が嘘を言っていないことは信じてもらえるハズだが、それはそれで怒られる気もする。
ここは嘘はつかず、内容を暈して説明しよう。
「色々あって白鳥さんが気絶したので、寝ぼけているところを質問攻めして聞き出した」
「気絶!? 一体何したんですか!?」
「それは白鳥さんの名誉にも関わることなので言えない」
「なんですかソレ。凄く気になるんですけど……」
柴咲さんも気にはなるのだろうが、流石にこう言われたら深く追求はできないだろう。
「……何か変なことして気絶させたんじゃないですよね?」
「もちろんだ」
「気絶してるからって、エッチなことはしてないですよね?」
「それは……少しした」
「「したんですか!?」」
白鳥さんも一緒になってツッコんでくる。
まあ、夢現だったのであまり覚えていないのだろう。
「ほっぺたをつついたり、引っ張ったりしたくらいだ」
「な、なんだそのくらいか……」
「そのくらいじゃないですよ~! 十分エッチです!」
裸エプロンをしていた人が何を言うのか。
「あとは3サイズを聞いたくらいだ」
「な、な、なーっ!?」
白鳥さんはあのときの会話を夢と認識していたようだが、質問の内容までは詳しく覚えていないようだ。
「この……、変態!」
「ありがとうございます。白鳥さん、これが本物の変態! だ。覚えておくといい」
「静香ちゃんにそんな倒錯的なプレイを教え込まないでください!」
需要はあるのだし、覚えておいて損はないと思うが。
「詳しいことは動画に保存してある。俺の身の潔白はそれで証明されるだろう。もし確認したいのであれば言ってくれ……と思ったが、やはりダメだ」
未編集なのを思い出した。
アレをそのまま見せては、白鳥さんの名誉が傷つけられてしまう。