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酒は飲んでも飲まれるな!!

石畳の道。

一歩一歩、歩を進める度に前から後へと新鮮な光景が自分を過ぎていく。

煉瓦造、木造、多種多様な建物や商店が俺の好奇心を刺激する。

朝、起床、移動、仕事、飯、就寝、毎日繰り返される退屈な日々を過ごしていた俺にとって、この世界、未知の体験は、俺を救ってくれるのだろうか?


救ってくれる?

嫌、ダメだ、そんな考えじゃ、自分から進まなければ、あの日々と何も変わらない。

能動的に、積極的にこの世界と関わらなければ、いつの間にか言う事だろう。


何も楽しくない。


と。


終ぞ自分のテリトリーを越えようとしなかった人間の憐れなセリフ。


28年の終わり、17年からの始まり。


冒険をしよう。


もうあのセリフを言わないように。

自分を諦めないように。


「どうかしましたかアズサさん?」

「嫌、少し、人混みに酔っちゃったのかな、、こんな人が大勢いて賑わってる所に縁がなかったですから」

「そうなんですね、私なんか、もう何年もここを拠点に生活しているので、慣れたものです。

でも、弟の言動にはまだ慣れないんですよ、今のあの感じも最近なんですよ、ああなったのって、どう思われます?」

「や、、どう思われますと言われま・・

「あ、あれ!

あれみて下さいアズサさん!!」

「おお・・おう」


何か、また遮られたな。

彼女が指差した方を見てみると、大きな塔が立っていた。


「あれ、この町のシンボルの時計塔なんです、この町の旗のシンボルマークにも使われているんですよ」

「そうなんですね」


ちゃんとした高さこそ分からないが、あんな大きな建物、そして天辺にある大きな鐘を作れる技術がこの世界には存在するんだなと、感動と感心を覚えた。


「アズサさんお店が見えて来ましたよ!」


そう言うと、エリナさんは、席が空いているかどうか確認して来ますねと言って、足早に店に移動して、中に入っていった。


ああ、エリナさんってせっかちなんだな。

せっかちてああいう人なんだ。

初めて見た。


俺とフェルとトアさんも遅れて到着し何気に出ていた看板を確認する。


ん?


「冒険者ギルド?」

「は、はい。

このギルド、一階は、飯屋、2階がギルド、3階は、、分かりません。」


突然話し出したトアさんに若干驚いたが、この人も自分なりに俺の事を気遣って仕事をしてくれているんだと、少し感動する。


「冒険者に理解があるから、従魔とも一緒に食事が出来るんだ、やったなフェル、一緒にご飯がたべられるぞ!」

「ハハハッハハッハッハ」


興奮冷めやらぬ表情だ、フェル。

この食いしん坊さんめ。


でも考えてみれば俺もさっき食った干し肉以外、この世界に来てから何も食ってなかったんだよな。


「二人共席空いてましたよ!!

後、フェルちゃんも大丈夫ですって!!」


中からエリナさんが俺達に声を掛ける。

一斉に此方に目が向けられる。

ああ、、俺嫌いなんだよな、こういう間。

ささっと中に入っちまうのが吉だな。


俺達は席に着く、フェルは流石に椅子には座れなかったので板張りの床にちょこんと座った。


特に嫌いな物も無いのでエリナさんのオススメの料理と酒を頼む。

この世界での成人は16からなので酒もオーケーだそうだ。

まあ、成人もクソも無い、ここでは年齢確認なんてしないも同然っぽいからそうなっちゃうと自己責任って奴だな。

アルコールによる一時的な高揚は言わずもがな知られている様だが、もう一方の害はこの世界には知られているんだろうか?



「そうなんでしょよ、私達の師匠!

そのししょの推薦で今回の仕事につけたんれう。」

「僕達のランクと実力なら問題ないって」

「護衛任務のいい経験になるから、無理いってぇ、アムジット氏にお願いしたんですぅ。

でも蓋を開けたら最後の最後でゴブリンの集団の襲撃でふからね。

アズサさんのおかげで怪我人も出なかったれふので、よかったですけど」

「俺が助太刀しなくても、二人ならやれてましたよ」

「それ本気でいってまふか?

ただのゴブリンだけなら何とかなったかもデフですけど、ホブがいましたからね、アズサさんはプスッと何か簡単にやってましたけど、どうやったんでふ?

普通はあんな簡単に殺れないとおもいますですよ」

「企業秘密です」

「むひぃ〜、またそれれふか?

戦士おひて、知りたいレス!!」

「嫌、無理です。」

「それにのんれますのか?

全然、酔ってないじゃ無いレフか?」


そうだな、言われてみれば、アルコール摂取による高揚感があるにはあるが、酔えないというか、どうやら身体がアルコールを毒と判断して早々と分解してしまうようなのだ。

これもデザイナーズの恩恵。

嫌、呪いか?


「すいません、ねえやん、酒に弱いのに、飲む量が半端無いんです。」


じゃあ、お前がセーブしろよと言いたい所だが、色々あるんだろうし、それは俺が言うべき事じゃ無いだろうと思いとどまった。


「そういえば、お二人とも俺より年上ですよね?」

「はい。僕が19でねえやんが21です。」

「だめれふよ、アズサさん、女性に年齢を聞いたら、師匠に聞いたら、ころはれますからね」

「物騒ですね」

「そうれす、あの人は怖いのレス」

「あの人ならやりかねない」


トアさんの真剣に恐怖する表情はとても冗談を言っているように思えなかった。

・・・一体この人達の師匠って。


その時ギルドのドアがバタンと大きな音を立てて開いた。


そのせいでフェルがビクッとなって食べていた肉をポトっと落としてしまう。


「ここにアズサって奴はいるか!!」


怒号にも似た野太い男の声がギルドに響き渡る。


入り口の方を見ると大柄なつるんとハゲわたったスキンヘッドの男がドアに手を掛けて立っていた。

その形は山賊然としており、風貌も堅気の人間とはとてもとても思えない。


どうやら入り口は彼には狭かったらしく、前屈み気味に身体が曲っている。

2メートル以上はあるんじゃ無いんだろうか?


シーンと静まり返ったギルド内に


「ワンワン」


とおかわりを求めるフェルの鳴き声がした。




眠気に抗えず投稿が遅くなりました。

申し訳ありません。

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