表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/17

いざライムス!

「旦那様、ライムスが見えて来ました」


ラムードさんの声が荷物の奥の方から聞こえて来る。


「いやはや、楽しい時間が経つというのはあっという間ですね。」

「はは、そうですね。」


あの後、旨い具合に俺のストレスに感じないスレスレの範囲内での質問攻めにあい、少々閉口気味になっていた俺は、やっと解放されるのかという安堵感を表情に出さない様、必死に努力している。


しかし、商人というのは、会話を途切れさせないプロなのであろうか?

でも、、、静かに馬車の旅を満喫しながら、休みたいって時もあるじゃない?

初体験な訳なんだし?

商人さんってそういう気遣いも大事なんじゃ無いのかな?


フェルなんか退屈しちゃって隣でうつらうつらと今にも寝そうな雰囲気だ。


「見えて来たという事は、後4、5分と言ったところでしょうか」

「そうなんですね」


俺は荷物の隙間からライムスの全景を見ようとしたが、ラムードさんの頭が邪魔で見えなかった。

走行中の馬車から降りるのは結構簡単に出来そうだったが、余り、田舎者丸出しにするのも憚られてので、思いとどまってみた。


「旦那様、入場待ちです、一旦止まります」

「ああ、わかった」


入場か、ということは、門番がいて審査的なあれがあるって事か?


「町に入る前に何かあるんですか?」

「先程も申しましたが、魔王の復活宣言後、街の出入りも、多少厳しくなりまして、ですがアズサ様でしたら、首にかけているその冒険者証があれば、問題なく入場出来る筈です」

「そうなんですね、よかった」

「何も身分証を持たない人間が入場審査を受ける場合、半日程拘束される事があった様ですよ、ここの話ではありませんが」

「へぇ。」


対策はバッチリってやつか。


「次!」

「ご苦労様でございます、アムジット商会でございます」

「積荷は?」

「仕入れた商材と当商会の主人が乗っております。

後、道中で助けて頂いた冒険者様がお一人。」

「助ける?

この二人の冒険者以外にか?」

「はい」


カツカツカツと金属音が後方に近付いて来る。


「開けるぞ」


カーテン状になっていた布がひょいっと持ち上がり、そこまで上等ではない、鎧に身を包んだ衛兵だろうか?

が姿を見せた。


「ご苦労様です」


アムジットが座ったまま衛兵に声を掛け、会釈をした。


役人と、商人の関係性が少し分かる構図だ、でもアムジット商会がライムスで何処までの影響力があるのかはまだ謎のままだからなんとも言えないが。

まあ、護衛をケチる位だし、そこまで大した商会じゃないのかもしれない。


「お前が冒険者か、名は?」

「アズサです。」

「降りてもらえるか?」

「ええ、いいですよ、フェル出るぞ。」

「ワン!」


横柄な態度を取られたらどうしようかと、内心ビクビクしていたが、ちゃんとしていて安心した。

俺はヘリに足を掛けると、ピョンと地面に降りた。

フェルもピョンと飛んで地面に着地した。


「その犬はお前の従魔なのか?」

「従魔?」

「テイムした動物やモンスターの事だ」

「へぇ、モンスターもテイムできるんですね」

「当たり前だろ?」


さも当然の事のようにいわはりますが、何度も言いますが俺今日この世界に来たばかりなんですって。


「アムジット商会の人間は入場を許可する。

進め」


許可が降りたので、馬車が動き出した。


「アズサ様、入場した先でお待ちしておりますので」


アムジットさんが、わざわざ馬車から顔を出し、声をかけてくる。


「あ、はいすいません、ありがとうございます。」


「冒険者との事だが、冒険者証は?」

「あ、これです」


俺はタグをジャラっとさせ衛兵に見せた。


「・・・随分古い型だが、本当にお前の物なのか?

今はカード状の物が採用されているんだが。」


言いながら、衛兵は空中に指先で、カード大の四角を描く。


え?

そうなの?


アムジットさん、何にも言ってなかったんだけど、このタグがあれば大丈夫って言ってなかった?

まあ畑違いだし、分からなかったのかな、、、。


「ええ、俺の地元ではまだ、このタグが主流なんですよ、なんせど田舎なもので」

「ど田舎?

何処だ?」

「ヒガシノダイチです。」

「ヒガシノダイチ?

まさか、お前、あんな島国からここまで渡って来たのか?」

「はい、お役人さんは、流石に物知りでいらっしゃる、ヒガシノダイチと聞いてピーンと来た方は、お役人さんが初めてですよ。」

「うん?

そうなのか、まあな、私位になれば、他国の情報にも自ずと精通・・・・」


ウンタラカンタラと十分程、自慢話を聞かされた後、上機嫌な衛兵さんに、入場を許可された。

初めてという事で1000ゴルオ徴収されたが、しばらくの間ライムスにいればお金は戻って来るらしい。


どういうシステム?


ライムスで生活してお金を落とせば、最初のお金は返金しますよって事、、だよな、簡単にいえば。


でも、簡単な嘘とはいえ、よくスラスラと舌が回った物だ。


こうして俺は最初の町ライムスの地に一歩足を踏み入れたのであった。








評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ