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初体験!

「ラムード、ここも張り替えだ。」

「はい旦那様。」

「エリナ、頼む」

「はい」


ゴブリンとの戦闘が終了しとっとと街道に戻ろうとしたら、この幌馬車の持ち主である商人のアムジットさんに呼び止められた。

あ、報酬がなんちゃら言ってたからその話かと思ったが、よければお礼も兼ねて馬車に乗って行かないかとのお誘いだった。

アムジットさんにここからライムス迄後どれ位と確認してみた所、5、6キロとの事。

歩いても全く問題無い距離であったが、馬車に乗るという初体験をこなす為、お言葉に甘える事にした。


でも手持ちブタさんなんだよな、手伝おうとしたら


「とんでもない事です、恩人であるアズサ様に手伝わせるなど、商人の名折れでございます、おかげさまで馬車も幌以外は無事でございますので、30分もあれば移動出来る様になります、それ迄どうぞお休み下さい」


の一点張りで手伝わせてくれなそうだったので無理矢理お休み中なのである。


俺以外の冒険者の二人も、馬車から荷物を下ろしている、二人共消耗しているだろうに、ご苦労様な事である。


アイテムボックスから皮製の水筒を出しフェルに水をあげる。


ハッハと嬉しそうに飲んでいるフェルを見つめながら、うん、永遠見てられる何て事を思っていると、満足したのか、フェルが口を閉じ



という顔で俺を覗き込む。


うん、その顔も可愛いよフェルさんや。


もうバカでいいよ。

俺のこの異世界人生はフェルに捧げたと言っても過言では無いよね。


「アズサ様、準備が整いました、こちらへどうぞ」


その声に我に帰ると俺とフェルは幌馬車に向かう。

ラムードさんに用意してもっらた箱馬に乗ると、幌馬車の後方から車内に乗り込んだ。


「おお・・・・」


正直、意外と狭い。

商品が積まれている分、人が乗るスペースが俺とアムジットさんと後無理して一人分位しかない。

そこにはフェルが鎮座奉りお遊びになっていたので、強制的に、エリナさんとトアさんは歩くことが決定してしまった。

マジで申し訳無い気持ちで一杯です。


エリナさん曰く。


「私達は雇われている身なので歩くのは当然の事。

だから気にしないで欲しい。」


と言われたが、ねえ。


交代で歩きますか?

と提案したが、苦笑いの二人に丁重にお断りされてしまった。


護衛の仕事と言われたら、まあ、しょうがないよね。


肝心の幌馬車の感想は、意外と揺れないだ。

アムジットさんに聞いたら、サスペンションに当たる部分を最近開発された魔道具に改造したらしい。


魔道具、ここでもまた異世界定番の夢技術が活躍してるのかと感心しかなかった。

他にも、普段は危険なので夜馬車で移動すると言う事は無いが、やむを得ずと言う場合、今まで馬車に付けてあったランタンのみで道を照らしていたが、最近は、取り付け式の照明魔道具も使っているとの事だった。

御者台の横に付いているという話なので後で見せて貰う事にする。


「それにしても、先程は誠にありがとうございました。」

「いえ、俺だけの手柄じゃ無いですよ、トアさんとエリナも・・」

「ご謙遜はおやめ下さい、あの二人が活躍していないとは申しません、二人ともよくやってくれました。

ですが、素人目にも、アズサ様の実力は驚くべき物です。

二人がいなくともアズサ様なら一人で切り抜ける事が出来たのでは?」


まあ、それはそうなんだけどね。

実力をひけらかすのもあんま好きじゃ無いんだよな。


俺が答えにくそうにしていると、アムジットさんはふむふむと顎髭をくるくると指で回しながら。


「これは、失礼しました、あまりに素晴らしい技の切れでしたので、ついつい興奮してしまい。」

「いえ、俺はそんな凄い人間じゃありませんよ」

「また、ご謙遜を、しかし、最近はここらも物騒になったものです。」

「物騒?」

「はい、ここドムドラの森はトータムからライムスに戻る際の抜け道でよく通るのですが、今までゴブリンが集団で現れる事などただの一度も無かったのです。

しかもホブゴブリンまで出現するなんて。」

「たまたまと言う事は?」

「そうですね、たまたま、そうであって欲しいものです。」

「他に何か理由があるんですか?」


俺の質問にアムジットさんの表情が神妙な面持ちになる。


「これも魔王の復活の影響なんでしょうか?」


今なんつった?


「魔王?」

「ええ、100年余り不在だった魔王が復活を宣言したのでです。

最近の話なのですが、、ご存知ありませんでしたか?」


え?

復活を宣言てなんじゃそりゃ?

そりゃ知りませんよ、何せ今日ここに転移してきたんだし。

ここ最近か、、、きな臭いな。

俺がここに転移して来たのって魔王復活と関係無いよね・・・神様?


そんな重要な情報を得た俺は、一路ライムスへの道のりを乗り心地の良い馬車に揺られてゆくのであった。



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