表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『願いの木』-世界を超えた僕の運命の物語-  作者: シュン
第8章:高校生活の終わり
82/90

8-7 願いの終わり

木々がざわめき始め、僕を見つめている気がする。

どこからか歌が聞こえてきた。優しくて、淡い歌。

そして、葉っぱが僕に優しく降り注ぐ。まるで、僕を包み込むように。


僕は、意識を手放した。


気づくと、綺麗なお花畑の上に一人で立っていた。

そして、そこには、大きな木があり、すぐに、『願いの木』だとわかった。

僕は、かすかな記憶を思い出す。ここで願った自分を。


普通に恋愛がしたいと、、


願いが叶ったんだ。


元の世界へ戻ってしまうの、、、


僕の目から涙が溢れ出し、とまらない、、



どうか、お願い、このままで、、

僕は、恭君といたいんだ、、、

これからもずっと、ずっと恭君のそばにいたいんだ、、、



気づくと、お花畑がいつしか、葉っぱで作られた階段に変わっていた。

自分の意思とは関係なく、歩き始める。

一歩、そして、また一歩。

葉っぱの階段を一段一段踏むにつれて、今までの思い出が消え、そこに代わりの思い出が入り込んでくる。



これは?願ったとき?僕は、『願いの木』に願っている。そして、病室で目が覚める。清父さん、咲父さん、夏兄、皐兄に見守られいる。


パリン。。。ガラスの割れる音がする。僕の中で何かが消える。


ここも?願ったとき?僕は、公園の木の前で寝ている。

「あれ、、、夢見てたみたい、、」

家に帰ると、お父さん、お母さん、夏姉、そして、珍しく皐姉もいた。

家族で楽しく談笑している。


咲父さん、、夏兄、、皐兄、、僕は、泣きながら呟いた。


消えゆく記憶、、あれ、咲父さん、夏兄、皐兄って誰だっけ、、、

僕には、お母さんとお姉ちゃんしかいないのに、、、


あぁ、涙が止まらない、、なんでだろう、、、




ここは?学校?僕は、優君、凜君といつものように談笑している。


パリン。。。またガラスの割れる音がする。僕の中でまた何かが消える。


ここも?学校?僕は、優ちゃんと凜ちゃんといつものように談笑している。


優君、凛君、、、、、、僕は、呟いた。


消えてしまう記憶、、、あれ、優君、凛君って誰だろう、、

そんな友達はいないよ、、優ちゃんと凜ちゃんは、いるけど、、


涙が止まらない、、、、




ここは?海旅行?八人で楽しくバーベキューをしている。僕、響君、武藤君、重岡君、恭君、東条君、優君、凛君で最後にみんなで花火をする。僕と恭君と二人で幸せそうに線香花火をする。


パリン。。。またガラスの割れる音がする。僕の中でまた何かが消える。


ここも?海旅行?八人で楽しくバーベキューをしている。僕、響君、武藤君、重岡君、恭君、東条君、優ちゃん、凛ちゃん、みんなで花火をする。最後は、線香花火を全員でする。僕は、線香花火をしている恭君の横顔を遠くから寂しく眺めている。


思い出が消えている、、大切にした何かが、無くなっている、、、


けれど、僕には、止めることができない、、、




ここは?登山?五人で登山をしている。僕、武藤君、恭君、東条君、凛君だ。ビバークすることになり、恭君が僕を後ろから抱きしめてくれて、手を握ってくれる。温かくて、優しくて、、


パリン。。。またガラスの割れる音がする。僕の中でまた何かが消える。


ここも?登山?五人で登山をしている。僕、武藤君、恭君、東条君、凜ちゃん。ビバークをして、サブリーダーという責任感から恭君が残ってくれる。

「寒いから、後ろから抱きしめさせてもらうな。」

「あっ、うん、、」

嬉しいけれど、これは、生きるためにやっていることなんだ。


思い出が消えゆく、、、大切なモノが、無くなり続けている、、、




ここは?体育祭?武藤君が僕に告白をしている。そして、僕と武藤君と恭君が、騎馬戦に出ることになった。辛いけれど、今では、いい思い出になっている、、


パリン。。。またガラスの割れる音がする。僕の中でまた何かが消える。


ここは?体育祭?出場種目を決めるとき、くじ引きの結果、騎馬戦に出ることになる。僕が騎馬戦なんてありえないと思ったけど、なんとか頑張っている。


武藤君の思い、恭君の思いが消えている、、、、




ここは?文化祭?「願い」を響君の伴奏で歌う。そして恭君から告白されて、、一緒に踊ったダンスが楽しくて、、


パリン。。。またガラスの割れる音がする。僕の中でまた何かが消える。


ここも?文化祭?「願い」を響君の伴奏で歌う。

「その曲って誰に歌ったの?」

優ちゃんと凜ちゃんに聞かれる。

「えっと、、昔、好きだった人かな、、」

僕は嘘をつく。告白されるわけでもなく、するわけでもなくて、、ダンスは、男女一組で踊る。


あぁ、消える、、消えている、、


どうしようもなく悲しい、、、、




ここは?動物園?恭君と初めてのデート。お弁当を食べて、ハート模様のポニーを見て、チーターを見る。楽しい時間を過ごしている。


パリン。。。またガラスの割れる音がする。僕の中でまた何かが消える。


ここも?動物園?八人で動物園へ行く。僕、響君、武藤君、重岡君、藤澤君、東条君、優ちゃん、凜ちゃんだ。みんなで動物を見ながら歩く。藤澤君とは、どこまで行っても友達のまま、、、


やめて、、、やめて、、、、、

消さないでよ、、、




ここは?公園?僕はリフティングをしている。恭君にサッカーをやって欲しいと言っている。


パリン。。。またガラスの割れる音がする。僕の中でまた何かが消える。


ここも?公園?東条君がリフティングをしている。東条君が恭君にサッカーを進めている。僕は、何もできず悔しそうに遠くから眺めている。


ただただ、泣くことしかできない、、、、




ここは?クリスマスイブ?恭君と初めて過ごすクリスマスイブ。光と愛に包まれたクリスマスイブ。


パリン。。。またガラスの割れる音がする。僕の中でまた何かが消える。


ここも?クリスマスイブ?八人でクリスマスパーティーを楽しんでいる。僕、響君、武藤君、重岡君、藤澤君、東条君、優ちゃん、凜ちゃんだ。


もう、いやだよ、、、




ここは?さっき?恭君に結婚しようと言われ、最高の愛を感じている。


パリン。。。またガラスの割れる音がする。僕の中でまた何かが消える。


ここも?さっき?みんな揃って学校前で記念撮影をしている。

「藤澤がプロで活躍したら、みんなでサッカー見に行こうぜ!」

武藤君が僕らに言い、行こうと盛り上がっている。

「じゃ、またな!」

恭君が去っていく。


もう、、、、、、やめて、、、、

これ以上、無くしたら、僕には、何もない、、、




無慈悲にも僕の記憶は、全て塗り替わってしまった。



そして、光に包まれる。






「どうしたの?大丈夫?」


横にいる響君が心配している。僕は、その場で泣き崩れしゃがみこんでしまう。響君は、黙って、僕の肩をさすってくれている。

涙が止まらない、止まらないんだ、、

ずっと、泣き続け、気づくと、夜になった。

響君はずっとそばにいてくれた。


「ご、めん、、、」

僕は、元気なく言った。

「落ち着いた?何があったの?」

心配そうなな顔で見つめる響君。

「なん、、だ、、、ろ、、う、、」


僕にもわからなかった。

大きなモノを失ったけれど、それが何か僕には、もうわからない。


ただただ心に穴が開いたようで、涙だけが流れる。


「帰ろう、、」

響君が優しく僕に話しかける。


今、卒業式の帰り道だった。

その帰り道に、突然泣き出し、その場でしゃがみこんでしまっていたのだ。


「うん、、、、」


響君に支えられながら帰る。

足が重くて、どうにかして歩くことができた。

響君は、家まで送ってくれた。


「何かあったら、すぐに連絡してね。」

最後まで心配してくれていた。


「あり、、、が、とう、、、」


家に着くと、

「おかえり、遅かったわね。」


お母さんが出迎えてくれる。


「咲父さん、、、」


また涙が出てきた。


「どうしたの?」

お母さんは心配している。


「どうしたの?」

夏姉が出てきた。


「夏兄、、、」


大粒の涙が落ちる。


「みんな、玄関でどうしたの?」

皐姉が心配している。


「皐兄、、、」


僕は、その場で泣き崩れてしまった。



意味もわからず出てくる言葉。

その言葉が、僕にとって、大切な気がする。

けれど、それが、何かわかんない、、


ただただ悲しかった。


それから、家族みんなで心配してくれて、早めにベッドに入った。



これは夢?いつもの八人で海を満喫している。僕、響君、武藤君、重岡君、藤澤君、東条君、優君、凛君。みんな楽しそうだ。場面は変わり、恭君と楽しそうに話している僕。また、場面は変わり、夏兄と皐兄と僕と咲父さんと清父さんで談笑している。



起きると、枕は涙で濡れていた。



恭君、、、、



あれ、何で僕は、藤澤君のことを下の名前で呼んでいるんだろう、、


なんでだろう、、


ただ、疑問だけが虚しく残った。



しばらく、こんな夢を何度か見た。


急に女の人に違和感を持つようになったけれど、徐々にその違和感も消えた。それと同時に、その夢を見ることもなくなった。


けれど、僕の心には、大きな穴が開いたままで空虚感だけが残り続けていた。




そして、大学生活が始まった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ