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『願いの木』-世界を超えた僕の運命の物語-  作者: シュン
第7章:夢を追いかけて
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7-8 ヒーロー

放課後、校庭を眺めると、そこには、藤澤君がいた。

楽しそうにボールを蹴る姿を見ながら、やっぱり、サッカーが似合うとしみじみ思う。


突然、後ろから東条君に話かけられた。


「愁くん?」


「東条君、」


「恭くんをサッカーの世界に戻してくれてありがとね」


いつものような元気さがない。


「いや、、僕は、、、」


「オイラじゃ、できなかった、、」


「そんなことないよ、東条君だって、藤澤君にいろいろしてたじゃん!」


「けど、何をやってもダメだった、、」


「そんな、、」


こんなに元気がない東条君を初めてみた。



「オイラね、恭くんのことが好きなんだ。」



東条君は、校庭を見ながら呟いた。



あぁ、やっぱりそうだったんだ、、



「オイラにとって、恭くんは、ヒーローなんだ。恭くんとは、中学からの仲なんだけど、オイラ、中学の始めの頃、いじめられてたんだ。」


「うそ、、」


今の東条君には、想像がつかなかった。

こんなに明るい人なのに。


「毎日、学校に行きたくなくて、部活もやってなかったから、放課後、よくこうして、校庭を見てたんだ。校庭のみんなが、楽しそうで、羨ましかった。みんなのようになりたい。そういつも思っていた。そんなある日の放課後、恭くんが教室に入ってきて、その時、言われたんだ。そんなに校庭ばっか見てるなら、一緒にサッカーやるか?って。その時から、オイラの時計が動き始めた。それから、サッカー部に入って、みんなとうまくやれるかわかんなかったけど、恭くんが、ずっと支えてくれた。それから、徐々にいじめられなくなり、学校に行くのが楽しくなって、気づいたら、恭くんのことを好きになってたんだ。」


東条君の横顔が切ない、、

思いが伝わってくる、、


「だから、今回の怪我で、オイラが支えなきゃって思って、頑張ったんだけど、ダメだった。やっぱり、愁くんには、かなわないよ、、」


力なく笑い、その目には涙が光る。


「そんな、、、ことないよ、、」


僕も涙が落ちそうになる。


「優しいね、そういうところを、恭くんが、好きになったのかもね、、どうか、恭くんをこれからもお願いね、、」


東条君の目から一粒の涙が落ちた。


「うん、、、僕にできることは、全力でやるよ、、」


僕の目からもたまった涙が落ちる。


「ありがとう」


そう言うと笑って、出て行った。



あぁ、切ないなぁ、、、

藤澤君は、一人しかいなくて、僕を選んでくれた。

けれど、選ぶってことは、選ばれない人も当然いて、全員が、付き合えるわけではなくて、、

それは、とても悲しいことで、けれど、僕には、どうすることもできなくて、、



僕にできることは、藤澤君を全力で支えること。

それしか僕には、できないと思った。


――――――――――

(視点:東条君)

オイラは、教室を出た後、一人隠れて泣いた。

今までの恭くんとの記憶を思い出した。

いじめられていた中学時代。オイラの苦しい日々に風穴を開けてくれた。恭くんは、ただ、サッカーを誘っただけと思っているかもしれないけど、オイラを救ってくれたヒーローなんだ。毎日学校に行くのが楽しくなり、恭くんとやるサッカーが楽しかった。恭くんは、あんまり笑わない人だったけど、根はとても優しい人で、真面目で、本当にサッカー好きだった。仲良くなるにつれて、少しずつ笑ってくれるようになり、それが嬉しかった。それから、偶然、同じ高校に行くことになって、一人で舞い上がって。オイラは、いつの間にか恭くんのことを好きになっていたんだ。高校でもサッカーを一緒にやって、恭くんのサッカーレベルは、どんどんすごくなって、オイラは、ただそばで一緒にやれるだけで嬉しかった。

恭くんは、よくモテる人で、いろんな人に告白された。付き合うこともあったけど、いつもすぐに別れた。凛くんと付き合った時も、すぐに別れた。けど、愁くんとは違った。恭くんが遠い存在になってしまったんだ。海旅行から、愁くんのことが好きなんだと気づいた。愁くんを見る目が、違うんだ。その目をオイラに向けて欲しかった。こんなにも近くにいるのに、オイラには、気づいてくれない。それが、どれだけ辛かったか。それから、登山があり、二人の思いは、繋がったと感じた。体育祭では、あんな勝負をうける人ではないのに、愁くんのためにうけた。そして、二人は文化祭で付き合うようになり、もう、オイラの入る場所はなかった。けど、今回の怪我で、恭くんには悪いけど、もしかしたら、オイラにチャンスが来たと思った。だから、精一杯、恭くんを支えた。怪我は治ったけど、あんなに好きだったサッカーを辞めてしまって、原因は、教えてくれなかったけど、両親にあることはなんとなくわかっていた。もともと、恭くんの両親は、サッカーに反対だったから、何か言われたんだと思う。なんとかして、サッカーの世界に戻そうとしたけど、全然戻ってくれなくて。オイラには、どうすることもできなくなった。そんななか、突然、サッカーをやり始めて、そのきっかけが愁くんだとすぐに気づいた。

やっぱり、オイラには、入る場所がないんだ。


けど、恭くんが、サッカーをもう一度やってくれてよかった。

オイラは、それだけで幸せだよ。たとえ、横にいれなくても。


―――――――


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