表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『願いの木』-世界を超えた僕の運命の物語-  作者: シュン
第7章:夢を追いかけて
71/90

7-5 公園

翌日。いつもより、早く目が覚めた。

今日は、藤澤君の話を聞こう。ただ、そのことだけに集中しようと思った。

待ち合わせ場所に着くと、藤澤君は、まだいなかった。


「ごめん、待った?」

駆け足で来る藤澤君を見て、僕のために、走ってくれたことが嬉しかった。

「ううん。大丈夫!」

「どこ行く?」

「公園でいいよ、」


ただ、話が聞きたいんだ。


「じゃあ、あそこの高台の公園に行くか。」

「うん。」


僕らは、歩き始める。しばらく歩くと公園に着いた。

この公園は、高台に位置していて、たくさんの木々が並んでいる。前回来た夏とは違い、木々たちが、冬支度をしようとしている気がした。


「懐かしいなぁ、、」

「ここの公園は、いつ以来だろ。練習でも来ないしな。」


たくさんの木を一緒に見る。

なんとなくその木が、こちらを見ている気がする。

木々の真中らへんに、一つのベンチを見つけた。


「あそこに座る?」

「いいな。」


一緒にベンチに座り、たくさんの木に囲まれる。

僕は、大きく深呼吸をした。

そして、聞きたかったことを聞いた。


「どうして、サッカーやらないの?」

「やっぱり、そのことか、、、」

「怪我は治ってるんだよね?」


藤澤君は、黙ったままだ。


「やらない理由を教えてほしい、、僕、、聞きたいんだ。」


藤澤君は、僕の顔を見て言った。

「わかった。」


そして、遠くにある木を見つめ、静かに話し出した。

「俺、今回怪我しただろ?幼い頃からサッカーやってきたんだけど、今までこれといった怪我をしたことがなかったんだ。今回、怪我をして、怪我自体は治ったんだけど、肉離れだから、もしかすると、また起こるかもって言われて、まぁ、スポーツやってれば、みんな多かれ少なかれ怪我はするんだけどな。」

僕は、黙って聞く。

「それで、親がこれを機にまた反対しだして。」

「この前、喜んでくれてないって、、」

「あぁ、もともと、俺の両親は、一人が大学の先生で、もう一人が高校の先生なんだ。兄貴も、大学の先生になるらしいし、」

「そうなんだぁ、、みんな先生なんだぁ、」

「先生のせいかわかんないけど、昔から、うるさくて。サッカー選手には、なれない。なれたとしても、すぐに活躍できなくなるからって反対してて。今回のプロ行きが決まった時、いつものように反対して、今度行くチームの監督がなんとか説得してくれたおかげで、しぶしぶ認めてくれたんだ。で、今回、怪我をして、それでまた、反対しだしたんだ。」


藤澤君の横顔が痛々しく感じて、そっと手を握った。


「ずっとやめろって言われてきたけど、今まで、サッカーをやり続けてきた。けど、改めて考えてみると、正直、自分でもわからなくなったんだ。みんな、普通に進学するなか、俺は、プロに行く。だから、みんなとは違う道を歩くことになる。それでいいのか、迷ったんだ。今回より大きな怪我をしたら、サッカーができなくなる可能性もあるし、親の言うことも、わかるっていうか、、」

僕は、藤澤君の思いを聞き続ける。

「いっそのこと、やめようかなって、、」


その顔が、とても辛そうだ。


「サッカーが嫌いになったの?」

「別に、嫌いになったわけじゃない。昔と変わらず好きだし、プロ行きは、嬉しい。けど、こんな中途半端な気持ちで、サッカーには向き合えない。」


横顔を見ると、まだサッカーをやりたいんだと思った。

サッカーをやって欲しい。好きなら、なおさら続けて欲しい。

けれど、迷っている藤澤君に、好きならやりなよ、なんてそんな軽々しいことは言えなかった。


こんな僕に何ができるんだろうか、、

何もできないんじゃないのか、、


僕は、藤澤君にそっと寄りかかった。


「サッカーをやっても、やらなくても、僕は、ずっと、そばにいるよ。」


サッカーをやっている藤澤君に恋をした。

その光景を思い出す。あの楽しそうな顔を。

本当は、やってほしい。

けれど、そんなことは今の僕には、言えないよ、、


「そっか、ありがとな。」


寄りかかったら、藤澤君の体温を感じ、痛みが伝わってくる。

こうしていれば、少しは、楽になってくれるのだろうか。


子供の声が遠くから聞こえてきた。何か試合をやっているようだ。


「試合か、」

「見に行ってみる?」

「そうだな、」


僕らは、声がする方へ行くと、少年サッカーの試合をやっていた。

しばらく試合を遠くから見ることにした。藤澤君の横顔を見たら、やっぱりサッカーをやりたいんだと思えた。


あぁ、やっぱりやりたいんだ、、

けど、その一歩が踏み出せないんだ、、

僕が、その背中を押してあげたい、、



それから、公園を散策し終え、駅に戻り、今日は、ここで別れることにした。

「いろいろ、聞いてくれて、ありがとな!」

「ううん。話してくれてありがとう。」

「じゃ、また学校で!」

「うん。バイバイ!」


藤澤君と別れ、僕は、どうしたら、サッカーをやるきっかけを作れるのかを考えていた。


わからない、、、


とりあえず、サッカーボールを買って帰った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ