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『願いの木』-世界を超えた僕の運命の物語-  作者: シュン
第5章:体育祭
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5-4 練習

体育祭まで、残り二週間となり、出場種目の練習が始まった。

全体種目の棒倒しや簡単な種目は、体育の授業内で行い、練習がより必要な種目は、放課後にすることになっている。玉入れは、授業内で練習できたけれど、騎馬戦は、放課後に練習する種目となった。


今日は、騎馬戦の最初の練習日。

体操服に着替え、校庭へ出る。辺りを見渡すと、明らかに運動部で強そうな人ばかりだった。改めて、自分が立候補した騎馬戦というものを考えてしまう。


僕は、どうしても出ないといけないんだ、、

二人の思いを無駄にはしたくない、、

藤澤君が僕をどう思っているのかはわからないけれど、

武藤君の思いには、僕なりに応えないといけないんだ、、


先生を待っている間、藤澤君が僕の隣へ来た。

「寒いけど、大丈夫か?」

「うん、、けど、こんな寒い中、毎日練習している運動部は大変だね、、」


冷たい風が吹きつけ、遠くから運動部の声が聞こえている。

いつもこんな寒い中でみんな頑張っているんだとしみじみ思う。


「慣れだよ、」

また少し笑ってくれた。


体育の岡崎先生が来た。相変わらず、怖そうだ。

「みんな集まっているな。今年の騎馬戦は、このメンツか。お前がいるのか。珍しいやつもいるもんだな。」


先生は、僕を見て、豪快に笑っていた。


「まぁ、いい。騎馬戦のルールを説明する。四人一組で騎馬を作り、騎馬には二種類あって、一つが、プリンス騎馬。もう一つが、ナイト騎馬だ。プリンス騎馬の騎手は、王冠を被る。王冠を先に取るか、プリンス騎馬を崩せば勝ちとなる。逆に王冠を先に取られるか、プリンス騎馬を崩されれば、負けとなる。また、制限時間内に両チームのプリンスが残った場合は、残ったナイトの数が多い方が勝ちとなる。ただし、残ったナイトの数が同数の場合は、チーム内で代表者を決めて、一騎打ちで勝負を決める。ルールは、以上だ。ここからは、プリンスを決める。」


先生は、じっと僕たちを見つめた。


「白組は、、、山口、お前がプリンスだ。あと赤組は、お前だな。」


赤組で選ばれた人を見ると、僕と同じように小柄な体型の人だった。


「残りは、ナイトだな。誰が騎手になるか、騎馬になるかは、組ごとで考えろ。勝敗を決める可能性もあるから、しっかり考えろよ。」


僕たちは、組ごとに分かれて騎手と騎馬を決めるために話し合った。

僕の知らない人達がたくさんいる中、藤澤君は、何人かの人と親しげに話をしていた。みんなの話を聞いていると、やっぱり運動部の人たちだった。

誰が騎手になったら、有利になるかを考えたり、騎馬の前の人は、体格が大きな人がいいとか、様々な角度から話している。


僕は、話の中に入ることができなかったので、ただその光景をぼんやりと聞いていた。


「おい、プリンスはどう思うんだ?」

急に知らない人から話かけられた。

「えっーと、それでいいんじゃないのかなぁ、、、」

苦笑いをした。

「おいおい、しっかりしろよ!!俺らのプリンスなんだから!!」

「ごめん、、」

みんなが僕を見て笑っていた。


話し合いは、終わり、先生が、話し出す。

「それじゃ、練習やるぞ。まずは、騎馬の作り方からだな。見本を見せるから、白組のプリンスのメンツ出てこい。」


「は、はい、」


僕は、ドキドキしていた。先生は、騎馬の作り方を丁寧に教えてくれる。


「山口、ここに乗れ。」

「はい、、」

僕は、三人が作ってくれた騎馬に乗った。


「さ、ゆっくり起きあがれ。」


そう言うと、騎馬が少しずつ上がり、かなり高い位置まで来た。

ここから見える景色は、かなり高くて怖い、、


「軽っ!!」

騎馬として支えてくれている三人が、笑い、ふざけて、少しだけゆすった。


「ちょっ、、あぶ、、な、、」

みんな、笑っていて、やっと、騎馬から降ろしてくれた。


「お前、本当に大丈夫か?特別に他の種目と変わってもいいんだぞ。」

先生は心配している。


「いえ、大丈夫です。」

僕は、強く断った。


「ならいいが、次は、赤組だな。」


こんな感じで、騎馬の組み方の練習は終わった。


練習後、藤澤君は僕の知らない人と話している。

「てかよ、藤澤、どうしてあんな奴が騎馬戦なんか立候補したんだ?」

「悪い。俺のせいなんだ。」

「どういうことだ?」

「詳しいことは、言えない、、」

「そっか、まぁ、どうでもいいけどさ、しっかりやってくれよな!!」

「ああ。」


あぁ、どうしよう、、、

みんなに迷惑をかけている、、、

けど、頑張ろう、、


そう強く思った。


それから、放課後は、騎馬戦の練習が続き、戦い方、安全性の配慮、様々な観点から練習に取り組んだ。練習が進むごとに、みんなと少しずつ仲良くなることができ、藤澤君と話をしていた人は、サッカー部の知り合いだと教えてくれた。練習中は、みんな厳しかったけど、練習が終わるといつも決まって優しくなる。プリンス騎馬をやってくれる三人は、野球部、柔道部、空手部で強くて優しい人だ。この人たちに負けないぐらい、僕も頑張ろう。



そして、体育祭前日。

今日は、練習もなく、久しぶりに響君と帰ることになった。

「とうとう明日かぁ、、」

「騎馬戦の練習は、順調?」

「できる限りのことはしたかな、、」

「当日、怪我しないようにね。まさか、愁君が騎馬戦に出るとはね、今でも驚きだよ。」

「また、心配かけちゃったね、ごめんねー」

「いいけど、、理由は、聞かない方がいいかな、、」

響君が遠くを見つめながら言った。

「うん、、ごめんね、、、」

「まぁ、なんとなくわかるけどさ、、愁君は、辛くないの?」

「辛い、かぁ、、そうだね、、辛いかなぁ、、けど、覚悟はもうできたと思う。」

「わかった。明日は、応援するね!!」

「ありがとう。」



もう覚悟はできているつもりだ。

武藤君の思い、藤澤君の思い、そして、僕の思い。

もし、武藤君が勝っても、僕が、藤澤君を好きだということに変わりはない。だから、武藤君の思いにはどうしても応えられない。

きっと、武藤君は、自分が勝っても僕が応えないことを知っている。

どちらに転んでも決して結末は変わらない。

それでも、この勝負を望んだ。


その思いだけには、全力で応えたい。


だから、当日、僕は、全力で臨むんだ。


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