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『願いの木』-世界を超えた僕の運命の物語-  作者: シュン
第3章:夏休み
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3-8 海の終わり

夜が明けた。

寝ぼけた意識で目を開けると、藤澤君が目の前まで来ていた。


ドキっ、どうしてこんなことに、、、、


朝から心臓の鼓動が高鳴る。

「ん、、ん、、」

藤澤君が寝返りをうち、向こうをむいた。

落ち着きを取り戻し、反対側を向くと、武藤君がすごい寝相でお腹を出していた。武藤君のパジャマを直してあげる。

「ありがと」

強引に胸の中へと引っ張られる。

「ちょっ、と、、、起きてるの?」

僕は小声で聞いてみた。

「へへ、、、」

無邪気に笑っている。どうやら眠っているみたいだ。しばらくして、離してくれた。

「はぁ、、、もう、ビックリするなぁ、、」

辺りを見渡すと、重岡君と優君と響君はすでにいなかった。一階に降りると、歯磨きをしている響君がいた。

「おはよう!」

「おはよう!眠れた?」

「うーん、、なんとか、、昨日の怖い話でちょっと、、」

「あれは、さすがに怖かったねー」

「本当、重岡君、怖いよぉ、、ところで、優君と重岡君は?」

響君が外にある海辺の椅子を指差した。

「あー、なんか、いい感じだねー」

「そうだねー」

「いいなぁ、、、、、」

僕は、優君たちを見ながら呟いた。

「愁君も恋人作れば?」

響君が唐突に言う。

「えっ、、そんな、無理、無理、僕には、、、、」

「そうかなぁ、、愁君、もててると思うけどなぁ、、、」


「おはよう!」

凛君が降りてきた。

「あれは、玄と優君か?いい感じじゃん!!」

凛君はニヤニヤしている。僕たちは、一緒に歯磨きをする。しばらくすると、優君と重岡君が戻ってきた。優君の目は、真っ赤だ。

「優君、どうしたの?」

僕は、心配して声をかける。

「嬉しくて、、、」

「付き合うのか?」

凛君が、重岡君に尋ねた。


「私たち、付き合うことになりました。」


重岡君は、微笑みながら優君の手を握り宣言した。

「おめでとう!」

僕は、勢いあまって、優君に抱きついた。

「ありがとう。」

優君は、嬉し泣きをしていた。


「朝から何事だ?」

武藤君が、ぼさぼさ頭で降りてくる。その後ろには、藤澤君と東条君もいた。

「勇、私たち付き合うことになりました。」

そう改めて宣言する。

「やったな!玄!おめでとう!」

武藤君は、元気よく重岡君の肩を叩く。

「おめでとう。」

藤澤君が、寝起きでボンヤリしながら言った。

「おめでとう、玄くんー」

東条君が、重岡君に抱きついた。


「朝から、元気だねぇ」

叔父さんが降りてくる。叔父さんにも報告する。

「それはよかったね。じゃあ、祝杯を込めて、お昼は近くに美味しいところがあるから、そこへみんなで行こう。」

「そんな悪いですよ。」

重岡君は丁寧に断る。

「いいんだよ。叔父さんに祝福させておくれ。」

「そうですかぁ、それならお願いします。」

こうしてお昼ご飯を食べに行くことが決まった。


お昼まで自由時間となり、それぞれ海を楽しむこととした。優君は、自分の描きたい絵がもう少しで浮かぶかもしれないと言い、近くを重岡君と散策していた。響君は、三階に叔父さんが好きな曲の楽譜があることを知り、それを見てみると言った。藤澤君は、椅子に座り海を眺めていた。僕は、藤澤君の隣に座る。

「泳がないの?」

「ああ、こうして海を見ている方が落ち着く」

静かな瞳で海をただ見つめている。


その横顔が、カッコいい、、


僕も一緒に海を眺める。


「あっという間だったね。もっと、ここにいたいなぁ、、」


ふと藤澤君が言った。

「来年も一緒に来よう。」


突然の誘いの言葉に驚くとともに照れてしまう。


「うん、、、来年も来ようね、、、」


あぁ、海がとても綺麗だ。



「もちろん、俺達もな!」

後ろで水着姿の武藤君と凛君と東条君がいた。凛君は、僕らを見てニコニコしている。

「泳ぎに行くぞ!!」

武藤君が僕の手を引っ張る。武藤君の手に引かれ、水着に着替える。

「ほら!恭くんも!!」

東条君に誘われ、藤澤君も水着に着替えて、みんなで海へ向かう。しばらく海に入り楽しく遊んでいると、優君たちが、戻ってきた。叔父さんが、浜辺から僕たちを呼んでいる。遊ぶのをやめ、別荘へ戻った。


お昼ご飯を食べるためにワゴン車に乗り込み、車を走らせること、10分。立派な旅館に着いた。

「やぁ、久しぶりだね」

旅館から年配の人が出てきて、叔父さんに話しかける。

「急にごめんね。」

「なーに、構わないさ。君の頼みならね。」

叔父さんが、耳元で何かを話している。ここからでは、よく聴こえなかった。

「みんな、中に入ろう。」

僕らは、案内され中へと進む。趣があって落ち着いた旅館だ。九人全員が座れる個室へ案内され、その席は、木彫りでとても綺麗だった。四人と五人が向かい合う形で座り、入り口に近い方から僕、優君、重岡君、武藤君、向かい側は、武藤君の前から、叔父さん、凛君、響君、東条君、藤澤君となった。しばらくすると、豪華なご飯が出てきた。

「うめぇー。」

武藤君が、叔父さんにお礼を言いながら早速食べている。僕も食べ始め、どれもとても美味しかった。みんな、出てくる料理に舌鼓を打つ。お昼ご飯を食べ終わろうとした時、案内の人がイチゴのホールケーキを持ってきてくれた。叔父さんからのサプライズケーキだった。

「これは、私からだよ。本当におめでとう。」

重岡君たちに優しく微笑む。

優君と重岡君は、丁寧にお礼を言う。

「どうして僕らにここまでしてくださるんですか?」

重岡君が叔父さんに尋ねる。

「私はね、子供が大好きでね。もう昔のことなんだけど、自分の仕事を優先したばかりに結婚した人とうまくいかなくなってね。仕事では成功したけど、彼は去ってしまったんだよ。今頃、子供がいたら君らぐらいなんだろうねって最近思うようになってね。だから、若い子たちには、いろいろやってあげたくなるんだよ。」

叔父さんが、寂しそうだった。

「あっ、ごめんね。祝いの席なのに。ほら、ケーキ食べて。」


「今からでも遅くない、、、とウチは思います。」


優君が、叔父さんをじっと見つめて言った。

「そうですよ。まだ遅くないですよ。」

重岡君も言い、僕らみんなが同意する。

「まいったねー」

叔父さんは、頭をかいていた。

話もひと段落して、僕らはケーキを食べ終える。そのケーキは、甘くて美味しいの一言だった。僕らは別荘に戻り、帰りの準備をする。準備をしながら全てが名残り惜しく感じる。この別荘もそして、この綺麗な海も。何もかも、まるで宝石のように綺麗な思い出の1ページとなり、僕の胸に染み込んでくる。


本当に楽しかった、、


叔父さんが初めの待ち合わせ場所へ送ってくれた。

「君たちには、元気をもらえたよ。ありがとう。」

「僕らの方こそ、ありがとうございました。」

みんなでお礼を言う。

「また、いつでも来てね。」

笑顔で去って行った。


「さてと、帰るか!」

みんなで途中まで帰ることになった。駅の改札を通り、電車を待つ。ここから見える海の景色は、キラキラして綺麗だ。僕は、後ろ髪を引かれる思いで電車に乗り込む。電車が進むにつれて、武藤君と重岡君、そして、藤澤君と東条君、そして、凛君と順番に降りて行った。

「三人になっちゃったね。」

僕は、変わりゆく景色を眺めながら言った。

「早かったねぇ、、、」

優君が呟く。

「あっという間だったね、」

響君もしみじみと言った。



終わりゆく、旅路。

旅の終わりに感じる切なさが僕の胸を締めつける。

同時に、今までのみんなとの暖かい思い出が僕を次へと旅立たせてくれる気がする。


僕らは、初めの駅へ降りた。

駅に降りると、辺りは、すでに暗くなっていた。

みんなとまた会う日を約束して僕らは別れた。



こうして、僕の海旅行は終わりを告げた。



―――――――――――――

第三章「海旅行」終わりました。

愁君と藤澤君の関係が少しだけ発展したと思います。

二人とも奥手だから、なかなか進まないかもしれませんが、応援してやって欲しいです!!次は、第四章「登山大会」です。ここからやっと恋愛にエンジンがかかってくると思います。引き続き、読んでいただけると幸いでございます。


追伸

定期演奏会編を書いています。思いのほか、長くなってしまったので、本編では渇愛しています。閑話として第3.5章として、載せました。お時間がない方は、第四章に進んでもらって大丈夫です!!


もし時間が許せるなら、読んでいただけたら幸いでございます。

僕としては、今読んでも泣けてしまいます( ;∀;)




著者:シュンより



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