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『願いの木』-世界を超えた僕の運命の物語-  作者: シュン
第3章:夏休み
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3-6 お風呂

花火の後始末を終えるとすぐにお風呂に入ることになった。あの大きさのお風呂なら八人みんなで入ることができそうだ。みんなで脱衣所へ向かう。

「さぁ、風呂だぁ!」

武藤君が扉を明け水着のまま入って行く。

僕は、自分の水着を脱ごうとする。

「はーい。愁君は、天然ですか?家じゃありませんよ!!!」

凛君が、呆れていた。

「ごめん。そうだったね、、」

僕らは、水着のままお風呂場へ行く。お風呂からは、さっきまで遊んでいた海が見える。夜の海は、昼の海と違いどこまでも暗く、そして遠くに見えた。そっと湯銭につかると、とても癒される。


「はぁ、、気持ちいい、、」


僕は、湯の暖かさに癒しを覚え、ゆっくりと目を閉じた。

こうやって、みんなでお風呂に入る日が来るなんて思いもしなかった。しかも僕の好きな藤澤君がいる。高校三年生で初めて同じクラスになった時は、どうなるかと思ったけれど、今こうして一緒にいることができている。

この幸せな時間が少しでも長く続いて欲しいと思った。


目を開けると目の前に藤澤君がいた。

目が合ってしまい、僕は、すぐに目線をそらす。そらした先に武藤君がいた。

「何を見てたんだ!!」

武藤君が、笑いながら僕をくすぐってくる。

「ちょっと!」

たまには、反撃してみた。

「おっ!!やったな。」

武藤君が、さらにくすぐる。

「あーー凜君、助けて-!!」

「こらー勇!愁君をいじめるなって何回言ったらいいんだよ!」

「愁だって、やったんだぜー」

今度は凜君をくすぐりだした。

「やったな!」

「オイラも混ぜて!」

東条君が、参戦する。

「こら、勇、いいかげんに、、」

重岡君が東条君にくすぐられる。

「やりましたね。瞬!」

そして、東条君は藤澤君をくすぐる。

お風呂は、海と同じく混戦状態になってしまった。

その様子を優君と響君が、やれやれと言った感じで眺めている。

<お風呂こちょこちょ合戦>も終わり、みんなで身体を洗うことになった。

「このシャンプーいい香りするねー使っていい?」

優君が、僕の持ってきたシャンプーを見ながら言う。

「うん、いいよ!」

このシャンプーは、なぜかシャンプーにうるさい夏兄が使っていて、僕にもお勧めしてくれた。使い始めると、髪が艶やかになった気がする。

「俺もそれ使わせろよ!」

武藤君が、泡まみれの身体で近付いてきた。

「やべぇー、愁の匂いがするな。」

シャンプーの匂いをかぎながら武藤君が言う。

「もう、、」

僕の匂いって、、、武藤君は、、まったく、、

「愁君、俺も使うね!!」

隣にいた凛君が使い始める。結局、みんなにシャンプーが回り、全員使うことになった。シャンプーは終わり、身体を洗おうとすると、

「お背中、流しますよー」

優君が、笑いながら言った。

「えっ、いいよ。」

「いいから。いいから。任せてよ。」

ゆっくりと背中にスポンジをあててくれる。

「ちょっと、、痛いかな。」

気づくといつの間にか武藤君に変わっていた。

「優くーんーー」

優君は、僕に手を合わせて、ごめんと言っていた。

「あの、痛いんですけど、、、」

「そうか?これぐらいが調度いいだろ!にしても、愁は、細いな!もっと、肉食わせばよかったな。」

「えっ、、ただのデブになっちゃうよ。」

「一緒に筋肉もつけんだよ。俺と筋トレするか?」

「勇、お前とやると、愁君が変な方向に行くからやめとけ。」

凛君が武藤君を叱ってくれた。

「そうですよ。ムキムキの山口君になりますよ。」

重岡君が言う。

「それは、気持ち悪いな!」

武藤君が、笑っている。

「オイラたちは、先に上がるねーのぼせちゃったーー」

東条君と藤澤君が先に上がる。響君も少しのぼせたと言い上がった。僕らも、身体を洗い終わり、すぐに上がった。身体をふき、一人ずつ更衣室に入り、持参したパジャマに着替える。僕のパジャマは、トレーナーの真中に猫の絵が描いてあって、咲父さんが買ってきてくれたのを愛用している。

二階に上がると、

「愁君のパジャマ、可愛いー。」

優君が僕に言う。

「優君のだって、可愛いよー」

優君のパジャマは、少し薄いピンク色でイチゴのマークが描いてあった。

みんなのパジャマを見渡すと、武藤君は、シンプルな黒のジャージ、重岡君は、黒の甚兵衛、藤澤君は、青色のジャージ、東条君は、猫の耳がついた可愛いキャラクターの着ぐるみタイプのパジャマ、凛君は、スタイリッシュな黒と白を基調としたパジャマ、響君は、少し光沢がある上品なパジャマだった。

みんな、それぞれ個性が出ているパジャマだ。

僕は、優君の隣に座る。

「布団敷くか!」

武藤君が先導しみんなで協力して八人分の布団を敷いた。寝る場所をどこにしようかなと迷っていたところ、

「俺は、ここだな!」

武藤君が、一番入口から遠い端っこを指定した。

「愁は、俺の隣な!」

「はい、はい、」

武藤君の強引さに慣れた自分がいる。

「オイラは、入口に近い方がいいかなぁ。」

東条君が入口に近い場所へ座る。

「じぁ、俺は、ここだな。」

藤澤君が東条君の隣に座る。


藤澤君と隣かぁ、、


「俺も端がいいな。響君もきなよ。」

凛君は、武藤君の前に座り、その隣に響君が座る。

「残りは、私たちだけですね。どちらがいいですか?」

重岡君が優君に尋ねる。

「どっちでも大丈夫、、、」

「それなら、私が入口に近い方にしますね。」


こうして、寝る場所が決まった。


武藤君と藤澤君に囲まれて、寝れるだろうか、、、、

緊張する、、、


「さ、寝る場所も決まったし、怖い話でもするか!」


武藤君がまさかの提案をした。


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