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『願いの木』-世界を超えた僕の運命の物語-  作者: シュン
第2章:男性だけの世界
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2-4 お見舞い

しばらくの間、家族で様々な事を話した。皐兄が、いつも仕事で忙しくて、たまに家に帰る時に、大量のお土産を持って帰ることや、夏兄が、経済の勉強をしていること。咲父さんが、忘れっぽくて、買い物で買うものをよく忘れること。

色々な事を聞くたびに、僕は、曖昧だった記憶に少し輪郭が入った気がする。


「それじゃあ、私は行くね。」

皐兄が言うと、僕を優しく抱きしめてくれる。


「ありがとう。皐姉」


ふいに言った言葉。

自分が言った言葉なのに違和感を覚える。


「なに?ねぇって?」

家族みんなが不思議な顔をする。

「わかんない、、なんだろ、、、ははは、、ごめんね、、、またね!皐兄!」

自分の言った言葉に戸惑いながらも元気よく微笑んだ。

咲父さんが皐兄に聞く。

「もう行くの?」

「ごめん。外せない仕事があって。愁ちゃんのことを頼みます。」

「清さんも何か言ってくださいよー」

「また時間を作って帰ってこい。」

「わかりました。」

「じぁあな!皐兄!」

皐兄が出て行った後、咲父さんは、しばらく怒っていた。


突然、携帯電話が鳴ると、お父さんが、病室から出て行った。しばらくして、お父さんは、響君を連れてきた。


「愁、音宮君が来てくれたよ。」

久しぶりに響君に会った気がする。その顔は、少しやつれて見える。

「二人で話したいこともあるだろうし、私たちは、外にいるよ。」

僕たちに気を使ってくれて、三人は出て行った。


「久しぶり!わざわざお見舞いに来てくれてありがとう!」

響君は、僕に駆け寄り、抱きしめながら泣いていた。

「どう、、したの?」

「愁君が、、いなくなるんじゃないかって、、、ずっと不安だった、、、」

「大丈夫だよ。僕は、ここにいるよ。」

そっと、響君の背中に手を回す。

「ごめん、、、僕が代わりになれなくて、、、」

「何言ってるの、、、響君が、助けてくれたって聞いたよ。ありがとね、、、」

僕は、優しく微笑んだ。


しばらくして響君は、落ち着きを取り戻し椅子に座った。

「僕ね、少し記憶がないみたいなんだぁ、、」

「さっき、清さんから聞いたよ。」

「そっかぁ、、それでね、事故のこと、何も覚えていなくて、、どんな感じだったの?」


お父さんからさっき聞いたけど、響君からも聞くと何か思い出すかなと思った。


「そっか、、青信号で渡っていた時に、ほんと、急に車が横から突っ込んできんだよ。一瞬の出来事だったんだ、、、、」

「そう、、だったんだぁ、、」


響君から聞いても、全く記憶を思い出せなかった。


「無理に思い出す必要はないよ!それより、明後日、退院なんだってね!おめでとう!」

響君は元気よく言う。

「うん、ありがとう!」

「学校には、すぐに来れるの?」

「ん、、、わかんない、、けど、もう大丈夫だと思うから、すぐに行けると思うよ。」

「凛君も心配してたからさ。」

「凛君?」

僕は首をかしげた。

「そうだよ、、、わからない?」

「りん、、、りん、、、、うーん、、、」


どこかで聞いたことはあるんだけど、、、

わからない、、


「無理しなくて大丈夫だよ。」

「写真とかある?」

「あるけど、、、」

「見たい!」


響君は、携帯に保存してあった写真を見せてくれた。三年生の初めに三人で桜を見に行った時の写真だと説明してくれた。


「わかんない、、けど、知ってる気がするんだけど、、、、うーん、、、」

「大丈夫?ゆっくり思い出せばいいよ。」

「ん、、、大丈夫、、どんな人?」

「そうだね、愁君と同じクラスで、ブラスバンド部で三年間一緒だよ。部活内では、一番の仲良しだねー」

「会えば、思い出すかなぁ、、、、」

「思い出すよ!僕もそばにいるし!」

「ありがとう。」


それから、響君と色々話した。学校の事、僕の友達に美術部の優君という仲がいい人がいること。学校のことは、知っているはずなのに、ところどころ記憶がぼんやりとしたままだった。話がひと段落した頃、三人が戻ってきた。


響君が椅子から立ち上がる。

「それでは、僕はそろそろ失礼します。愁君、またね!」

「まだいても大丈夫だよ。」

お父さんが、響君に言う。

「いえ、愁君の顔を見れて安心したので大丈夫です。それにご家族の団欒を邪魔したくありませんし。」

「そうかい、それなら出口まで送るよ。」

夏兄が会話に入る。

「俺が送るよ!」

「そうか?わかった。じゃあ、音宮君を頼む。」

「行くか!」

「はい。」



「響君、来てくれてありがとう!嬉しかった!また学校でね!」

「うん!また学校で!」


響君と夏兄が出て行った。



ありがとう。響君。


心の中でもう一度言った。


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