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『願いの木』-世界を超えた僕の運命の物語-  作者: シュン
第2章:男性だけの世界
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2-3 事故の説明

僕は、目を覚ましてからずっと疑問だった。どうして自分が病院にいるのか。病院に行った記憶が全くないのだ。


「お父さん、僕は、どうして病院にいるの?」

「そうだよな。まずは、事故の説明をしないとな。」

お父さんが、ゆっくりと事故の説明をしてくれる。

「下校中に、横断歩道を渡っていると、車が横から突然ぶつかってきたんだよ。わき見運転だったそうだ。それで、意識を失って救急車で運ばれたんだ。」

「そう、、だったんだ。」

「一緒にいた音宮君がすぐに救急車を手配してくれなかったら、危なかったんだよ。音宮君のことは、わかる?」

「うん。響君だよね、わかるよ。」

お父さんは、何かを考えているようだった。

「お父さん?」

「あっ、ごめんな。退院したら音宮君にお礼を言うんだよ。ずっと愁のことを心配してくれていたから。いい友人を持ったね。」

「うん。わかった。」

響君が、助けてくれたんだ。僕は、心の中でお礼を言った。

「退院はいつできそうなの?」

「先生の話では、明後日だよ。」

「明後日か。」


扉が開く。目覚めた時にいたスーツ姿の男性が入ってきた。

「皐、来たのか。話があるから、来なさい。」

お父さんは、その男性と出て行った。

「ホント、すぐに退院できてよかったな!」

若い男性が、話かけてくる。

「はい。早くみんなに会えるといいなぁ。」

「音宮君の他に、誰に会いたいんだ?」

僕は、学校の風景を思い出した。その光景は、どこか曖昧としていてうまく思い出せない。いつも一緒にいた人の名前が思い出せない。響君の隣にいる人。そして、教室でいつも話をしている人。藤澤君や武藤君のことは、思い出せるのに、、、

いつもそばにいる人が不思議と思い出せなかった。


「誰、、かな、、、」

僕は、少しだけうつむいた。

「まぁ、行けばわかるよな!それより、なんか飲むか?オレンジジュースとか?」

「お願いします、、」

僕は、オレンジジュースを飲んだ。久々に飲むジュースは、おいしかった。

しばらくして二人が入ってくる。

「明後日、退院できるみたいだね。よかったね。」

笑顔でスーツ姿の男性が言う。

「はい。ありがとうございます。」

「私のことは、わかる?」

「ん、、、、」

お父さんが話に入る。

「皐、やめなさい。」

「はい。ごめんね、愁ちゃん。」

頭を撫でてくれた。

「いえ、、、」


沈黙が続く。


僕は、この沈黙に耐えられず、お父さんに向かって聞いた。



「僕は、記憶喪失になったの?」



病室の中は、その言葉だけがこだましている。


しばらくして、覚悟を決めたお父さんが僕に言ってくれた。

「あぁ、そうだ。事故の影響で一時的に記憶がないところがあるらしい。けど、先生の話だと、徐々に記憶は戻るそうだから、心配しなくていいからね。」

「そっかぁ、、、早く、戻ればいいなぁ、、」

「ゆっくりでいいんだよ。みんな、そばにいるからね。」

「うん。」


僕は、深呼吸をする。

記憶を取り戻したい。

こんなに優しい人を忘れているのは、心苦しかった。


「お父さん、みんなを紹介してほしい!」

「わかった。」

お父さんは三人を紹介してくれた。咲父さきとうさん、皐兄さつにい夏兄なつにい。三人は、僕の家族だった。紹介を聞くにつれて僕の心は、妙に納得がした感じがする。昨日、夢で見た光景は、よくわからないけれど、ここにいる三人が僕の家族に変わりがないと思えることに不思議な感覚を覚えた。


僕は、改めて、みんなに言った。

「心配かけてごめんなさい。これからもよろしくお願いします!」

「気にすんな!」

夏兄が笑顔で元気よく言う。

「私たちは、家族だから、気にすることはないんだよ。」

皐兄も優しく言ってくれた。咲父さんは、泣いていた。



僕は、多くの愛を受けて育ったんだと思った。


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