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那須大八郎宗久  作者: 黒井 羊
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椎葉

 北条政子は行商人の一行に那須大八郎がいない事に気付いた。今回、行商人に同行させ行かせた先は日向(ひむか)の椎葉である。平家の落人の集落であるが故、即座に不安が脳裏をよぎる。

「大八郎はどうした。別行動を取っておるのか。」

「それがです尼御台、何と申し上げてよいやら。大八郎が戻って来てもお叱りにならずに頂きたい。」

 行商人の頭である水流(つる)は只々ゲラゲラと笑っている。

 水流の態度からして大八郎が無事なのは分かったが政子は尋ねた。

「何がそんなにおかしいのだ。」

 水流は小指を立てた。それを見た政子も〈あはははは。〉と大声で笑い出した。

「山の中だぞ。まさか狸や狐が化けているのではあるまいな。」

 これが笑わずにいられるかと言った表情で政子は喋った。

「それがです尼御台。もののけが化けてるとしか思えぬほどの美しき女なのです。椎葉では鶴富姫と呼ばれておりました。今の大八郎なら子供に脇差を持たせても殺せます。」

 政子は水流に背を向けて笑うだけ笑う事にした。あの武術の達人大八郎が、天狗の技でさえ使う大八郎が骨抜きになっている姿を想像するともう笑いが止まらない。同時に早く熱が冷めて早く平常に 戻ってくれればと願った。

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