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悪役令嬢は婚約破棄を言い出した王子様に決闘を申し込む。  作者: 藤宮サラ
第一章 決闘まで

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【番外編】卒業パーティー2(レオンハルト視点)

ブックマーク等ありがとうございます。


前話の続きです。



 決闘に勝てば、アリアを連れて帰る。

 そう宣言すれば、この後すぐに彼女を連れ去る名目が出来る。

 クリストファーなど決闘する価値もない、そう断言出来るが、アリアを手に入れる為なら話は別だ。魔法であっても、剣を交えたとしても、楽勝だろう。


 アリアは実に迷惑そうな顔をしたが、構わず、防御空間に入る。


 アリアの空間防御魔法は、実に良く出来ているよなぁと、いつもながら感心してしまう。これは絶対初見では破れないだろう。


 アリアは俺を見据える。


「あら、レオン様、お国に婚約者がいらっしゃるのではなくって?」


 エリスの後釜だと吹聴している令嬢の事か?

 全く幾ら否定しても、アリアは信じてくれない。


「あれは向こうが勝手に言っているだけだ。決まった相手はいない。だからアリア、結婚しよう!」


  遠回しに言っても、アリアには伝わらない。

 いや、ストレートに伝えても、伝わっていない。

 一体どうしてだ?俺の何が悪いんだ?


「わたくしもレオン様とご一緒できるのは楽しそうだと思いますわ。でも、わたくしはこの様な事を致しましたので、きっと廃嫡になり、貴族の娘では無くなりますわ。だから婚約者なんて無理ですわ。」


 ワザと弱々しく見せているが、アリアは楽しんでいるな。こんなところが一緒に居て楽しいのだが。

 彼女はわかっているのだろうか?


「悪いのはそこにいる馬鹿の方だ。身分が必要なら、この国でも奪い取ってから帰るか?」

 と、腹黒い笑いを浮かべてみる。


 クリストファーが次の王に立てば、間違いなく攻め落とすのは簡単だろう。


「レオン様が仰ると、冗談に聞こえませんから。」


 彼女はため息を吐きながら、呆れた様に俺を見る。


「冗談じゃないぞ。好きな女の為に一国手に入れて何が悪い!」


 俺はアリアを見据える。

 彼女の空色の瞳は、俺を射抜く様に見ている。俺の本心を探ろうとしている様に。


「アリアの為なら、それぐらい苦ではないぞ。お前を連れて帰れば、一万の兵以上の価値がある。私も両親からお前を奪い取って帰ってこいと言われ、面白くも無いアカデミーにわざわざ入学したのだから、お前さえいれば構わない。」


「あら、レオン様もわたくしの力をご存知でしたの?どこから漏れたのか、ゆっくり聞く必要がありそうですね。貴方もやっぱりこの力が必要でしたの?それは婚約者としてではなく、軍人としての勧誘ではなくて?」

 と笑いながら聞いてくる。


 確かに彼女は防御魔法しか、見せてくれてはいない。本当の彼女の力はそれ以上のものだろう。

 だが、俺は彼女の力が欲しいのではなく、彼女自身が欲しい。力など無くとも構わない。


 だから、俺の両親も歓迎している、廃嫡されても問題ないと言いたかったのだが…

 俺は言葉を間違ったか?


「お前はさっき、俺がお前の事を好きだと言ったのを、聞いていなかったのか?」


「いえ、それは私の力が好きと言う事ではなくって?」


 やっぱり誤解されていたか。

 ガッカリするのは後回しにして、今はアリアを口説かないといけないと、気持ちを持ち直す。


「お前自身が欲しい。お前と一緒にいると楽しいと思うぞ。力が欲しい訳ではない。力なら私も充分に持っている。私と手合わせできる相手もそうそういまいし、その時のお前は生き生きとしていて、楽しそうにしている。そんなお前と一緒に国を守りたいと思うのは、自然な事だろう?」


 最初に力目的で近付いたのが、間違いだったのか?

 だが、アリアと接して、彼女の力はどうでも良く、彼女自身に側に居て欲しくなった。

 今までも、俺の気持ちは伝えていた筈だが。


「やっぱり軍へのオファーですか。」

 と、彼女は首を傾げる。


「普段のお前も、力に傲る事も無く、クラスメイトだけでなく、下級生に対しても心配りができる。皆から慕われる。知識も自制心も将来の王妃として充分だ。お前の全てに私の心が持って行かれた。私の妃となってくれ。そこのボンクラとは婚約解消したんだろう?」


「まあ、嬉しいお申込みですが、簡単に「はい」という訳にはいきませんわ。たった今ですのよ。長年の婚約者から婚約破棄されたのは。傷心の乙女心にご配慮くださいませ。」


 アリアは馬鹿王子を見ながら、悲しそうな顔をするが、演技だな。間違いなく。

 やっぱりアリアとのやり取りは面白い。

 俺は口角を上げる。


「そうか。乙女心を解さなくて申し訳ないが、おれには喜んでいる様にしか見えないが。」


 俺がニヤリと笑うと、彼女も口角を上げた。


「あら、バレました?こんなバカの相手をしなくて済むのが嬉しくって。」


「馬鹿馬鹿言うな!」とクリストファーが叫ぶ。


 横から聞こえてきた声に振り返る。


「「馬鹿だから」」と二人の声が重なる。


  すっかり存在を忘れていたな。

 全く鬱陶しい王子だ。


「レオン様、これはわたくしとクリストファー殿下の問題ですわ。隣国の王太子殿下を巻き込む訳にはいきません。婚約解消が無事に成立しましたら、わたくしは、この件できっと廃嫡されると思いますわ。なので平民として一人で自由に生きますわ。」

 と彼女はニコリと微笑む。


 平民として生きると堂々と宣言するアリアは、全く困った様子はない。市井で暮らす大変さを理解していないのか?


「貴族のご令嬢が市井に下って、一人で生きて行く事は難しいだろう?かと言って、国内の貴族に嫁いだとしても、この馬鹿王子が目に入るだろう?ならば我が国に来るのが一番だ。」


「あら、誰が市井で生きていけないのかしら?わたくしを誰だと思って?」


「公爵令嬢だろう?」

 訝しげに答えると、彼女のニコリと笑う。


「ふふふ…肩書きはそれだけではなくてよ。」


「ハハハ!やっぱりお前は面白い!」


 きっと彼女は生きる術を沢山持っているのだろう。

 魔法力だけでも、十分生きていける。

 そう思い当たれば、おかしくなった。

 他国の王太子相手に、堂々と物申し、自分の思いを突き進んでいく。

 ああ、やっぱりアリアに側にいて欲しい。

 彼女は俺の機嫌を伺う事はない。

 俺が間違った時には、遠慮なく正してくれるだろう。俺が迷った時には、一緒に考えてくれるだろう。

 俺がこれから歩む道に、彼女が居てくれたら、どんなにいいだろう。


 クリストファーには勿体ない。

 実力をわからせてやろう。少し脅せば、自分の非を認める筈だ。それでダメなら、潰して仕舞えばいい。


 俺は笑いながら、剣の柄に手をかけようとした時、外から叫び声が聞こえた。


「待て!」


  振り返るとクロードとアリアの兄がいた。

 チッと内心舌打ちしてしまう。


 クロードがアリアの側まで来て、頭を下げた。

 折角いい所だったのに、邪魔しやがって。

 王子達もいないこの場は俺にとって、チャンスだった。


 クロードは義弟の愚行を謝罪し、アリアもそれを受け入れている。

 そこまではいい。だが、クロードはアリアに求婚した。一体何を考えている?

 俺が求婚したから、対抗したのか?

 この国がアリアの力を手放す気が無いという表明か。

 彼がアリアの手の甲にキスを落とす。

 それだけで俺は苛立ちを感じた。俺のアリアに触るなと。


 それだけでなく、決闘も彼が代わると言う。

 アリアは断っているが、クロードは引かない。

 尚且つ、俺の求婚をどうするのかと、横槍を入れてくる。


「レオン様の求婚はいつもの冗談ですわ。わたくしが剣を取らなくとも良いように庇って下さったのですわ。でも、わたくしは庇ってもらうほど弱くはありませんわ。」


 全く俺の気持ちが届いていない事に苦笑しながら、俺はアリアの肩に手を置き、クロードから引き離す。

 クロードを一瞬睨んだあと、彼女の手を取る。


「アリア、冗談じゃないよ。本気だ。婚約破棄になったら連れて帰っても構わないだろう?」


 そう言って、彼女の手の甲にキスを落としながら、追跡魔法をかける。以前かけていた魔法が解術されていたからだ。


「消毒」

 俺は彼女の耳元で囁く。

 彼女の耳が赤くなった。可愛い。

 昨日の涙といい、強がっている時との差が…

 アリアに見惚れていると、邪魔が入った。


「決闘に勝てば、アリアナ嬢を貰い受ける事ができるのであれば、私もこの勝負、加えて頂きましょう!」


「ならば私も。」


「いや、私こそアリアナ嬢に相応しい!」


  ヨハネス、イスマエル、ルーカスが名乗りを挙げてきた。

 アイツらも気付いたか。邪魔されない様、クリストファーが俺たちを足止めしようとした事を。


 誰がクリストファーの相手をするかを揉めている間に、アリアはそれらを断り、クリストファーと二人きりの空間防御魔法を作り、彼と向き合っていた。


 あくまでも自分でケリをつける気か。

 邪魔は出来ないか。

 いざとなれば加勢するかと、見守る。


 彼女の剣捌きは見事だった。

 魔法力を使わず、ドレス姿であそこまで剣が振るえるなど、考えられない。

 だからこそ、アリアだと思う。

 見惚れるほど綺麗な剣捌きは、剣舞を見ている様だった。


 服だけを切り裂くなど、子供の喧嘩で済ませるつもりなのだろう。


 呆然としているクリストファーに、王族としての心得を説き、華麗に挨拶をして、消えた。


 転移魔法か?

 クロードが追いかけて行くのと同時に、俺も追う。

 さっきキスを落としながら、追跡魔法をかけておいて正解だったな。


 着いたのは、民家なのだろうか?

 貴族の令嬢の部屋にしては、小さめだが、小さな机とベッドが置かれたセンスの良い部屋に、アリアが背を向けていた。


 俺の前には、クロードとアリアの兄がいた。

 二人は怒りが収まらない様だ。


「へー。ここがアリアの部屋かぁ。」

 俺がそう言えば、アリアがゼンマイ仕掛けの人形の様に、振り向く。


 俺が口角を上げると、彼女は叫びながら、近くのドアの中へ逃げ込んだ。


 クロード達が一緒にいる為、思う様には動けない。


 彼はどう動く?

 この場にいないイスマエルやルーカスの動きも気になる。


 俺はアリアが逃げ込んだドアの前に陣取る二人を見ながら、アリアの次の転移先を考えた。


 さあ、アリア、どこへ逃げる?

 逃げ出すその時が、チャンスだな。

 逃さない、そう扉の向こうにいるアリアに向かい、呟いた。



お読み頂き、ありがとうございました。


第3話、レオンハルトの発言部分を一部変更しました。「虫除け」→「向こうが勝手に言っている」


次回はその後を少し書きたいと思います。

少し時間がかかりそうなので、不定期更新とさせて頂きます。

お付き合い頂けますと、嬉しいです。


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