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悪役令嬢は婚約破棄を言い出した王子様に決闘を申し込む。  作者: 藤宮サラ
第一章 決闘まで

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【番外編】エリスの送別会4(エリック視点)

ブックマーク等ありがとうございます。


更新遅くなり、申し訳ありません。

引き続きエリック視点です。

 アリアナは、首を傾げる。だが、この表情、何か隠している時の表情だ。


「なんの事ですの?」


「クロードが心配していた。お前、婚約を解消するため、動いているだろう?」

 今、問いただして、アリアナが暴走するかもしれないとは思ったが、止めるなら、今しかない。


「お兄様、どこまでご存知ですの?」


 やっぱり何かするつもりか。


「お前が色々とクリストファーとカーラの事を、調べていると報告があった。」 


 アリアナは悪びれず、微笑む。


「流石、お兄様。わたくしもクリストファー殿下が穏便に話を進めてくだされば、表だっては何も致しませんわ。」


 本当か?

 いや、クリストファーが、必ず仕掛けてくると踏んでいるのだろう。


「今、親父が陛下にお前とクリストファーとの婚約解消を願い出ている。もう少し待てば、婚約解消出来るはずだ。だから大人しくしていろ!」


「そんなに待つ時間はありませんわ。きっと。」


「待つ時間がないとは、どういう意味だ?」


「内緒です。お兄様こそ、エリス様と何をお話しされていたの?」


 話を逸らされた。が、アリアナも頑固だ。今話す気は無いという事だろう。


「ルイスの学生の頃の悪行とか、女性問題とかだな。ルイスを操縦するために、色々と知りたかったらしい。」


「エリス様らしいわ。ふふふ…」


 そんな会話をしていたら、曲が終わる。

 アリアナをエスコートして、連れ出そうとすると、三人の王子達がやって来て、アリアナにダンスを申し込む。だが、この状況で王子達と二人きりにさせたくは無い。アリアナに他国が手を出して来る事は避けたい。


「申し訳ありません。妹は少々足を痛めた様で。手当てをいたしますので、今日のダンスはご容赦ください。」

 俺はそう言って、アリアナを横抱きに抱き抱えた。


「お兄様、わたくしなんとか歩けますわ。恥ずかしいですから、下ろしてくださいませ。」

 アリアナも芝居に乗ってくれる。


「お前はそう言って、いつも我慢するだろう?大人しくしていなさい。」

 そう言えば、アリアナは諦めた様で、私の首に腕を回した。


「重くなったな。」

 幼い頃から何度、抱き上げていただろうか。

 成長したなと、感慨に浸る。これは父親の心境だろうか…


「酷い、お兄様!レディに重いなんて!」

 アリアナが至近距離で俺を見上げる。


「冗談だよ。素敵なレディに成長してくれて、俺は嬉しいよ。」

 側から見れば、間違いなく恋人同士の様に見えるのだろう。

 俺を射るような視線で、王子達が見ている。


「ほら、しがみついていろ。手当てに行くぞ。」

 俺はそう言って、ホールを出て、医務室へと向かう。


「お兄様、わたくしはパーティーに戻れますの?」

 アリアナが俺を見上げながら、囁く。


「足を痛めた事にすれば、王子達と踊らなくとも済むだろう?」


「まぁ、そうですが。ダンスぐらいいいじゃないですか?」


「クロードがうるさいんだ。諦めてくれ。俺も彼奴らと二人きりで話す機会は持たせたくはない。」


「クロード殿下もお兄様も過保護ですわ。」


「まぁ、そう言うな。」


 医務室へ入ると、俺はアリアナをそっとソファーへ下ろす。医務室は無人だった。

 時間外に必要な場合は、連絡すれば担当医師が来るシステムになっている。

 俺は防護魔法と防音魔法をかける。

 ついでに 目眩しの魔法もかけておく。

 間違いなく王子達は追って来ているだろう。

 だが会話は聞かれたくはなかった。


「お姫様、足を診ましょう。」


「まぁ、お兄様、治療してくださるの?」

 アリアナはクスクス笑う。

 怪我などしていないから、当然なのだが。


「ああ、包帯ぐらい巻いておくか?」

 俺は棚から、包帯を取り出して、アリアナに見せた。


「ふふふ…足元など他の殿方に見せる事はないですわ。お医者様ごっこの様ね。お兄様。」


「遊んでいる訳ではない。念のためだ。」


「ふふふ…」

 妹は笑いが止まらなくなった様だ。アリアナの屈託のない笑顔を見ることは、久しぶりだ。


 俺はアリアナの足に包帯を巻く。

 細くくびれた足首が艶かしい。

 アリアナは妹だと、心に言い聞かせる。


「ほら、出来た。話を合わせてくれよ。」


「ええ。お兄様。で、何かお話があったのでしょう?」

 アリアナはその空色の瞳の端から出ている涙を指で拭き取りながら、聞いてきた。笑いすぎたらしい。


「お前、好きな奴、いや、気になる奴はいるのか?本当の事を教えてくれ。クリストファーとの婚約は、解消に向けて動いてはいるが、その後はどうする?」


「どうしましょう?」

 アリアナは首を傾げる。


「お前に言い寄っている王子達の中で、良いと思う奴がいるのか?レオンハルト以外にも他国の王子達から、婚姻の申し込みが国宛に来ている。お前がクリストファーとの婚約を解消した後、この国に居づらいのであれば、他国へ嫁ぐ事も選択肢の一つだと思う。使者には断っているが、お前が望むなら、話を進めても良い、と親父が言っていた。」


「あら、お兄様はわたくしを追い出したいの?」


「まさか。俺の元で良ければ、嫁に行かずともずっと面倒を見てやる。だが、お前が好きな奴がいるのであれば、俺は不本意ながらでも、応援する。」


「ふふふ…不本意ながらでも?大丈夫ですわ。殿下方はお友達です。それ以上の気持ちはありません。近隣諸国には興味がありますが、結婚してまで行きたいとは思っていませんわ。」


 俺はクロードを思い浮かべる。他国に行かないと言い切ったアリアナを知れば、喜ぶだろう。妹以外に興味のないアイツは、今頃、渋面をして使者と向き合っている筈だ。


「そうか。では、国内で誰かいいと思う奴はいないのか?お前の身近な奴で?」


 アリアナは首を傾げる。


「お兄様より素敵な方がいらっしゃれば、考えますわ。」


 クロードは入っていないのか…


「それは嬉しいな。仕方がない。俺が一生面倒見るから、頼るなら俺を頼れよ。無謀な事はするな。」


「お父様とお兄様にご迷惑をかけるわけにはいきません。わたくしが一人で生活出来るぐらいは、蓄えはありますわ。」


 やっぱり身を隠すつもりか。

 色々とコソコソ準備していると報告があった。

 今止めても逆効果だと、泳がせていたが、逃亡先の把握は必須だな。


「一人なんて、許せる訳ないだろう。結婚したくなければ、家に居ればいい。心配するな。親父も俺も、お前が蔑ろにされるのがわかっていて、嫁に出すわけがない。俺にとっては、たった二人の兄妹だ。可愛い妹の為なら何でもする。一生面倒見る事ぐらいわけはない。」


「そのお言葉だけで十分です。」


 アリアナは微笑むが、俺は得体の知れない不安を覚える。国内に身を隠すなら、場所を把握すれば何とかなる。しかし他国であれば、俺の力が及ばないかも知れない。他国の王子達の力を使えば、簡単に身を隠してしまうだろう。


「やっぱりアカデミーを辞めて、家に戻って来ないか?クリストファーも何か妙な動きをしている。アリアナを危険に晒したくはない。」


「大丈夫ですわ。わたくしは。」


「この間の様な事が、またあったらどうする?」


「この間は油断していましたが、次回は遠慮なく反撃いたしますわ。」


「お前なぁ。だが、王子達もお前を狙っているぞ。今日は親父が正式に断りを入れたから、次は強硬手段に出てもおかしくはない。」


「魔法力を全開してよければ、負けませんわ。」

 そう言って、アリアナはブレスレットを触る。


 幼い頃に魔法力を暴走した妹は、魔法力を調整するブレスレットを常に身に着けている。それでもかなりの魔法力だ。


「また魔法力が暴走したら困るだろう?」


「随分コントロールは効く様になりましたわ。ですから、卒業までは、アカデミーに居させてくださいませ。」


 俺は溜息を吐く。こうなったら、絶対に引かないアリアナだ。

「仕方ないなぁ。絶対無理をしないと約束してくれ。」


「ご心配をおかけしました。お兄様。もう戻っても?」


「ああ、ただ俺の側に必ずいろよ。」

 王子達との接触は避けたい。匿うだけだと甘い言葉を囁く奴もいるだろう。


「それでは、わたくしが兄離れできない妹になってしまいますわ。」


「いいじゃないか。話したい友人がいれば話せばいい。俺は側にいるだけだから。」


 俺はかけていた魔法を解いて、アリアナを抱き抱えたまま、外へ出る。案の定、王子達が廊下に立っていた。

 アリアナに声をかけていたが、俺は断りを入れ、パーティー会場に戻る。

 アリアナをソファーに降すと、エリス嬢と数人の女子生徒が取り囲んだ。皆で楽しく話に花を咲かせている。アリアナも年相応の女子らしく、楽しそうだ。

 王子達は女子達に圧倒され、近付けない。それを遠巻きに見ている。


 俺はアリアナの近くに立ちながら、周囲を見渡す。

 この場にいる貴族令息は、中立派かクロード派の貴族達ばかりだった。

 その中には、俺の息がかかっている奴もいる。

 お互い視線だけで、挨拶を交わした。



 その後、エリス嬢が挨拶をして、パーティーは終わった。俺はアリアナを部屋まで送った後、魔法師団に戻り、クロードの執務室へ足を運ぶ。



「クロード、いいか?」


「ああ…どうだった?アリアナは白状したか?」

 クロードは持っていた書類を下に置き、顔を上げた。

 かなり遅い時間だったが、まだ仕事をしていた様だ。


「いや、何か考えているらしいとしか。クリストファーが穏便に婚約解消に応じれば、自分も何もするつもりはないと言ってはいたが。」


「アリアナはクリストファーが何か仕掛けて来ると踏んでいるのか。」


「ああ。確信している様だった。お前の言うように、アリアナがクリストファーに反撃して、身を隠すつもりなのかもな。」


「身を隠すなら、私の宮にずっと隠しておきたい。」


「お前、それ、監禁だからな。犯罪だ。俺は絶対許さないからな。」


「わかっているよ。アリアナを閉じ込めるつもりはないさ。ただの願望だ。」


「いや、願望でも怖いからな。自覚しろ!」


「私が心内でどう思おうが、私の勝手だ。実行するつもりは無いのだからいいだろう。」


「お前なぁ…そう言えば、使者の方はどうなった?」


「公爵が断ってくれたよ。いや、お前の父上だけあるな。」

 クロードは眉間にシワを寄せる。


「で、相手国は納得したのか?」


「食い下がっていたのが3ヵ国だ。一旦持ち帰ると言っていた。大体、公爵がどうせ同じ内容だからと、使者全員を一緒に呼んで、断ったんだが…」


「親父…競わせて条件を上げるつもりか?」

 そう俺が言うと、クロードは明らかに嫌な顔をしていた。ああ、あの親父、本当に挑発したんだ。


「公爵は何も言っていないがな。だが一斉に集められ、あっさり断られた使者達の顔。最初は驚愕し、すぐにお互いを牽制する様に睨み合っていた。全く、条件を上げて話を持ってこられたらどうするんだ。」


「親父はアリアナが望めば、他国に嫁がせても良いと考えているからな。いい条件を引き出したかったのだろう。」

 そう言えば、彼は俺を睨む。相変わらず妹一筋のこの男に苦笑してしまう。


「私がアリアナを貰い受けると言っている。他国には行かせない。」


「だから、アリアナが望めばだ。アリアナは他国へ嫁ぐつもりはないと宣言していたから、心配するな。親父はお前の元へ嫁がせたいとは、思っているよ。ただアリアナの気持ちを大事にしたいだけだ。」


「ああ、わかってはいるよ。」


「仕事は終わったか?」


「今日の分はな。」


「じゃあ飲むか?」


 俺はクロードと飲み明かす事にした。

 アリアナへの想いを散々聞かされ、翌朝後悔したのだった。






お読み頂き、ありがとうございました。


稚拙な文章にお付き合い頂き、感謝しております。

最近頭痛が酷くなり、思うように更新できていませんが、今後もお付き合い頂けますと幸いです。

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