【番外編】アリアナの軟禁生活?(アリアナ視点)
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前話アリアナ視点の続きです。
軟禁宣言?にどう対抗するべきなのか。
とりあえず、権力を使ってみよう。
「ですが、王妃陛下が何と仰るのか。」
「大丈夫だ。アリアナは意識不明で面会謝絶だ。」
う〜ん。王妃陛下では無理か。国王陛下は殿下の言葉を疑いなく信じるだろう。
全く、一体どんな設定にされているのか。
このまま死んだ事にされてもおかしくないかも。
アリアナが死んだ事になって、私が自由になるのであれば、その設定も悪くはないと思うのだけど、監禁生活は嫌だ。
「殿下!あまり理不尽な事を仰るようでしたら、わたくしは今すぐ戻ります。」
私も負けじと強く出てみる。
「無理だよ。私が防御魔法をかけている。ここからは抜け出せない。」
彼はニヤリとする。
ああ、兄が意地悪をする時の顔と一緒だ。
「やってみないとわかりませんわ。わたくしだって解術魔法はできますもの。」
ただし、クロード殿下の防御魔法を解術する事はなかなか成功しないのだけど。
「ほぉ、アリアナも解術魔法は得意になったのかい?」
昔から魔法を一緒に学んでいただけに、私の能力を知っている彼は、私に解術が難しいと知っている。
意地の悪い笑みを浮かべる殿下を、キッと睨みつけるけれど、かえって嬉しそうな顔をされてしまう。
こうなれば、防御魔法を解いて、転移魔法で逃げてやる!と思い、呪文を唱え出す。
「アリアナ!止めろ!」
兄が必死の形相で止めに入った。私の腕をガッツリ掴んでいる。傷がある方でないからいい様なものの、かなりの力を込めてくれている。
反対に殿下は平然としている。やれるものならやってみろ!と顔に書いてある。
「エリック、構わない。アリアナは逃げれないさ。」
確かにそうかもしれないけれど…悔しい。
「クロードもアリアナもいい加減にしろ。アリアナ、事件の聴取と手引きした者を捕まえるまでは、安心して戻せない。それまででいいからここにいろ。卒業前には戻れる筈だ。クロードもそれでいいな。あんまりアリアナの意思を無視すれば、コイツは何をしでかすかわからない。お前も折れろ!」
兄は双方を睨みながら、説得を試みている。
私も兄を困らしたい訳ではない。
傷もあるし、ミレーヌの事も心配なので、しばらくここに滞在する事は吝かではない。
殿下も何か考えるところがあったのだろう。
「仕方がないな。」
と、折れてくれた。
「お兄様、お約束ですわよ。」
そうして私が暫く魔法師団に滞在する事が決まった。
掛布に包まれて、殿下にお姫様抱っこをされて、兄の部屋へと移される。
自分で歩けるから、着替えを持って来て欲しいという私の希望はあっさり却下され、抱き抱えられるのであれば、兄がいいというのに、殿下の笑顔で押し切られてしまう。
「大人しくしているように。外部との連絡もダメだ。わかったな。私の部屋とこの部屋に防御魔法がかかっているが、警備も配置している。何か困ったら、エリックか私を呼ぶ様に。」
そう言って、殿下は部屋を後にした。
本当に軟禁状態だ。
兄の魔法師団の部屋も元は客間だったそうだ。殿下と二人で客間を占拠したらしい。かなり広く、私が寝室を使わせて貰い、兄は執務室兼居間のソファーで寝る事になる。
「お前がいる間は、ちゃんとここに泊まるからな。お前は大人しくしているんだぞ。ああ、服はクローゼットにあるからな。必要な物は鏡台に用意してある。足りなかったら言ってくれ。」
「服?お兄様いつの間に用意してくださったの?」
「俺じゃない。クロードだ。サイズは問題ないはず。侍女は用意するか?家から呼んでもいいが。」
「わたくしはだいたいの事は一人で出来ますわ。夜会に行く事もないでしょうから、お気遣いなく。」
「そうか。いる時はいつでも言ってくれ。」
「ありがとう、兄様。お願いが。」
「何だ?」
「エリス様にわたくしが無事だと伝えて頂けませんか?」
兄は私と向き合って、目を合わせる。
「それは難しいな。クロードも悪気があって、ああ言ったのでは無いんだ。お前の事が心配なんだ。外部にお前が無事だと伝わる事は得策ではない。だからしばらく大人しくしておけ。」
それは私もわかっている。殿下は私の事を心配してああ言った事も、私が心配をかけてしまった事も。
ただ彼女が無用な心配をしているかもしれない事が気掛かりだ。
「わかっていますわ。だけど彼女は一緒にいたので、心配してくれていると思うのです。」
「じゃあ、命の危機は脱して、意識は戻っていないが、今治療を受けているとだけ伝えておこう。」
「やっぱり意識不明ですか?」
「彼女に伝わると、レオンハルトに伝わるだろう?他国には知られたくない事もあるんだ。それで我慢してくれ。」
「わかりましたわ。お兄様も心配をかけてごめんなさい。それとさっきはありがとう。」
「可愛い妹の為だ。だけど心配させられるのは、程々にして欲しい。いくら心臓があっても足りないぞ。怪我をして意識を失った時は肝が冷えた。」
兄にも本当に悪いことをしたと思う。
言い訳にしかならないとわかっていても、つい、倒れた理由を口にしてしまう。ただ声は小さくなったけれど。
「あれは魔法力の調整が上手く出来なくって…」
「まぁいい。これから気を付けてくれ。それより腹が減っただろう?今、食事を持ってこよう。」
「ありがとう。お兄様。」
兄が部屋から出たので、いつまでも夜着はまずいと思い、クローゼットを開く。そこは全て女性用の服だった。
兄から私の為に用意したと話を聞いていても、ここは兄の部屋よね、と首を傾げたくなる。兄の服は入っていない。
うーん。私の服だと話を聞いていなければ、兄に女装趣味があるのか、意中の女性との愛の巣と化している部屋かしら?と想像が膨らむところだ。
とりあえず、試しにと脱ぎ着が簡単で襟ぐりが広い、普段着らしいワンピースを出してみる。
「普段着だと思ったんだけど…」
そう呟いてしまう。それくらい生地は滑らかで肌触りが良く、デザインも華美では無いが洗練されている。
袖を通してみると、あつらえた様にピッタリだった。
やっぱり私の服?
今は疑問は飲み込んで、身支度を整えた。
傷はまだ痛むが、腕は随分動かせる。
後数日で完治できそう。
鏡の中の私は、傷を覆った布が肩口にあり、痛々しく見えるけれど。
髪を梳かし、何とか身なりを整えたと思ったところで、ノックの音がした。
「お兄様?入ってよろしくてよ。」
「私だ。」
クロード殿下だった。
「よく似合う。」
「あの、この服お借りしましたが、どなたかの物では?」
「そこにある服は、全てアリアナの物だよ。遠慮なく使ってくれ。」
「えっ?」
急に用意したと思える量では無い。
必要な物は髪飾りから靴まで全て揃っている。
「こんなに頂く訳にはいきませんわ。」
「構わない。アリアナの為に揃えていたのだから。使って貰った方が物も喜ぶだろう。」
「では、当座の服だけ頂きますわ。ありがとうございます。着心地がとても良くて、気に入りましたわ。」
「気に入ってくれたのであれば、良かった。」
殿下はそう言って、私に近付き、私の傷の上にそっと手を当てる。
その手が優しく温かく、一瞬、ドキッとしてしまう。
さっきの殿下とは違い、心配そうな顔をしている。
襟ぐりが広い方が楽に着れると思い、この服を選んだのだけど、失敗だったかしら。他の人には痛々しく見えたのかもしれない。
「まだ痛むか?」
「多少は。だけど普通の生活はできますわ。」
「医師が傷痕が残るかもしれないと言っていた。すまない。」
まあ、傷痕ぐらいは覚悟していたし。
反対に防御魔法が間に合わなかったのに、これくらいの怪我で済んでよかったと思う。
「殿下が気に病まれる事はございませんわ。わたくしが狙われていたのです。殿下を巻き込んでしまった、わたくしの責任ですわ。」
「だが…」
「そうですか。傷痕が残るのですね。いい事を伺いました。」
殿下の言葉を遮ってしまう。
失礼だと思ったが、これ以上責任を感じて欲しいとは思わない。それに、これを理由にクリストファー殿下との婚約解消を申し出てみよう。クリストファー殿下は傷痕がある女など嫌がるはず。
「いい事?傷痕がいい事なのかい?」
殿下は訳がわからないと、困惑している。それはそうだろう。女性にとって、傷痕などあってはならない物だから。
「ええ。」
「どうしてかな?」
「内緒ですわ。でもわたくしは傷など気にしておりません。そのうち薄くなるでしょうし。殿下も気になされないでくださいませ。」
「そんな訳にはいかない。私が責任を持って、アリアナの将来の面倒をみるよ。」
私は首を傾げる。将来の面倒って、どちらの意味だろう?恋人同士なら嬉しい言葉だけど、今の私と殿下の関係は微妙だ。兄として?上司として?
元々面倒を見てもらうほどの傷ではない。
「将来?殿下に責任を感じて頂かなくとも、兄が面倒を見てくれると約束を取り付けています。個人資産もありますから、一人でも生きていく事は出来ますわ。ご心配なく。殿下にもそろそろご縁談があるでしょうし、ご迷惑をお掛けする訳にはいきませんわ。」
縁談という言葉に殿下は反応する。
殿下と兄に婚約者がいない事は、皆不思議に思っている。好奇心が勝り、つい聞いてしまった。
「殿下には想う方がいらっしゃるのですか?」
「ああ、結婚したい人がいる。」
そうなんだ。ちょっぴり兄を取られる妹の気持ちがわかる。兄にお嫁さんが来る時もこんな気持ちになるのかなあ。
「今度紹介してくださいね。お姉さまになって頂けると嬉しいですわ。」
「それは難しいかもな。」
殿下は困った様な顔をしている。
紹介できない様な方?それとも近隣の王族の方で、馴れ馴れしく出来ないのかな?
私と殿下の距離感が近いから、つい、口にしたのだけど、失敗だった様だ。
「それは残念ですわ。」
私はあっさり引いた。が、次の瞬間にクロード殿下に引き寄せられ、抱きしめられていた。
何故こんな状況になっているのか理解できない。
「殿下?」
そう私が声を出したところで、兄が夕食を持って、入ってきた。
「アリアナ、夕食だ!って、お前たち、何しているんだ?」
その言葉に慌てて私は腕から逃げ出す。
「わたくしがふらついたので、殿下が支えてくださっただけです。」
そうでも言わないと、兄になんと説明していいのかわからない。兄は呆れた様に私を見る。
完全に私が悪いと思っている様だ。
「ふらつくなら、大人しくベッドにいろよな。ベッドで食べるか?」
「いえ、もう大丈夫ですわ。座っていれば問題ありません。それよりお腹が空きました。」
「だよな。ほぼ2日食べていないのだから。クロード、お前もたべるだろう?」
「ああ。」
クロード殿下は機嫌が悪い。
私が何か地雷を踏んでしまったのか?
これからの生活を考えると溜息しか出てこない。
こうして、私の魔法師団での軟禁生活?が始まった。
お読みいただき、ありがとうございました。
次回も明後日か明々後日か…
自分で見直していても恥ずかしい誤字脱字があり、反省ばかりです。
未熟者の作品ですが、お付き合い頂けますと幸いです。




