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悪役令嬢は婚約破棄を言い出した王子様に決闘を申し込む。  作者: 藤宮サラ
第一章 決闘まで

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【番外編】アリアナの軟禁生活?(アリアナ視点)

ブックマーク等、ありがとうございます。

大変励みになります。


前話アリアナ視点の続きです。

 軟禁宣言?にどう対抗するべきなのか。


 とりあえず、権力を使ってみよう。


「ですが、王妃陛下が何と仰るのか。」


「大丈夫だ。アリアナは意識不明で面会謝絶だ。」


 う〜ん。王妃陛下では無理か。国王陛下は殿下の言葉を疑いなく信じるだろう。


 全く、一体どんな設定にされているのか。

 このまま死んだ事にされてもおかしくないかも。

 アリアナが死んだ事になって、私が自由になるのであれば、その設定も悪くはないと思うのだけど、監禁生活は嫌だ。


「殿下!あまり理不尽な事を仰るようでしたら、わたくしは今すぐ戻ります。」


 私も負けじと強く出てみる。


「無理だよ。私が防御魔法をかけている。ここからは抜け出せない。」

 彼はニヤリとする。

 ああ、兄が意地悪をする時の顔と一緒だ。


「やってみないとわかりませんわ。わたくしだって解術魔法はできますもの。」

 ただし、クロード殿下の防御魔法を解術する事はなかなか成功しないのだけど。


「ほぉ、アリアナも解術魔法は得意になったのかい?」


 昔から魔法を一緒に学んでいただけに、私の能力を知っている彼は、私に解術が難しいと知っている。

 意地の悪い笑みを浮かべる殿下を、キッと睨みつけるけれど、かえって嬉しそうな顔をされてしまう。


 こうなれば、防御魔法を解いて、転移魔法で逃げてやる!と思い、呪文を唱え出す。


「アリアナ!止めろ!」


 兄が必死の形相で止めに入った。私の腕をガッツリ掴んでいる。傷がある方でないからいい様なものの、かなりの力を込めてくれている。

 反対に殿下は平然としている。やれるものならやってみろ!と顔に書いてある。


「エリック、構わない。アリアナは逃げれないさ。」


 確かにそうかもしれないけれど…悔しい。


「クロードもアリアナもいい加減にしろ。アリアナ、事件の聴取と手引きした者を捕まえるまでは、安心して戻せない。それまででいいからここにいろ。卒業前には戻れる筈だ。クロードもそれでいいな。あんまりアリアナの意思を無視すれば、コイツは何をしでかすかわからない。お前も折れろ!」


 兄は双方を睨みながら、説得を試みている。

 私も兄を困らしたい訳ではない。


 傷もあるし、ミレーヌの事も心配なので、しばらくここに滞在する事は吝かではない。


 殿下も何か考えるところがあったのだろう。

「仕方がないな。」

 と、折れてくれた。


「お兄様、お約束ですわよ。」


 そうして私が暫く魔法師団に滞在する事が決まった。


 掛布に包まれて、殿下にお姫様抱っこをされて、兄の部屋へと移される。


 自分で歩けるから、着替えを持って来て欲しいという私の希望はあっさり却下され、抱き抱えられるのであれば、兄がいいというのに、殿下の笑顔で押し切られてしまう。


「大人しくしているように。外部との連絡もダメだ。わかったな。私の部屋とこの部屋に防御魔法がかかっているが、警備も配置している。何か困ったら、エリックか私を呼ぶ様に。」


 そう言って、殿下は部屋を後にした。

 本当に軟禁状態だ。


 兄の魔法師団の部屋も元は客間だったそうだ。殿下と二人で客間を占拠したらしい。かなり広く、私が寝室を使わせて貰い、兄は執務室兼居間のソファーで寝る事になる。


「お前がいる間は、ちゃんとここに泊まるからな。お前は大人しくしているんだぞ。ああ、服はクローゼットにあるからな。必要な物は鏡台に用意してある。足りなかったら言ってくれ。」


「服?お兄様いつの間に用意してくださったの?」


「俺じゃない。クロードだ。サイズは問題ないはず。侍女は用意するか?家から呼んでもいいが。」


「わたくしはだいたいの事は一人で出来ますわ。夜会に行く事もないでしょうから、お気遣いなく。」


「そうか。いる時はいつでも言ってくれ。」


「ありがとう、兄様。お願いが。」


「何だ?」


「エリス様にわたくしが無事だと伝えて頂けませんか?」


 兄は私と向き合って、目を合わせる。


「それは難しいな。クロードも悪気があって、ああ言ったのでは無いんだ。お前の事が心配なんだ。外部にお前が無事だと伝わる事は得策ではない。だからしばらく大人しくしておけ。」


 それは私もわかっている。殿下は私の事を心配してああ言った事も、私が心配をかけてしまった事も。

 ただ彼女が無用な心配をしているかもしれない事が気掛かりだ。


「わかっていますわ。だけど彼女は一緒にいたので、心配してくれていると思うのです。」


「じゃあ、命の危機は脱して、意識は戻っていないが、今治療を受けているとだけ伝えておこう。」


「やっぱり意識不明ですか?」


「彼女に伝わると、レオンハルトに伝わるだろう?他国には知られたくない事もあるんだ。それで我慢してくれ。」


「わかりましたわ。お兄様も心配をかけてごめんなさい。それとさっきはありがとう。」


「可愛い妹の為だ。だけど心配させられるのは、程々にして欲しい。いくら心臓があっても足りないぞ。怪我をして意識を失った時は肝が冷えた。」


 兄にも本当に悪いことをしたと思う。

 言い訳にしかならないとわかっていても、つい、倒れた理由を口にしてしまう。ただ声は小さくなったけれど。


「あれは魔法力の調整が上手く出来なくって…」


「まぁいい。これから気を付けてくれ。それより腹が減っただろう?今、食事を持ってこよう。」


「ありがとう。お兄様。」


 兄が部屋から出たので、いつまでも夜着はまずいと思い、クローゼットを開く。そこは全て女性用の服だった。

 兄から私の為に用意したと話を聞いていても、ここは兄の部屋よね、と首を傾げたくなる。兄の服は入っていない。

 うーん。私の服だと話を聞いていなければ、兄に女装趣味があるのか、意中の女性との愛の巣と化している部屋かしら?と想像が膨らむところだ。


 とりあえず、試しにと脱ぎ着が簡単で襟ぐりが広い、普段着らしいワンピースを出してみる。

「普段着だと思ったんだけど…」

 そう呟いてしまう。それくらい生地は滑らかで肌触りが良く、デザインも華美では無いが洗練されている。

 袖を通してみると、あつらえた様にピッタリだった。


 やっぱり私の服?

 今は疑問は飲み込んで、身支度を整えた。

 傷はまだ痛むが、腕は随分動かせる。

 後数日で完治できそう。

 鏡の中の私は、傷を覆った布が肩口にあり、痛々しく見えるけれど。


 髪を梳かし、何とか身なりを整えたと思ったところで、ノックの音がした。


「お兄様?入ってよろしくてよ。」


「私だ。」


 クロード殿下だった。


「よく似合う。」


「あの、この服お借りしましたが、どなたかの物では?」


「そこにある服は、全てアリアナの物だよ。遠慮なく使ってくれ。」


「えっ?」


 急に用意したと思える量では無い。

 必要な物は髪飾りから靴まで全て揃っている。

「こんなに頂く訳にはいきませんわ。」


「構わない。アリアナの為に揃えていたのだから。使って貰った方が物も喜ぶだろう。」


「では、当座の服だけ頂きますわ。ありがとうございます。着心地がとても良くて、気に入りましたわ。」


「気に入ってくれたのであれば、良かった。」


 殿下はそう言って、私に近付き、私の傷の上にそっと手を当てる。

 その手が優しく温かく、一瞬、ドキッとしてしまう。

 さっきの殿下とは違い、心配そうな顔をしている。

 襟ぐりが広い方が楽に着れると思い、この服を選んだのだけど、失敗だったかしら。他の人には痛々しく見えたのかもしれない。


「まだ痛むか?」


「多少は。だけど普通の生活はできますわ。」


「医師が傷痕が残るかもしれないと言っていた。すまない。」


 まあ、傷痕ぐらいは覚悟していたし。

 反対に防御魔法が間に合わなかったのに、これくらいの怪我で済んでよかったと思う。


「殿下が気に病まれる事はございませんわ。わたくしが狙われていたのです。殿下を巻き込んでしまった、わたくしの責任ですわ。」


「だが…」

「そうですか。傷痕が残るのですね。いい事を伺いました。」


 殿下の言葉を遮ってしまう。

 失礼だと思ったが、これ以上責任を感じて欲しいとは思わない。それに、これを理由にクリストファー殿下との婚約解消を申し出てみよう。クリストファー殿下は傷痕がある女など嫌がるはず。


「いい事?傷痕がいい事なのかい?」

 殿下は訳がわからないと、困惑している。それはそうだろう。女性にとって、傷痕などあってはならない物だから。


「ええ。」


「どうしてかな?」


「内緒ですわ。でもわたくしは傷など気にしておりません。そのうち薄くなるでしょうし。殿下も気になされないでくださいませ。」


「そんな訳にはいかない。私が責任を持って、アリアナの将来の面倒をみるよ。」


 私は首を傾げる。将来の面倒って、どちらの意味だろう?恋人同士なら嬉しい言葉だけど、今の私と殿下の関係は微妙だ。兄として?上司として?

 元々面倒を見てもらうほどの傷ではない。


「将来?殿下に責任を感じて頂かなくとも、兄が面倒を見てくれると約束を取り付けています。個人資産もありますから、一人でも生きていく事は出来ますわ。ご心配なく。殿下にもそろそろご縁談があるでしょうし、ご迷惑をお掛けする訳にはいきませんわ。」


 縁談という言葉に殿下は反応する。

 殿下と兄に婚約者がいない事は、皆不思議に思っている。好奇心が勝り、つい聞いてしまった。


「殿下には想う方がいらっしゃるのですか?」


「ああ、結婚したい人がいる。」


 そうなんだ。ちょっぴり兄を取られる妹の気持ちがわかる。兄にお嫁さんが来る時もこんな気持ちになるのかなあ。


「今度紹介してくださいね。お姉さまになって頂けると嬉しいですわ。」


「それは難しいかもな。」

 殿下は困った様な顔をしている。


 紹介できない様な方?それとも近隣の王族の方で、馴れ馴れしく出来ないのかな?

 私と殿下の距離感が近いから、つい、口にしたのだけど、失敗だった様だ。


「それは残念ですわ。」

 私はあっさり引いた。が、次の瞬間にクロード殿下に引き寄せられ、抱きしめられていた。


 何故こんな状況になっているのか理解できない。


「殿下?」


 そう私が声を出したところで、兄が夕食を持って、入ってきた。


「アリアナ、夕食だ!って、お前たち、何しているんだ?」


 その言葉に慌てて私は腕から逃げ出す。


「わたくしがふらついたので、殿下が支えてくださっただけです。」


 そうでも言わないと、兄になんと説明していいのかわからない。兄は呆れた様に私を見る。

 完全に私が悪いと思っている様だ。


「ふらつくなら、大人しくベッドにいろよな。ベッドで食べるか?」


「いえ、もう大丈夫ですわ。座っていれば問題ありません。それよりお腹が空きました。」


「だよな。ほぼ2日食べていないのだから。クロード、お前もたべるだろう?」


「ああ。」

 クロード殿下は機嫌が悪い。

 私が何か地雷を踏んでしまったのか?

 これからの生活を考えると溜息しか出てこない。


 こうして、私の魔法師団での軟禁生活?が始まった。





お読みいただき、ありがとうございました。


次回も明後日か明々後日か…

自分で見直していても恥ずかしい誤字脱字があり、反省ばかりです。

未熟者の作品ですが、お付き合い頂けますと幸いです。

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