【番外編】ルーカスと白薔薇姫(ルーカス視点)
ブックマーク、ありがとうございます。
昨日の晩から風邪で頭がボーとしていまい、投稿遅くなりました。
番外編、ルーカス視点です。すみません。ボーとして思うようにまとめる事が出来ず、短めです。後半は次回に。
俺は聞こえて来た声に反応してしまい、思わず、
『梨奈!梨奈なのか?』
と日本語で言ってしまった。この世界で日本語は聞いた事がない。きっと何を言ったのか、わからないだろう。ここは前世とは全く違う異世界だから。
すると信じられない事に、
『日本語…なんで…』
と、呟くような声が聞こえた。
俺は夢かと思う。
だが、突然、
「来たから、よろしく!」
そうフラン語で言って、彼女は姿を消した。
いや、魔法を使って、見えない様にしたのだろう。
俺は何が来たのかと思う。匿ってと言っていたよなぁと、考えていると、慌てた様子で、レオンハルトがやって来た。
「おい!お前、ここをアリアナ嬢が通らなかったか?」
俺は、お前呼ばわりされたので、腹が立つ。
「挨拶もなしに、お前とは。お国が知れるな。レオンハルト。」
と、立ち上がり、睨みつけた。
「お前は…ルーカスか?」
「ああ、お前のそんな態度が、アリアナ嬢に嫌われているんじゃないか?今日はイスマエルと仲良さそうだったし。だいたい男女でパーティー会場を抜け出す事は禁止だろう?」
「なに!」
「やるなら正々堂々と剣で勝負してやってもいいぜ。まぁ、その間にアリアナ嬢はイスマエルと仲良くするんだろうがな。」
「もういい!お前に構う暇はない!」
そう言って、立ち去った。
あの黒いマントの人物はアリアナ嬢だったのか。と思う。
「これで良かったのかな?」
「まだ来るわ。」
「まだ?」
俺が疑問に思っていたら、また足音が聞こえる。
顔を上げると、美少年が立っていた。
「ルーカス、久しぶり!ところで、白薔薇姫を見なかった?」
「ヨハネスか?ああ、アリアナ嬢は向こうに行かれたようだが。」
「ありがとう!」
そう言って、軽快に走って行った。
「これで終わりか?」
俺は前を向いたまま、後ろに話しかける。
二度ある事は三度あると言うし、用心するに越した事はない。
「まだ来るわ。」
まだか…
次は何人かの足音だった。
クリストファーが取り巻きを連れて、やって来た。
「お前、ルーカスか?」
「クリストファーか?何かあったのか?そんなに引き連れて。」
「ああ、ちょっとな。アリアナを見なかったか?」
「ああ、つい今し方、一人でここを通ったけど、なんだか急いでいるみたいで、声をかけそびれたよ。君は婚約者を探して、ダンスでも踊るのかい?」
クリストファーがわかりやすく嫌な顔をした。
「いや、ちょっと用事があるだけだ。邪魔した。」
と、取り巻きを連れて、走り去った。
「これで終わりか?」
「悪いけど、まだよ。」
「まだか…」
次に来たのは、今日のパートナーだったイスマエルだった。
「ルーカス殿、アリアナ嬢を見なかったか?」
「アリアナ嬢なら、向こうに行ったが。」
「おかしいな?この辺に気配がするのだが?」
「気配?」
「いや、いい…これか…」
イスマエルが屈んで何か拾う。
「何かあったか?」
「いや、なんでもない。」
「アリアナ嬢を一人にしていいのか?今日のパートナーだろう?」
「一人にしたつもりはなかったのだが、いつの間にか、逸れてしまったのだ。邪魔して悪かったな。」
「いや、早く探した方がいいんじゃないか?クリストファーも探しに来たぞ。」
「ああ、ありがとう。」
イスマエルは足早に立ち去った。
「これでいいのか?イスマエルは今日のパートナーだろう?」
「彼が悪い訳ではないの。巻き込みたくないだけなの。」
「これで終わりか?」
「まだよ。」
「まだかよ。」
次に来たのは、クロードと側近らしき若者だった。
「この辺に妹を見かけませんでしたか?アリアナと言うのですが。」側近が問う。
彼はアリアナ嬢の兄か。
「ああ、さっきこの道をあちらに行かれましたよ。その後、クリストファー殿下も向かわれていましたが。」
「クリストファー殿下が?」
「ええ、ご友人を何人も引き連れて。」
「ありがとうございます。」
すると、クロードが
「おかしいな。この辺から気配がするのだが。」
クロードといい、イスマエルといい、犬か?気配ってなんだよ。姿は見えてないはずなのに。
そんな事を考えていたら、ベンチの上に髪飾りがあった。ああ、これか。さっきイスマエルが持っていたのは。
「アリアナ嬢にこれを渡して頂けますか?急がれていたようで、落とされた事に気づかれなかたようですから。」
「ああ、アリアナのだな。気配はこれか…」
クロードが呟く。
「邪魔して悪かったな。」
彼らも足早に去っていった。
「これで終わりか?」
「ええ。多分。」
そう言いながら、彼女は出てきた。
「何であんなに追いかけられているんだ?」
「さあ?」
そう言いながら、彼女は笑いながら首を傾げた。
俺はすっかり王子の仮面を捨てていた。
白薔薇姫と話しているのに、梨奈と話している錯覚に陥る。
「気配とか言っていたが、気配なんかわかるのか?」
「さあ?」
「髪飾りに何か仕掛けたのか?」
「ああ、さっきはありがとう。髪飾りを渡してくれて。あれは私の香りを染み込ませていたから、納得してくれたのよ。」
「ああ、香りか。モテて大変だな。」
「あら、貴方ほどではないわ。ルーカス殿下。」
「俺のことを知っていたんだ。アリアナ嬢」
「ええ。西の国の麗しの王子様。我が校の女子では有名だわ。」
「一体どんな噂をされているのか。」
「容姿端麗で優しく、武術も強い。ご令嬢には常に紳士的。こんな感じ?今の話し方は、その噂とは違うようですが?」
そう言って、口角を上げる。
「悪かったな。さっき王子の仮面は使い果たした。」
「西の国では、とても評判の高い王子様ですわよね。魔法力はあまりないのに、武術と知能は群を抜いている。若いのに軍師としても、宰相としても能力を発揮しているとか?わざわざ留学されたのは何故?」
「魔法力が弱いが、それが何か問題があるのか?」
「いえ、貶したつもりは無くってよ。魔法力が弱くてもそれだけの能力が有れば十分でしょう?だから不思議なの。魔法力を身に付けたい訳でも無さそうだし。」
『佐倉梨奈と言う名前に心当たりがあるか?』
俺は日本語で聞いてみる。
一瞬、彼女の空色の瞳が大きく広がる。
が、すぐに令嬢の仮面が張り付く。
「何を仰ったのかしら?どの国の言語ですの?」
やっぱり惚けるか。
『俺は転生者だ。この国に転生者がいるかもしれないと思って、留学してきた。君も転生者だろう?さっき日本語って聞こえたぞ。』
彼女の空色の瞳が、驚愕している。
彼女が佐倉梨奈だとは、わからないが、同じ転生者で、間違いないだろう。
梨奈だったら、どんなにいいか。俺は祈る様な気持ちで、彼女の返事を待った。
お読みいただき、ありがとうございました。
ブックマーク、評価、感想お待ちしています。
昨日から、風邪で頭がボーとしています。
誤字、脱字、変な文等あるかもしれません。お許しくださいm(_ _)m
明日に本当は今日の分にまとめたかったところが書けたらいいなとは思うのですが…




