【番外編】ルーカスのアカデミー生活(ルーカス視点)
ブックマーク、ありがとうございます。
昨日の夜中に頑張ったのですが…眠いです。
番外編、ルーカス編です。
魔法具の店を訪れた後、俺は側近を使い、店について調べた。
最近流行り出した店らしい。
''魔法が使えない者や魔法力が少ない者に、簡単に使える道具を!”がコンセプトらしい。
店は王宮近くに本店、支店がこの間の店を含め3店舗あるらしい。
代表の名前はわかったが、どこで生産されているとか、開発者が誰かはわからなかった。
これは、通って情報を聞き出すしかないか。
あの店は女の子の店員はいなかったよなぁと嘆く。
女の子がいたら、情報収集を兼ねて、ちょっとデートにでも誘えば、簡単だと思ったのに。
アカデミーの女の子達は、流行については詳しいが、誰が作ったかまでは、興味はないだろう。
そんな事を考えながら、他の情報も仕入れていく。情報は命だ。そして若い女性は流行を作り出していく。
俺がちょっと甘い言葉を囁けば、簡単に知りたい情報を手に入れる事ができた。
しかし、魔法具の店だけは情報統制は完璧だった。何度も通い、店員と随分親しく話が出来る様になったが、肝心な事は企業秘密と言って、教えてくれない。
働いている者も教育は完璧だ。
ただの店にしては、厳重だと思う。
女性従業員がいないのが、難点だった。
ある日、店の事を教えてくれた、クラスメイトの女子に尋ねる。
「あの魔法具店で、女性店員を見た事がある?」
とそれとなく聞いてみた。
「ああ、普通の店舗は男性だけですわ。女性専用の店舗があり、そこは体験して購入できる様になっていますの。そこは警備員以外は、女性ばかりですわ。」
いい事を聞いたと思い、その店を待ち伏せして、従業員を引っ掛けようと思った。
が、待ち伏せしていたのは、俺だけではなかった。
年頃の娘が何人も店の裏口付近にたむろしている。
一体何があるのかと訝しげに見ていたら、裏口の扉が開いた。
そこから一人の細身の華麗な男性が出て来た。
俺は、何で男性が出てくるんだ?と疑問に思う。
俺が聞いた話はガセだったか?
彼は、長い髪を後ろに束ね、フリルが沢山付いたシャツに、細身のジャケット、カジュアルな細身のトラウザーズを身につけていた。
一瞬で俺は負けた!と思った。
国で麗しの王子と言われていても、彼には負ける。
そう思いながら、よく見ると、彼は彼女だった。
そう、女性なんだが、カッコいい。いや、俺よりもいい男に見える。
待っていた娘達は花道を作り、黄色い声を上げる。
「キャー!」
「こっち向いて!」
「大好き!」
俺は一瞬前世に引き戻されたかと思う。出待ちか?
前世には男装の麗人が活躍する劇団があったよなぁと。
ここは劇団だったのか?
俺も頑張って、近付いてみるが、娘達から不審者を見るような目で牽制される。
声を掛けようにも、甲高い声に消されてしまう。
あの中に俺が入り込める余地はない。
今まで女性にチヤホヤされて当たり前だと思っていた俺は、敗北感に支配され、トボトボと寮に帰る羽目になってしまった。
それから、色々調べるが、転生者については全くだった。
魔法具の店に通うも、あの大輪の薔薇の様な彼女とも、あれ以来会えなかった。
だが、この国から学ぶ事は沢山ある。
街を歩くと活気がある。経済が順調な証拠だ。
道が整備され、人や物の行き来が盛んだ。
治安も守られている。
街専用の騎士団があるらしい。
この国の優れている点を、自国でどの様に応用出来るか考える。
だが、一番気になっている転生者に関しての情報がなかなか見つからない。日数だけは過ぎていく。
そんなある日、教室から中庭を見ていると、金色の髪が風に揺れて、困った様子で髪を押さえている女子生徒を見かけた。
何気なく顔を見てみると、あの魔法具の店にいた彼女だった。
心臓がドキドキした。この機会を逃してはいけないと思う。
俺は慌てて、近くにいた女子に尋ねる。
「彼女は誰?」
「えっ?どなたですか?」
「ほら、あの中庭で金色の髪を押さえている子」
「ああ、白薔薇姫ですわ。ルーカス様」
「白薔薇姫?」
そんな姫いたのか?
「あら、ご存知ではありませんでしたか?わたくし達と同じ学年でA組のアリアナ-ファーガソン公爵令嬢です。」
公爵令嬢か。
「同じ学年?」
「ええ、白薔薇姫は魔法力が高いので、A組なのですわ。」
「A組…」
そうか、魔法力強いんだ…
「でもおかしいですわ。ほとんどの留学生は白薔薇姫のお世話になる事が多いのに。」
俺は全く世話にはなっていないが?
「えっ!そうなのか?私は挨拶もした事がないが。」
「留学生の方は国際交流部に所属されるので、主宰されている白薔薇姫とはお顔をあわせる機会が必ずあるはずなのですが…」
「そう言えば、入学した時に教師がそのような部があると言っていたかもしれないが。」
説明は上の空で聞いていた。
アカデミーについては、あまり興味が無かったからだ。
「ルーカス様は入っていらっしゃらないのですか?」
「ああ。」
「だからご存知じゃないのですね。ああ、レオンハルト様だわ。」
彼女の視線の先に、白薔薇姫と呼ばれる女子生徒と背の高い男子生徒がいた。
「レオンハルト?」
「ベルンブルク国の王子様ですわ。ルーカス様と同じように、今年度からわたくし達の学年に留学されて来たのです。白薔薇姫とご一緒のところを良くお見かけしますわ。」
レオンハルトも留学していたのか。
外交の場で何度か顔を合わせた事はあるが。
中庭の二人に目を向けると、確かに仲が良さそうだ。
「二人は付き合っているのか?」
俺の一目惚れは、呆気なく終わるのか。
「いえ、まさかその様な事はないと思いますわ。白薔薇姫はクリストファー殿下と婚約されていますし。」
「彼女は婚約しているのか?」
「ええ、お二人は幼い頃からの婚約者と伺っています。」
やっぱり終わったか。
「レオンハルトはそれを知っているのだろうか?」
俺は独り言の様に呟いた。
「噂ですが、レオンハルト様はクリストファー殿下との事をご存知の上で、白薔薇姫にご結婚を申し込まれたとか。」
「はっ?」
婚約者がこの国の王子なのに?
「いえ、あくまでも噂です。クリストファー殿下にはカーラ様がべったりなので、そんな噂が立ったのですわ。」
「クリストファーとカーラが?」
「ええ、有名ですわ。」
それは知らなかった。なら、俺にもまだチャンスがあるかもしれない。
「そうなんだ。ありがとう。」
「いえ、お役に立てて嬉しいですわ。」
「あっ!あと一つだけ、いいかな?」
「何でしょうか?」
「白薔薇姫と話してみたいのだけど、どうすれば会えるかな?」
「白薔薇姫は気さくな方ですから、お声掛けすれば良いとは、思いますが…そうですね。国際交流部に入ると白薔薇姫にお会いする機会があるかと。」
「国際交流部に行くといいのか?」
「いつもいらっしゃる訳ではありませんが。お体の調子が優れないとかで、よくお休みされますから。丁度、2週間後にインターナショナルパーティーが開かれますから、その際にはご出席されると思いますよ。」
彼女の事を知って、直ぐに接触を図ろうする。だが、彼女は体調を崩したとかで、なかなか顔を見る事ができない。たまに歩いているところをみるが、彼女の側には、レオンハルトが張り付いていた。
彼は明らかに周囲の男子生徒を牽制していた。
そんな中、パーティーで誰が白薔薇姫のエスコートをするのかが、話題になる。
クリストファーがカーラをパートナーに選んだらしいと噂になったからだ。
俺は噂の真相を確かめようと、クラスメイトの女子に声を掛ける。
「パーティーで白薔薇姫のパートナーは誰になるのか、知っているかい?」
「わたくしは存じませんが、去年はクリストファー殿下の兄君、クロード殿下がエスコートされました。お二人はとてもお似合いでしたわ。」
「今年もクロード殿下なのかな?」
「いえ、それはないかと。最初のダンスは生徒が踊る事になっています。もちろんクロード殿下もいらっしゃるとは思いますが、最初のダンスだけは、違う方と踊られると思いますよ。」
「そう、ありがとう。」
なら、俺にもチャンスがあるかと思ったが、彼女に接触できないまま、インターナショナルパーティーの日を迎えた。
お読みいただき、ありがとうございました。
今からまた用事で出かける予定です。
明日の投稿のお約束ができませんが、頑張ってみます。次回もルーカス編の予定です。
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