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悪役令嬢は婚約破棄を言い出した王子様に決闘を申し込む。  作者: 藤宮サラ
第一章 決闘まで

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【番外編】イスマエルとアリアナのデート(イスマエル視点)

ブックマーク、評価、感想、ありがとうございます。皆様のおかげで書き続ける事が出来ています。

番外編(イスマエル編)当初予定していたより長くなってしまいましたが、お付き合い頂けますと幸いです。

 まず、大使館に行き、セオドールを部下のアリムに紹介する。


『アリム、こちらはセオドール殿だ。アリアナ嬢の部下に当たる。我が国への支援に関して、話をまとめて欲しい。』


『承知いたしました。』

 二人は会議室へと消えていく。


 そして私は彼女を大使夫妻に紹介した。


『ご無沙汰しております。アリアナ-ファーガソンでございます。』

 彼女は礼を執る。シンプルなワンピースでも気品が溢れて見える。


『アリアナ嬢、お越しいただきありがとうございます。こちらこそご無沙汰しておりまして。春の夜会以来ですかな。』


『ええ、その節はお越し頂きありがとうございました。』


 アリアは二人と既知のようで、驚く。


『彼女を知っているのか?』


『ええ、殿下。彼女は幼い頃から王妃陛下のお供をされていましたから。可愛らしい小さなレディだと評判だったのですよ。今はこの国の外交部に所属されていて、王妃陛下の外交部門を担われているかと。』


『ただの通訳ですわ。』


『ご謙遜を』


 彼女には、驚かされてばかりだ。

 店のオーナーに、外交部の職員か。


『ところで、今日はどの様なご用件で。』


『アリアナ嬢が我が国の民の為に援助を申し出てくださっている。その打ち合わせだ。』


『えっ!それはフランベール国としてではなく?』


『ええ、わたくし個人としてですが。援助と別に、貴国の外貨獲得の為のお手伝いもさせていただきますわ。ご協力いただけますか?』


『ええ、それはもちろん。』


 彼女は大使に矢継早に話す。

『早速ですが、サイード皇国の地図、過去の気候等の資料と、今までの貿易の記録をなるべく早く見たいのですが、用意して頂く事は可能でしょいか?』


 彼女は一体何を考えているのか?


『それは…国の機密でして。』


 確かに機密だが、援助を受ける以上、こちらも誠意が必要だ。


『良い。私が許可する。この館内であれば、問題ないだろう。』


『サイード皇国の特産品が欲しいのですが、どちらかで購入できますか?』


『見本程度でよろしければ、館内にございます。直ぐに用意させます。』


 特産品をどうするつもりか?


『それと奥様に相談したい事がございます。お時間少し頂けるかしら?』


『はい。では、こちらへ。』


 彼女は大使夫人と何やら話していた。

 二人とも楽しそうだ。彼女の事は夫人に任せていいと判断して、私は大使に尋ねる。


『お前はこの国の王子達の事について、何か知っているか?』


『クロード殿下とクリストファー殿下の事ですか?第一王子が側妃腹、第二王子が正妃腹で年齢も1歳しか違わずで、後継者が決まっていないという事ぐらいでしょうか。』


『後継者争いが起きるか。』


『有り得ない話ではないかと。』


『で、どちらに付くのが良いか?』


『私が国民でしたら、クロード殿下です。』


『国民でなければ?』


『クリストファー殿下でしょう。クロード殿下は賢く、実力があり、彼と交渉する事はなかなか骨が折れます。反対にクリストファー殿下は単純ですので、御し易いかと。』


 なるほどと思う。

 アリアナもクリストファーの事は見限っているのか。


 そんな会話をしていたら、彼女が戻って来た。


『何を話していたのかい?』


『内緒です。』

 彼女は微笑み、夫人と頷き合っていた。


『殿下、素敵なお嬢様ですわ。頑張ってくださいませ。』

 何を勘違いしたのか、大使夫人が私に発破をかける。


『お前、アリアナ嬢には、クリストファー殿下がいらっしゃるのだから、余計な事を言うのでない。』

 と、大使が夫人を諫めるが、


『だって、本当に素晴らしい方なのですもの。まだご結婚された訳ではないのでしょう?殿下の御身分であれば、何の不足もありません。奪ってしまえばいいのですわ。』

 などと過激な事を言う。


 そして、アリアに話を振る。

『アリアナ様はイスマエル殿下の事をどう思われますか?』


『素晴らしい皇太子殿下だと尊敬しておりますわ。』


 そして、彼女は微笑みながら、

『奥様、殿下のお相手など、わたくしには恐れ多い事です。殿下は素敵な方ですので、きっとお国に素晴らしいお相手がいらっしゃいますわ。』

 と平気な顔をしていう。


 彼女の言葉を聞いて、胸の内がモヤモヤとする。


『アリアナ嬢は素晴らしい方だとは思いますが、彼女の事情もあるでしょう。もちろん機会が有れば、私も頑張りますが。』

 と、話を収めておく。


 だが、仮の恋人だ。機会があるとは思えない。

 そう思った時に、はたと思う。

 私は機会が欲しいのかと。

 彼女から目が離せないのは確かだが。


 自分のあやふやな気持ちを持て余しながら、大使夫妻と共に昼食を取る事になってしまった。

 故郷の味は、やはり格別だ。と同時に昨日の料理を思い出す。彼女は私に食べさせる為に、あの料理を作ってくれた。


 ただでさえ、貴族の令嬢が料理をするなんて、普通はありえないのに、材料も満足にない、食べた事も無いで、どんなに大変だったのだろうか。

 彼女の料理は、ほぼ故郷の味だった。

 私を契約の恋人にする為だけで、そこまでするだろうか?


 彼女の隠れた優しさに気付いてしまう。


 彼女も不器用な人なのかもしれない。

 私の中に、もっと彼女の事を知りたいという気持ちが芽生えた事を認めざろう得なかった。


 食事が済んだ後、大使館を一時後にする。

 大使夫妻は夕食もと、誘ってくれたのだ。

 もしかして、アリアから何か聞いたのかもしれない。

 アリアも喜んでいたので、街を散歩した後に戻る事を約束した。


 街中では、護衛が一人、離れた場所で警護してくれる。


 街には市が立ち、活気に溢れていた。

 多くの人が行き交っていた。


 彼女は宝石店に立ち寄って、品物を見ていく。


「この宝石はどこで取れた物なの?」


「それはサイード産ですよ。」


 彼女は品物を見ながら、値段と産地を聞いていく。

 何軒か見て周り、ある事に気付いた。

 そう。似た様な物だが、サイード産は安い。

 品質には変わらないと思うが。


「何でこの宝石、こちらが大きいのにあちらの宝石より安いのかしら?」


 彼女が店主に尋ねる。


「こっちがサイード産だからさ。」


「何でサイード産は安いの?」 


「サイードは宝石の質は変わらない。だけど加工技術がまだまだだ。サイードからの宝石は加工前に入ってくる事が多いのさ。外の国の宝石は自分達で加工して、品質保証を付ける。当然高くなるのさ。」


「そう。ありがとう。」


 彼女が聞いてくれた内容に驚く。

 もしかして、彼女はこれを私に教えたかったのか?

 訝しげに彼女を見るが、彼女は宝石を一つ選び、購入していた。


 慌てて財布を出したが、支払いは済んでいると言って受け取って貰えなかった。


『イスマエル様、いかがでしたか?なかなか面白かったでしょう?』


 彼女が悪戯が成功した子供の様な顔で、私を見る。


『やはり、アリアはワザと私を宝石店に連れて行ったんだな。』


 私はため息をつく。


『こんな話は実際に見ないと納得できないでしょう?本の虫さん。』


 なかなか痛いところを突かれた。


『そうだな。』


『そちらが普段の話し方?今は街中だがら、普段の話し方でお願いしますね。』


『ああ、わかった。』


 彼女はニッコリと笑う。

 表情がコロコロ変わる彼女は、とても生き生きしている。


『街の中は今を生きて動いているの。情報は変わっていくわ。もちろん書物に書いてある事も大事だけれど。』


 そう言った彼女はとても眩しかった。


 それから、彼女と雑貨屋や衣料品店、青果店などの店を周る。

 驚いた事に街の人たちが、アリアを見て、声を掛けていく。


「リア!今日はいい男連れているね。」

「いつもと言ってよ。」

「ハハハ。見栄を張らなくてもいいよ!」


「リア、今度ウチに寄っておくれ!新作の料理ができたんだ。」

「ええ、また今度ね。」


 一体、どういう事だ。


「リアって街の人は呼んでいたけれど、皆知り合いか?」


「ええ、街で知り合いは多いわ。街での名前はリアだから彼らはそう呼ぶのよ。」


「もしかして、よく来ているのか?」


「さあ、どうかしら?」

 アリアは首を傾げながら、口角を上げる。


「危なくないのか?」


「わたくしは大丈夫って言っているけれど、隠れて護衛はいるはずだわ。いえ、護衛というより、監視かしら?」


 彼女はそう言った後、一瞬顔が曇る。が、次の瞬間には、何か企んだ顔をした。


『迷子になるといけないから、手を繋いでいいかしら?』と、手を繋ぐ。


 指を絡めて、

『これ、一回やってみたかったのよね。恋人つなぎって言うんですって。』と笑う。


『恋人つなぎ?』


『そう呼ばれているって昔聞いたのよ。恋人らしく見えるかしら?』.


 繋いだ手が熱くなった。

 暫く手を繋いだまま、周辺の店を見て周る。


『ちょっと休憩』

 と彼女は言って、近くのカフェに入る。


『イスマエル様は何にされますか?』


『私は紅茶を』


『では、私も。ケーキも食べていいですか?』


『好きにするが良い。』


『ふふふ。ありがとうございます。』


 そう言って、彼女は注文を済ませる。

 彼女の所には、クリームたっぷりのケーキが並べられ、幸せそうに、頬ばっていた。


『美味しいか?』


『ええ、イスマエル様も味見してみます?はい、あーん。』


 アリアはクリームの載ったスプーンを私の口に運ぶ。

 つい、つられて口を開けてしまうと、スプーンが差し込まれた。


 ケーキは甘かった。


『いかがでしたか?ケーキ?』

 アリアはニッコリと笑う。


『甘いな』


 私はケーキが甘いのか、アリアの行動が甘いのか、もはや、わからなかった。


『街の様子はいかがでしたか?イスマエル様のお国とは、随分違うのではないですか?』


『ああ、とても新鮮だったよ。』


『図書館も悪くはないのですが、たまには街歩きに行きましょうね。』


『そうだな。』


『言っておきますが、わたくしはこう見えても、図書館は大好きですわ。デートは図書館でもよくってよ。ただし、貴方以上に本の虫だから、一日中籠もってしまう事を覚悟してね。』

 と笑う。


『デートか。久しぶりに外をこんなに歩いたが、女性と外を歩いたのは、初めてだ。』


『デートに見えたかしら?』


『デートに見せたかった?誰に?』


『さあ?誰でしょう?ふふふ…』


 そんな会話を楽しんだ後、市場に戻る。


『あと1軒、付き合って欲しいのだけど、いいかしら?』


『姫君のお心のままに。』


『あら、狐からお姫様に出世したわ!』

 と彼女はコロコロと笑った。


 次はどこに行くのだろうか?

 次から次へと違う顔を見せるアリアに惹きつけられていた。



お読みいただき、ありがとうございました。

ブックマーク、評価、感想、頂けますと嬉しいです。毎日書くのはなかなか辛いのですが、一つでもブックマークが上がったり、評価が付くと、がぜんやる気が出ます。

番外編ばかりで、反省していますが、お付き合い頂けますと幸いです。

次回もイスマエル編ですが、クロードを登場させようかと、今書いています。明日には投稿できるように…と思っています。

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