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悪役令嬢は婚約破棄を言い出した王子様に決闘を申し込む。  作者: 藤宮サラ
第一章 決闘まで

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【番外編】北の国のヨハネスとアリアナ2(ヨハネス視点)

ブックマーク、評価、感想ありがとうございます。

毎日、書き続ける気力になります。

また、誤字報告もありがとうございました。

見直したつもりでしたが、見落としていて、反省です。

アリアナクッキー争奪戦です。お楽しみいただければ幸いです。

 そんなやり取りをしていたら、国際交流部が主催するバザーが、1ヶ月後にあるから、協力してほしいと白薔薇姫から打診があった。


 協力はしたいが、何を出したらいいのかと、途方に暮れた僕だった。


 白薔薇姫はそんな僕に対して、

『北の国には、羊毛製品が名産品だとか。我が国も冬はこれからですし、羊毛製品をご用意されては?』

 とアドバイスをくれた。


『羊毛製品など、実用品でいいのでしょうか?』

 我が国は厳しい寒さのせいか、素朴な実用品が多い。


『ショールや帽子、手袋や膝掛けは、この国でも良く使いますわ。購入するのは女子生徒の方が多いので、女性向けの色遣いの物を多く用意されると良いかと。男子生徒向けには、実用品の方が好まれます。マフラーとか手袋が良いと思いますよ。』


 そうして、彼女は微笑みながら、

『この場で女子に気に入ってもらう事ができましたら、我が国の社交界でも流行になりますわよ。わたくしでよろしければ、いつでもご相談くださいませ。』

 と言ってくれた。


 僕はもちろんその機会を逃さなかった。

『サンプルが届いたのですが、一緒に見て頂けますか?』

 と、大胆にも白薔薇姫を誘う。


 姫はニッコリ笑い、相談に乗ってくれた。

『こちらの方が色遣いがいいですわ。デザインは可愛らしい物とシンプルな物を二種類用意されては?花柄のショールは、色を若い方向けのピンクやオレンジ、空色などを揃えて、シンプルなデザインは紫や紺、シルバーや緋色などを揃えてみては?男子生徒のお母様へのプレゼントとして、お勧めできますわ。』


 姫のアドバイスは具体的で、とても驚いた。同じ年の令嬢とは思えない。


 僕は彼女のアドバイスに沿って、品物を国に注文し、送ってもらう。

 届いた荷物の中に、妹からのメッセージが付いた紙袋が入っていた。


 [ヨハネス兄様へ


 お元気でいらっしゃいますか?

 お兄様がバザーのお手伝いなんて、驚きですけれど、楽しく過ごされていると聞いて、皆安心しています。

 私達の間で流行っている羊毛のフワモコぬいぐるみとフワフワブローチも、幾つか入れておきます。一緒に出品してくださいね。そして、皆さまの反応を教えてください。よろしくお願いします。


 追伸、フワモコぬいぐるみのウサギは私が作りました。可愛い?


             可愛い妹のマリーより]


 自分で可愛いと言っているところが妹らしいと、思いながら包みを開ける。


 そこには、ウサギ・犬・猫・クマなどの羊毛をふあふあにして作った、ぬいぐるみとブローチが幾つも入っていた。


 確かに可愛いとは思うが、洗練されたこの国で、可愛らしいぬいぐるみなどが、自分達の世代に受け入れられるだろうか?せいぜい妹へのプレゼントにしかならないのでは?

 僕は早速、白薔薇姫に相談する。


『妹が送って来た羊毛製品はこれなのですが…』


 姫は空色の瞳を輝かせながら、ハッとした表情になった。しばらく無言だったので、僕は不安になり、

『やっぱりこんな物は、子供向けで幼いですよね。』

 と、慌てそれを片付けようとする。


『待って!それ、わたくしが欲しいですわ!』


 えっ!今信じられない言葉を聞いたような?

 白薔薇姫は、いつも洗練された物ばかりに、囲まれているのに?


『是非、出品してくださいませ。わたくしが購入いたしますわ。とても可愛いですわ。ああ、このなんとも言えないお顔が、目が…可愛らしい…』

 姫はそう言って、妹が作ったウサギのぬいぐるみを手に取り、撫で回した。

 その様子は、とても嬉しそうで、今まで見たことのない素朴な笑顔だった。


『気に入って頂けたのであれば、そのウサギのぬいぐるみは差し上げます。妹が作った物ですので。色々と相談に乗っていただいたお礼です。』


『まぁ!そんな…でも、いいのですか?わたくしの方こそ、ご協力頂いていますのに。ああ、でもこの可愛さに抗えない…』


 最後の言葉は独り言のように呟いていた。

 なかなか見ることの出来ない白薔薇姫の姿に、僕の方が萌えてしまう。


『いや、ウサギもアリアナ嬢に可愛がって頂けるのであれば、嬉しいでしょう。作ったマリーも喜びます。』


『本当によろしいのですか?』

『はい。』

『ありがとうございます。マリー様にもお礼を申し上げて下さいませ。』


 そうして、ウサギは白薔薇姫に貰われていった。

 妹よ。ありがとう!


 そうこうする内にバザー当日になる。


 テーブルの上に各国の名産品が並べられ、販売は下級生が担う事になる。


 名産品販売と離れたところにテーブルがあり、そこには[お一人様1袋まで]と言う張り紙が見える。


 ニコラスに『あそこは何だ?』と聞く。


『ああ、あれが争奪戦の会場だ。』


『もしかして、白薔薇姫のクッキーか?』


『そうだ。毎年運び込まれた途端に無くなる。人が群がって危ないから、一ヶ所だけ離れているんだ。』


『そんなに混乱するなら、並ぶとか、予約とか、抽選とかに、すればいいんじゃないか?』


『女子が却下したんだ。』


『はあ?なんでだ?』


『毎年姫が用意するクッキーは50袋、アカデミーの女子は全学年で55人。並んだり、予約制にすると男子が途中で入ってくるだろう?女子が結託して男子を排除した方が、手に入れる確率が高いという訳だ。』


『はあ…』


『誰も文句言わないのか?』


『クロード殿下が認めたんだ。あれはきっと姫のクッキーを、他の男子に食べさせたくはないんだな。』


 そんな会話をしていると、バザー開始のアナウンスがあり、クッキーも販売開始となった。


『行ってくる!』

『検討を祈る』


 白薔薇姫のクッキーに皆が群がる。

「レディーに譲ってくださいませ。」

「キャー触らないで!」

「痛〜い」

 などなどを言いながら、どんどん前に出て行く彼女達。豪華なドレスが砦の様に立ち塞がる。気がつくと、僕は外に押し出されていた。


 結果、僕は入手出来なかった。いや、男子は皆惨敗だった。女子の圧倒的な勢いに負けてしまったのだ。


 男子は皆、床に膝と手を付き、「無念だ!」と泣き叫んでいた。


 クッキーを手に入れられなかった事は残念だったが、我が国から出品した物は、売り切れたと聞き、安心した。妹にも後で手紙を書こう。


 バザーが終わり、寮へ戻ろうとした時に白薔薇姫から呼び止められた。

『ヨハネス殿下、これはウサギのお礼ですわ。後日、マリー様にお礼の品を用意いたしますが、取り急ぎ、殿下の分をと思いまして。』


 そう言って、紙袋を手渡された。その中には、白薔薇姫のクッキーが入っており、僕は歓喜した。

 もちろん、大事に味わって食べた。今まで食べた事がないほど、美味しかった。



 バザーの翌日、インターナショナルパーティーがあったなぁと、思いを巡らせる。


 白薔薇姫をエスコートするべきはずのクリストファーが、別の令嬢を連れて入場し、周囲が騒ついたが、直ぐに感嘆の声に変わる。姫がこの国の第一王子であるクロード殿下にエスコートされ、入場したからだ。

 容姿端麗な二人が並ぶと、周囲が眩く光って見えた。

 彼は冷ややかな眼差しで、男子生徒に牽制をしていたが、白薔薇姫を見る瞳は、優しい。

 クリストファーよりお似合いだ。


 2人は最初のダンスを中央で踊った。

 姫は妖精が羽ばたいている様に華麗で、男子生徒を魅了してしまう。

 王子の身分があっても、手が届かない、そんなもどかしい気持ちになってしまう。


 ああ、一度でいいから一緒に踊りたい。


 しかし、姫はクロード殿下とエリック殿が見事にガードし、気付けば、パーティーは終わっていた。


 □□□□□


 そんな事を思い出しながら、アリアナ姫に視線を向ける。


 先ほど、クリストファーはカーラ嬢をエスコートして会場に入って来た。

 周囲は騒めいたが、その後に入って来たカップルを見て、皆息を呑んだ。


 白薔薇姫とイスマエルだった。


 彼は黒く光沢のある生地で出来た膝まである上衣に同じ生地で出来たトラウザーズ、金色のサッシュベルトを巻いた民族衣装であった。

 白薔薇姫は、中央の部分が金糸で縁取られており、ウエストの部分を金色のサッシュで巻いた暗緑色のドレスだった。この国のドレスと違い、スカートの部分は膨らんでおらず、自然な形で流れるようなラインである。明らかにイスマエル皇太子の国の民族衣装だとわかる。


 イスマエル皇太子は知的で整った顔立ちに長身でガッチリとした体型だ。可憐な白薔薇姫と並んでも様になる。民族衣装の二人は一際輝いていた。


 二人は微笑みながら、ホールの中央へ進む。


 アリアナ姫が

「今日は、各国からお越しの皆様と交流を持てる事を嬉しく思います。どうぞお楽しみくださいませ。」


 と挨拶をして、ダンスの音楽が始まった。

 イスマエル皇太子の国のダンスであった。


 白薔薇姫とイスマエルは、独特の難しいステップを軽々こなしながら、華麗に踊る。

 難しいダンスなので、ホールで踊るのは、彼らだけだ。


 女子生徒はため息をつく。

 男子生徒は憧れを宿す者と、明らかな嫉妬の表情の者に分かれた。


『お前は残念だったな。しかし伏兵だな。まさかのイスマエル殿下か。』

 ニコラスがノルン語で話しかけてきた。

『本当にいつ仲良くなったんだ?本の虫だったのだろう?』

『見ろよ、レオンハルト殿下が射殺すような視線を、イスマエル殿下に送っている』

『二人とも今年入って来たのに、積極的だななぁ。』

『お前も頑張れよ。まだパーティーは始まったばかりだぞ。』

『ああ、今年こそ、ダンスを申し込むぞ!』

『イスマエル殿下はわからないが、あのレオンハルト殿下はクセのある人物だからな。まあ、頑張れよ。』

『応援してくれ!』

『ああ。頑張れよ!』


 そう言いながら、アリアナ姫に目を移すと、イスマエルと楽しそうに会話をしながら、ダンスを踊っており、とてもお似合いだった。


 息の合ったダンスが終わった後は、拍手が沸き起こり、彼女は皆に礼を執る。


「皆さまもどうぞダンスをお楽しみくださいませ。」


 そう言って、姫はイスマエルとホールを後にした。


 今年こそ、一緒に踊りたい。そう思って、白薔薇姫の元へと向かったのだった。

【閑話】ヨハネスからの手紙

「可愛い妹のマリーへ

フワフワとモコモコをありがとう。

こちらの女子生徒の中でも評判だったよ。

僕のところに注文が入っているから、また送って欲しい。

そして、マリーのウサギは白薔薇姫が可愛がってくれている。手紙と一緒に彼女からのカードとプレゼントを送るね。

父上、母上にも僕は元気だと伝えて欲しい。

マリーはお腹出して、風邪などひかない様に。


           ヨハネスより」

*****

こんな手紙を書いたのでしょうか。


お読みいただき、ありがとうございました。

よろしければ、ブックマーク、評価、感想をいただければ、励みになります。

誤字報告も有難く、勉強になります。


今回で一旦、ヨハネス編終了です。

次回はイスマエル編になります。伏兵の彼とアリアナの接点を書いています。

明日か明後日には投稿出来るよう、頑張ります。

番外編続きですが、お付き合い頂けますと、幸いです。

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