【番外編】クロードとアリアナの出会い2(クロード視点)
ブックマーク、評価、感想、ありがとうございます。初めて書いた作品ですので、大変励みになります。
今日はシステムメンテナンスがあって、投稿時間が遅くなってしまいました。お待たせして、申し訳ありません。
私の脳内の「攻略キャラ祭り」がなかなか終わってくれません。皆自己主張しています。そのうち決闘でも始めるかも…
ですので、もう暫く番外編にお付き合い頂ければ、幸いです。
番外編ばかり、長くなってしまい…反省しています。
アリアナのその後も少しずつ書き始めています。
暫くお待ち下さい。
クロード編は、今回で一旦終了です。次回は閑話的に他の王子様の話を更新する予定です。
アリアナは、私達との勉強を再開すると、前にもまして、勉強に熱心になった。
「アリアナは熱心だね。」
と、私が褒めると、
「だって、クリストファー殿下は何も出来ないし。わたくしが勉強しておかないと、困るでしょう?」
と、笑いながら答えた。
クリストファーの名前が出てくると、苛立ちを覚える。
私はつい難しい顔をしてしまい、エリックから、
「お前、顔が怖い!」
とよく注意されていた。
アリアナは、私達の剣術の練習にも付いてきた。
「アリアナは女の子なんだから、剣術は必要ないよ。」
と諭すが、
「クリストファー殿下が守ってくれるとは、思っていないから、自分の身は自分で守らないと。」
と、嬉々として参加した。
エリックは笑いながら、
「アリアナは元々お転婆なんだ。勉強続きで息抜きがしたいのさ!」
と、アリアナと一緒に剣を振り回している。
彼女はとても身軽で、剣捌きも上手だ。
きっとエリックの相手をさせられていたのだろう。
アリアナがお転婆なのは、エリックが原因かと納得した。
その頃、私はアリアナの魔法力が、強く出てきた事に気付いた。
剣術の時に負けそうだと思うと、防御魔法を使うのだ。
「アリアナ、防御魔法を使うのはずるいぞ!」
とエリックが諭す。
アリアナの年齢で、防御魔法を使える事自体が珍しい。
早速、自分の魔法学の家庭教師に相談した。
教師は、アリアナの魔法力がかなり高いと驚いた。
私と同じくらいに。
いくら高位貴族だからとしても、この魔法力は彼女には強すぎた。その為、魔法力制御のブレスレットを身に付ける事になったが、それと同時に、魔法の使い方を身に付ける必要がある。
父王と彼女の父である公爵に相談して、私の家庭教師に彼女も習う事が決まった。元々エリックは一緒に習っていたので、彼女も一緒に習える様に手を回した。
「魔法を上手に使うのは、難しいわ…」
とアリアナはよく言っていたが、1年も経たないうちに、自由に使えるようになっていた。
11歳になると、私とエリックは王立魔法アカデミーに入学する。
アカデミーでは、新しい友人達との出会いは新鮮であった。が、少ないが令嬢達も在籍していた。彼女達は明らかに私に媚を売る者もいる。
婚約者がいない私は、令嬢達にとっては一番の結婚相手と思ったのだろう。
しかし私はアリアナ以外は必要ない。
あまりにも煩かったので、近寄るなと冷たく言い放った。
エリックは笑いながら言う。
「お前のその顔で対応すれば、虫も寄ってこないな。」
勉強もアカデミー中心になったので、思うようにアリアナに会えなかった。
エリックに頼み込み、アリアナを週に2回、面会に来させた。
「クロード様、お兄様、わたくしも早くアカデミーに入学したいわ。」
「アリアナには退屈だよ。」
と、私は慰めた。
「だって、一人になったら、突然、お母様がダンスとか、マナーのレッスンを入れてしまって。終わったら、お母様から刺繍を習わないといけないし。」
「お前、嫁に行くなら、母上の課題は必須だろう?ましてや、お前はクリストファー殿下と婚約しているんだし。」
エリックの言葉がチクリと心に刺さる。
「わたくしはお嫁に行かなくてもいいわ。好きな事をしていたいの。」
「クリストファー殿下と喧嘩でもしたか?」
「喧嘩するほど、お会いしていないわ。お兄様とお会いする方が多いくらいよ。」
少し安心する。
「でも王宮へは、上がっているんだろう?」
「王妃様から呼ばれて、週に一度は行っているわ。」
「で、何をしてるんだ?クリストファー殿下と会っている訳ではないんだろう?」
「王妃様の公務がある時はご一緒させていただいて、そうで無い時は、着せ替え人形だわ。」
「クリストファーは会いに来ないのか?」
私は気になっている事を確認する。
「時々はいらっしゃるけれど、王妃様にご挨拶をされるだけで、退出されるわ。」
「お前、何かやらかしたか?」
「まぁ、失礼なお兄様。ああ、でもこの間の剣術の稽古は手を抜くべきだったかしら?」
アリアナは首を傾げる。
「剣術の稽古を一緒にしたのか?クリストファーと?」
私は驚く。アリアナとクリストファーは剣術は一緒に練習などした事はなかったからだ。
「たまたま王宮へ上がった時に、剣術の稽古に行かれるクリストファー殿下とお会いして。わたくしからお願いして見学させてもらったの。」
アリアナがクリストファーに興味を持ったのか。
「アリアナがクリストファーにお願いしたのかい?」
「ええ、だって着せ替え人形になるより、騎士様達の訓練を見た方が楽しそうだったから。」
「それで、クリストファーはなんて?」
「構わないから付いて来いって、連れて行ってくださったわ。」
「で、訓練はどうだった?」
「皆さま、素敵でしたわ。クリストファー殿下も素振り姿は素敵でしたわ。」
アリアナが他の男を素敵だと言う事が許せない。
「クロード、顔が怖いって!」
エリックは肩で笑っている。
「皆さま、とても楽しそうだったから、わたくしも体を動かしたくなってしまって。クリストファー殿下と手合わせをお願いしたの。」
「お前、ドレスだったんだろう?何でそんな事するんだ…」
エリックが頭を抱えている。
「あら、別にドレスでも構わないじゃない。襲われる時はドレスを着ている時がほとんどなんだから、ドレス姿で動けないと意味ないでしょう?」
「お前、その屁理屈、もしかして騎士団長に言ったんだ…」
エリックが遠い目をしている。
クリストファーの剣術の稽古は騎士団長が監督している。私達も以前は彼に稽古を付けてもらっていた。
彼が笑っている姿が、目に浮かぶ。
「クリストファーはアリアナの相手には物足りなかっただろう?」
「ええ、クロード様。わたくしがクリストファー殿下の剣を叩き落としてしまったの。それを騎士団の皆さまがご覧になっていらっしゃって。」
「あー騎士団員が見ていたのか。お前、親父に絞られただろう?」
「いいえ、騎士団の皆さまにはわたくしから内緒にしてとお願いしたので、大丈夫でしたわ。」
相変わらず、皆に人気らしい。
「クリストファーはどうしたんだい?」
私はアリアナがクリストファーから、責められてないか、心配になった。
「何も仰らないまま、立ち去られました。お兄様、わたくしはやっぱり謝った方がよろしいかしら?」
「お前が謝れば、クリストファー殿下は益々立場がなくなるぞ。放っておけ!だいたいお前はクリストファーの事をどう思っているんだ?」
エリックが私の聞きたかった事を聞いてくれた。
「手のかかる弟。」
エリックは噴き出し、腹を抱える。
「お前、弟って、お前と同じ年だろう?」
「だって、王妃様からお願いされて、勉強を教えたり、語学の練習に付き合っているけれど、すぐに飽きてしまわれるし。最近は逃げ出してしまうの。剣は弱いし、勉強は嫌いだし、弟がいたら、あんな感じかしら?」
私はエリックと二人で思い切り笑ってしまった。
久しぶりにこんなに笑った。
アリアナは空色の目を丸くして、キョトンとしていた。
やはり、アリアナと過ごす時は楽しい。
彼女は週に二度面会に来てくれた。
クッキーなど手作りのお菓子を差し入れし、いつもの様に、自分の家や王宮内の出来事などを、楽しく話してくれた。
「アリアナは自分で料理もするのかい?」
「はい。楽しいですわ。」
「こいつの作る料理は結構美味しいんだ。最初は反対していた両親も、今では喜んで作らせているよ。」
エリックが私の肩に手を置きながら、笑う。
令嬢が自分で厨房に入り、料理をする事など普通は無いのだが、彼女は生き生きとして、作っているらしい。私も食べてみたい。と思ったら、すかさずエリックが
「クロードも食べたいんだろう?今度の休みにでも、家に来るか?」
と誘ってくれた。
なんだかんだで1年過ぎ、次の年からは、アリアナもクリストファーと一緒に、同じアカデミーに入学してきた。
クリストファーと一緒にいる所をよく見かける。
親しくしているというより、アリアナがお目付役の様だ。
毎日どこかで見かける事はできる。
だが、なかなか二人で話す機会はなかなか無い。
彼女はあくまでも婚約者の兄である第一王子に対する態度だ。
私の呼び方も「殿下」に戻っていた。
昔のように純粋に慕って欲しい。何とか二人きりで会えないものかと思案していた。
そんな時に彼女の兄であるエリックが何気なく言った。
「俺たちもだが、アリアナも今更アカデミーに在籍しなくともいいのになぁ。あいつは習う以上の事をもう身につけているから、さぞかし退屈だろう。まぁクリストファー殿下のお目付役ではあるんだろうけど。」
それを聞いた私はアリアナに会う為に一計を案じる。
アリアナの魔法力が高い事を利用して、魔法師団に週に一度実技研修をさせる事にしたのだ。
私も週に一度は魔法師団の仕事をしている。
その時に合わせて、アリアナを呼べば、二人きりで会う事が可能になる。
アリアナの実力を知る父は、あっさりと認めてくれた。
「アリアナ、魔法師団で魔法の実技の練習をする様に手配したから、週1回、学校を休んで、魔法師団まで来るように。」
「クロード殿下、わたくしは別に魔法の実技は必要ありませんが。」
「ダメだよ。もう決まったから。先生には話を通しておくから、皆には体調不良とでも言って休んでおいで。」
「でも、クリストファー殿下が。」
「クリストファーは放って置いても大丈夫だから。その為のアカデミーだろう?それにエリックも一緒だ。以前の様に3人で練習しよう。」
そう言って、アリアナとの時間を確保した。
エリックも一緒だったが、彼は適当に席を外してくれる。
私にとって、心癒される時間だった。
アカデミーを卒業後、アリアナに会う機会は週に一度になったが、クリストファーがアリアナとは別の令嬢に執着しているとの情報が入った。
クリストファーがアリアナから離れてくれればいい。
今日の事故は、そう思った直後だった。
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空いたグラスに、自分でワインを注ぐ。
「アリアナ、君は僕のものだ。」と呟く。
本当は誰にも触れさせたく無い。
早くアリアナを自分のものにしたい。
クリストファー以外に、アリアナに近付く者がいるとは、思わなかった。
アリアナとクリストファーの婚約は、私も裏から手を回している。近いうちになくなるだろう。
なかなか決まらないのは王妃が反対しているからだ。
王妃はアリアナをたいそう可愛がっている。
しかしクリストファー自身がカーラに入れ込んでいる以上、卒業するまでには結論を出すだろう。
それまでの間に、外堀を埋めて行こう。
そう私は誓ったのだった。
お付き合い頂き、ありがとうございました。
レオンハルトとクロードの番外編は、また書きたいと思っていますが、ちょっと話が重くなったので、次回は別の王子様を閑話的に書いています。
明日、投稿できるように頑張ります。
読んで頂けますと、幸いです。
また、宜しければ、ブックマーク、評価、感想を頂けますと、嬉しいです。
初作品ですので、皆さまからの評価は、とても勉強になります。
これからも、どうぞよろしくお願いいたします。




