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悪役令嬢は婚約破棄を言い出した王子様に決闘を申し込む。  作者: 藤宮サラ
第二章 決闘後

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婚約式2(クロード視点)

ブックマーク等ありがとうございます。

前話の続きです。

 二人きりになり、アリアナと向き合う。


 婚約式のドレスは、白を基調にして、胸元に若草色のレースの小花の飾りが付いており、ウエスト部分は若草色のリボンがアクセントとして結ばれている。スカート部分はシフォンの生地が二重に重ねられ、清楚な雰囲気に仕上がっていた。

 金色の髪はハーフアップに結われ、白い薔薇が飾られている。


 眩いばかりの姿に頬が緩む。

 私はアリアナの隣に座り、頬に手を当てる。


「アリアナ、綺麗だよ。もしかして泣いていた?」


 そっと目元に指を当てる。

 他の奴を思って泣いていたのか?


「ええ、少し感情的になってしまった様です。殿下も素敵ですわ。いつもですけれど。」


「まだ私の想い人が誰だかわかっていない様だね。」


「だって、わたくしにも殿下はお優しいですから。」


 アリアナはそう言って、視線を落とす。


 それからは、アリアナの誤解を解く為に必死だった。

 アリアナはどんなに私の気持ちを伝えても、信じてもらえない。


 何度、閉じ込めてしまおうかと思ったか……

 つい、呟いてしまった。

 怖がらせてしまったか?


「本当にわたくしでよろしいのですか?」


「アリアナが良いのだ。他の誰も要らない。側妃も持たないと約束する。だから私の花嫁になっておくれ。」


 私はそう言って、アリアナを立たせた。

 そしてその前に跪き、アリアナの手を取る。


「誓いは神の前で行うが、アリアナ自身に誓いたい。私の身は国と国民に捧げている。だが愛はアリアナだけに捧げる。結婚して欲しい。偽りの無い私の気持ちだ。」


「困りましたわ。」


「何で困るんだ?」


 誰か他の奴が好きなのか?他国の王子か?

 思い浮かぶ三人の王子達。

 特にヨハネスはアリアナが逃げた国の王子だ。


「だって、将来の王様が国民にも愛情を向けて貰えないかと思うと、わたくしはこのお申し出を受けるべきでは無いのかと…」


 アリアナの答えは想定外だった。

 思わずポカンとアリアナを見てしまう。

 他国に好きな人がいると言われるよりマシだったが。

 立ち上がり、アリアナを見下ろす。一体何を考えているんだ?


「アリアナ。国民には親愛の情を分け与えるから、よいだろう?」


「ふふふ…殿下、お顔が怖いですわよ。今から婚約式ですのに。」


 アリアナが後ずさるのを、阻止すべく、腕を取り、距離を詰めていく。逃すものか。


「アリアナが返事をくれないのが悪いんだ。だが、どんな返事でも、君が私の正妃になる事は決まったんだ。ゆっくり口説き落とすさ。」


 そうだ。もう私が遠慮する事はない。

 アリアナとの新しい関係を築いていけば良い。


「わたくしもお兄様と思いお慕いしておりましたので、急には難しいですわ。ですから、お手柔らかにお願い致します。」


「それは了承と受け取るぞ。」


「ええ、よろしくお願いいたしま……」


 嬉しくて、彼女が言い終わらない内に、唇を奪ってしまう。アリアナが怖がるといけないと、触れるだけの軽いキスだった。そして胸に抱きしめる。


 アリアナのほのかな香りが心地よい。

 アリアナが腕の中にいてくれる。

 それがどんなに私を安心させるか、彼女はわからないだろう。


 アリアナをソファーに座らせ、そっと彼女の手を握り、耳元で囁いた。


「早く結婚したい。私が愛しているのはアリアナだけだよ。忘れないで。」


 更に真っ赤になった彼女は、両手で顔を覆っていた。


 その後直ぐに、部屋に戻ってきたエリックに引き離されてしまったが。


 化粧を直さなければならなかったアリアナに睨まれたが、私はとても満足だった。



 聖堂での婚約式は厳かに行われた。


 両家の親族と重臣、上位貴族と各国の大使を招いていた。各国の大使を招いたのは牽制だ。

 アリアナが仲良くしていた王子達の国の大使ももちろん参加していた。


 母はハンカチを片手に涙ぐんでいる。

 心配ばかりかけていた。私の望みが叶った事を喜んでくれているのだろう。


 対照的にエリックは私を睨みつける様に見ている。

 エリックは物凄く複雑な気持ちなのだろう。

 アリアナを嫁に出すにはまだ1年あるのだが。

 エリックの隣には、アリアナに面影の似た、彼女の母君が並んでいた。ハンカチを手に、優しい微笑みを浮かべてくれていた。

 彼女も影で私を応援してくれた一人だった。

 母の親友だった彼女は、私の為にアリアナを良く城へ連れて来てくれたのだから。


 王妃も出席して、わだかまりのない事を内外に示してくれた。彼女はアリアナの後宮での後ろ盾となってくれると約束してくれたのだった。彼女自身も昔からアリアナの事が気に入っていて、娘にしたいのは、今も変わらないらしい。


 父も喜んでくれた。

 アリアナの能力を他国に渡さない為と重臣達を説得していたが、本当は幼い頃から王宮に出入りしているアリアナが可愛くて仕方がなかったらしい。王女がいなかったから、養女として迎えたいと何度も頼んだが、公爵は一笑に付していたらしい。

 今日はまるで花嫁の父の様に興奮している。


 参加している貴族達の反応は様々だ。

 クリストファー派の複雑な表情の者、私を推す派閥の嬉しそうな顔、中立派の安堵した顔。

 後継者争いが内乱にならず、中立派は今回の婚約を喜んでくれた。

 圧倒的に力を持つファーガソン公爵が私の後見になったのは、政治的にも有難い。


 聖堂の人々の反応をぐるりと見渡した後、入り口の扉に視線を向ける。

 扉が開かれ、眩い光と共に、アリアナの姿が現れた。

 彼女の姿を見て、ホッとする。

 逃げ出したり、攫われたりするんじゃないかと、気が気ではなかったのだ。

 アリアナは公爵に付き添われ、入場してくる。

 金色の髪が光を纏い、彼女が一歩踏み出す度にキラキラと輝いている。


 そして隣に並んだアリアナは女神の様に美しく、その微笑みを向けてもらえるだけで幸せだった。


 司祭が祝詞を述べる。

 その後は私からの婚約の宣誓だった。


「アリアナ嬢、貴女は私の希望の光でした。迷い挫折し暗闇に閉ざされそうな時でも、貴女が側にいてくれたからこそ、私は希望を見失わず、己を磨く事ができたのです。神は私達に試練を与えましたが、それを乗り越えて、今日の日を迎える事ができました。私の身は国と民に捧げていますが、愛は貴女に捧げます。」


 そう、アリアナは私の希望だった。

 クリストファーとの微妙な関係の中、クリストファーとアリアナの婚約という試練が立ち塞がり、アリアナも自分の将来も諦めなければならないと落ち込んだ。

 だが、アリアナはクリストファーとの婚約が決まっても私に笑顔を向けてくれた。

 アリアナを取り戻そう。その為に自分に力をつけよう、そう決意し、力を尽くしてきた。

 やっと今、その努力が報われる。


「クロード殿下、貴方はわたくしを幼い頃から守ってくださり、共に学ぶ機会を下さいました。辛い試練の時でもわたくしを見放さず、寄り添ってくださった殿下と婚約出来ることを神に感謝いたします。わたくしはお国の為に尽くされる殿下のお力になれる様、誠心誠意お仕えしたいと存じます。」


 アリアナの言葉が嬉しい。これからは私の側にいてくれる。抱きしめてしまいたい衝動をグッと堪えて、アリアナの一挙手一投足を目に焼き付けた。

 もう離さない。誰にも渡さない。

 アリアナが勘違いしない様、毎日愛していると伝えなければ。


 それぞれに誓いを立てると、司祭が婚約の成立を宣言する。

 そして、婚約の記念品を贈り合う。

 私は指輪をアリアナの指に通し、そっとその手を取り、指輪にキスを落とした。


 周囲から、歓声が上がる。

 皆に祝福されながら、出口に向かい歩いて行く。

 途中そっとアリアナに囁く。


「もう離さないから。覚悟して。幸せにするよ。」


 何で今日が結婚式でないのか?

 一年後の結婚式が待てない。

 早く名実ともにアリアナを妃として迎えたい。


 明日から結婚式を一日でも早くするよう手を回さなければと、決意を新たにしたのだった。





お読みいただき、ありがとうございました。


次回は不定期更新になります。


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