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悪役令嬢は婚約破棄を言い出した王子様に決闘を申し込む。  作者: 藤宮サラ
第一章 決闘まで

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【番外編】クロードの想い2(クロード視点)

ブックマーク、評価、感想、ありがとうございます。連載当初はどうなる事かと思いましたが、皆さまに励まされ、なんとか続けて書く事が出来ています。


まだまだ番外編です。

アリアナ視点に戻りたいと思いつつ、脇役が自己主張してきます。


前回の続きで、アリアナの登場です。

お楽しみいただければ、幸いです。

 アリアナが部屋に入って来る。

 彼女は上品な瑠璃色のドレスを着ていた。首回りから肩にかけては、白いレースのみで覆われ、素肌を所々覗かせる。体に沿って流れるようなラインは、彼女の華奢な体を引き立たせていた。


 私は思わず彼女を抱きしめたいと、ソファーから立ち上がり、彼女の元に歩いていた。


「ごきげんよう。」

 彼女は礼を()った。


 アリアナは私と目が合った途端、踵を返して戻ろうとする。


 私は慌てて、アリアナの腕を掴んで、ソファーの隣に座らせた。

「アリアナ、何で私を見て逃げるのかな?」


 彼女は私には向き合わず、エリックを睨み、

「クロード殿下がいらっしゃるとは聞いていませんわ。わたくしは戻ります。」

 と、席を立とうとする。


 慌てて腰に腕を回し、引き寄せる。

 アリアナはそれでも逃げようとして、私の腕を外そうとしている。


 エリックは笑いながら、

「ほら、お前の顔が怖いから、アリアナは帰るってさ。」


「何だって!」


「だから、その顔だって。アリアナもいい加減に諦めろ。話ができない。」


 エリックに諭され、アリアナは抵抗を止めた。


 公爵が口火を切る。

「アリアナ、今日の事故の時に、防御魔法をかけたのは、お前だな。」


 アリアナはため息をつく。

「お父様、報告書にはレオンハルト殿下だと記載されているはずですが?」


「私の目は節穴ではない!」

 公爵が声を荒げる。


「親父、落ち着け!」エリックが公爵を宥める。


 私は片手をアリアナの頬に当て、目を合わせる。

「アリアナ、まずは確認したい。今日の事故では怪我は無かったか?」


「はい。」


「立ちくらみは?」


 アリアナが返事を躊躇(ちゅうちょ)する。


「私は君の事が心配なんだ。防御魔法を使ったのはアリアナだね。立ちくらみは大丈夫なのか?」


 アリアナは私の顔を見上げて、か細い声で

「殿下はお怒りになりませんか?」と問う。


「私は怒っていない。」


 エリックは笑いながら口を挟む。

「お前の顔が怖いから怯えているんだよ!」


「エリック、殿下の御前だぞ。言葉に気を付けなさい。」


「親父、今更だ。で、アリアナは具合が悪かったのかよ。」


「私はあれくらいの魔法や事故では具合悪くなったりしないわ。お兄様がご存知じゃない。」


 兄妹で遠慮がないのか、口調が砕けている。


「だよなぁ。で魔法もお前なんだな。」


「ええ。だって防御魔法かけないと、死人が出たわ。」


「だいたい、授業で爆発とか、普通有り得ないだろう?何で爆発したんだ?」


「クリストファー殿下が説明聞かずに、火魔法を薬品にかけたからよ。カーラ様がよく燃えるところが見たいと言ったから、自分が出来るところを見せたかったのよ。信じられない。おかげでレオンハルト殿下に拉致されるし。」


「拉致?」

 私は聞き捨てならない言葉に、怒りが出てしまう。


 アリアナはビクッとし、逃げようと腰を浮かす。

 私は腕に力を入れ、彼女の動きを封じる。


 レオンハルトの名前をアリアナの口から聞くだけで、昼間の光景を思い出し、不快になる。


「どういう事か説明してもらおうか?アリアナ。」

 私の声が低くなる。


 アリアナは怯えたように答える。

「防御魔法をかけたところを、レオンハルト殿下に見られてしまったのです。レオンハルト殿下は自分が魔法をかけた事にするから、部屋で話がしたいと仰って。それで、私が逃げないよう抱き抱えて移動されたのですわ。立ちくらみなど、嘘です。」


あの時、無理矢理でもアリアナをレオンハルトから引き離すのだったと後悔する。


「それで、彼は何を言ったのかな?」


「彼と結婚して、ベルンブルク国に来ないかと。」


「何だと!」

 私は怒りが出てしまった。アリアナは本気で逃げようとする。

 慌ててアリアナを膝の上に抱き抱える。


「殿下!下ろして下さいませ。わたくしはもう子供ではありませんわ!お兄様!なんとかして!」


「無理だ。諦めろ。」


「お父様!」


「諦めなさい。」


 二人が味方とは心強い。


「それで、アリアナは何と答えたのかな?」


「冗談を仰らないでくださいと。だいたいレオンハルト殿下も、お国に婚約者がいらっしゃるのですから。わたくしはちゃんと断りましたから、離して下さいませ!」


「ダメだ。」


「ご心配されなくとも、ちゃんと返り討ちにして来ましたわ。だから離して!」


「お前、返り討ちって、何をして来たんだ。」

エリックがすかさず問う。


「だって、キスしようとしたのよ!あの女誑(おんなたら)し。わたくしの顎に手を掛けて、顔を近付けてきたから、手を叩いて、逃げ出したわ。」


 エリックは噴き出すが、私はそれどころではない。

 アリアナにキスをしようとしたと聞いただけで、怒り心頭に発する。


「クロード、お前顔が怖すぎ。お前の目だけで人を射殺せそうだぞ。アリアナはちゃんと逃げたんだ。ちょっとは落ち着け。」

 エリックは相変わらず笑っている。


「お前は可愛い妹が危ない目に遭ったのに、よく笑ってられるな。」


 私が憮然として言うと、エリックは笑いながら

「アリアナはレオンハルトの事は何とも思ってないってわかったんだから、いいじゃないか。」

と言った。


「お兄様、わたくしも婚約者がいるのですから、変なことを仰らないでくださいませ。」


 アリアナから、婚約者と言う言葉を聞いただけで、胸が痛む。嫉妬で狂いそうだ。膝の上のアリアナを抱きしめる。


「クロード殿下、お戯れが過ぎます。幼い頃とは違うのです。今のわたくしはクリストファー殿下と婚約しているのです。離して下さいませ。」


 アリアナは必死で逃げようとしている。


「アリアナ、今、お前逆鱗(げきりん)に触れたな。諦めろ。」


「お兄様!何が逆鱗なのよ!助けて!」


「無理だな。お前が悪い。」


「ひどい!お父様、助けて!」


「クロード殿下、程々にお願いします。」


「ああ、一時アリアナを借りていいか?」


「ご随意に。ただし人目に付くのは困ります。こちらの部屋でお願い致します。私共は隣で控えております。」


 そう言って、公爵とエリックは隣室へ移ってくれた。


 私の気持ちを全くわかっていないアリアナをどうしてくれようか。

 二人きりになり、アリアナの体は強張っている。

 私はそっと抱きしめた。


「今日はどうしてレオンハルトに抱き抱えられていたのかな?」


「さっき説明いたしました。あれは不可抗力です。勝手にレオンハルト殿下がされたのです。」


「抱き抱えられただけかな?」


「他には何もありません!」


「キスされそうになったのに?他にはレオンハルトと何を話したのかな?」


「今日の事故の話と、クロード殿下との関係と、彼の国に来ないかと言われた事と…昨年の海賊襲撃の件について聞かれました。」


「やはり、海賊襲撃の件か。」


「私が魔法で対応した事が知られている様です。」


「そうだろうと思ったよ。それと、アリアナは私との関係については、何と答えたのかな?」


 それは気になる。アリアナから嫌われていないとは思うが…


「もう一人の兄の様にお慕いしていると。」


「ふーん。兄ねえ…」


 私は兄ではなく、生涯の伴侶になって欲しいのだが。


「クリストファー殿下の婚約者の立場であるわたくしにとって、クロード殿下はお兄様に当たりますわ。」


 アリアナの言う事は対外的には正しい。


「仕方ない。今はそれで許してあげよう。だが、男性の部屋で二人きりになるとは、許せないな。お仕置きが必要だな。」


 私はそう言って、アリアナを膝の上から横抱きにし、抱きしめた。そうして魔法を発動させ、彼女にキスを落とした。


 これで君は私から逃れる事はできない。


「クロード殿下、何をなされるのですか!」


 アリアナは真っ赤になっている。


「お仕置きだと言っただろう。今後、レオンハルトと二人きりになるのは禁じる。わかったな。」


「ひどい…初めてだったのに。」


「違うよ。2回目だな。君が6歳の時に、私がちゃんと初めてのキスを貰ったよ。」


「そんなに小さな頃の事は覚えておりません。」


  アリアナは肩を落とす。


 あまりにもその姿が可愛らしく、そっと額にキスをした。


「殿下、わたくしはクリストファー殿下の婚約者ですわ。こんな事許されません。」


「クリストファーはカーラと仲良くやっているのだろう?」


「わたくしだって、クリストファー殿下と結婚したいわけではありませんわ。好きで婚約者になった訳ではないのに。」


 私はその言葉に歓喜する。


「アリアナ、クリストファーとの婚約は必ず解消させるから。心配しないで私の元においで。」


「いえ、怖いので、辞退させていただきます。婚約解消された暁には、わたくしはのんびり家で暮らしますわ。」


 エリックなら、アリアナが希望すれば、喜んで一生家で面倒をみるだろう。

 私の心臓は喜んだり落ち込んだりと忙しい。


「アリアナ、そんな事は言わないでくれ。」


 エリックがいなくてよかったと思う。

 変わらないアリアナにホッとしたが、肝心な事を伝えなければ。


「アリアナ、先程のキスは魔法をかけている。君が危険に晒された時には、私に伝わる様になっている。困った事があれば、心の中でも声に出してでもいいから、私を呼んでくれ。」


「えっ、さっきのは魔法でしたの?でも、殿下をお呼びする方が、わたくしには危険な気がしますわ。」

 彼女は笑いながら、そんな事を言う。


「ダメだよ。ちゃんと私を呼ぶんだ。わかったな。」


 念を押したあと、エリック達を部屋に戻した。


 彼女は寮に戻らなければならないと、挨拶をしてから転移魔法で戻った。


 私は、アリアナが無事だった事に、一安心したが、レオンハルトの件は要注意だ。


 残りのアカデミーでのアリアナの生活が、何事もなければ良いが。

 

 そう祈りながら、私も自室へ戻ったのだった。

お付き合い頂き、ありがとうございました。


ブックマーク、評価、感想いただければ、励みになります。


クロードとアリアナの出会いを、今書いています。

無事明日更新できればいいのですが…

とりあえず、今から頑張りますので、今後もよろしくお願いします。

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