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悪役令嬢は婚約破棄を言い出した王子様に決闘を申し込む。  作者: 藤宮サラ
第二章 決闘後

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婚約式とお祝いのカード1(アリアナ視点)

感想、ブックマークありがとうございます。

大変励みになります。


連れ戻されたアリアナの話です。


 今日は婚約式。

 私は白地の裾が広がっているドレスを着て、ソファーに座っている。

 胸元に若草色のレースの小花の飾りが付いており、ウエスト部分は若草色の地色に銀色の蔓草模様の意匠のリボンがアクセントとして結ばれている。スカート部分はシフォンの生地が二重に重ねられ、清楚な雰囲気に仕上がっていた。


 着付けも化粧も終わったので、一人にしてもらったのだった。

 もちろん逃亡防止の為に、部屋には逃走防止の防御魔法がかけてあり、扉の前に二人、窓に二人、護衛が張り付いてはいるけれど。


 控室で溜息を「はー」一つ吐く。



 ここ三ヶ月程で、目まぐるしく変化していった自分の運命を思い出してみる。


 卒業パーティーから逃げ出して、拐われかけ、溺れた。そして、強制送還?の後、婚約式。

 自分でも訳わからない…


 ゲームの中では、悪役令嬢はバッドエンドしかないと思い、回避すべく行動したつもりだったのだけど。


 今頃は田舎に引きこもり、研究に勤しんでいる予定だった。誰にも迷惑を掛けず、のんびりと魔法というファンタジーの世界で、何がどこまで出来るのか検証したかったのに。


 何で…と今までの出来事を思い出す。


 卒業パーティーの後、転移魔法が失敗、姿が梨奈に変わっていた。それだけでも驚く。


 運良く北の国の国王陛下に拾われ、匿われれた。でも、ヨハネス殿下は先見の能力で、梨奈の姿の私をアリアナだと見抜いていた。だけど彼は変わらず紳士で、私の居場所を作ってくれたのよね。


 北の国で過ごせる事になり、気取らず、人々と触れ合いながら生活するのは楽しかった。想定外だったけれど、ここでのんびり生活して、自分の食い扶持を稼げればいいんじゃないかと思っていたのだけど……


 そんな中、ルーカス殿下が私の事を早々見つけ、彼は強引に連れ去ろうとした。その場面に兄とクロード殿下が居合わせるなんて、間の悪い……


 ルーカス殿下が私を攫う最中に、馬が暴れ、私は川に落ちたというか、自分から飛び込んだというか…そこまでは覚えている。


 あの時は川に飛び込んだ方が、馬に蹴られるより怪我はしないだろうし、ルーカス殿下や兄達の争いも止められる。そう咄嗟に判断したのよね。


 でも、川は冷たいし、出ようともがいたけれど、両手を拘束されていて、上手く泳げない。

 魔法が使えなかったのが誤算だった。普段なら魔法で何とかしたのに、全く使えなかったのよね。正直に言うと詰めが甘いと兄から叱られそうだから黙っていたけれど、自分でも失敗したと思った。


 息が苦しい…もうダメかも…そう思った時、私は白い光の中にいた。


「貴女にお迎えが来ています。」


 どこからとなく聞こえて来た声に、ああ私はもう死ぬのかな?と思った。

 すると、光は消え、私の腕をグイグイと引っ張る人がいる。その姿は佐伯くんだった。前世に戻ってしまった?自分の姿も前世に戻ったのだから、今度こそ三途の川を渡るのか。天国だったらいいなと思って、身を任せていたら、気が付いた時には、北の国の王宮の客間だった。


 驚いた事に、側にクロード殿下が座っていて、私の手を握ってくれていた。


 そして何故か姿はアリアナに戻っていた。

 川は女神の森から流れていて、北の国の国王陛下(カシラ)が仰るには、女神のお力だろうと。


 ちなみに溺れた私を助けてくれたのは、ルーカス殿下だったらしい。

 あの夢だと思っていたお迎えは、ルーカス殿下が必死で底から引っ張ってくれた姿で現実だった。

 彼は私を川底から引き上げ、岸にいたクロード殿下に私を引き渡した後、力尽きて流されたそうだ。今も行方不明のままだと聞いている。

 クロード殿下は、なんとも言えない顔で教えてくれた。


 私はそれを聞いた時には、真っ青になってしまった。

 私が川に飛び込まなければ、彼は川に流される事はなかったに…

 自分の行動が他人の運命を変えてしまった…そんな重い後悔を背負うことが、どんなに辛い事か。

 ルーカス殿下の気持ちが今になって、重く私にのしかかる。


 ちなみに私を攫った事件は、ルーカス殿下が私を助けた為に、流され行方不明になっている事が考慮され、責任を問わない事になった。

 要するに、色々と国際問題にしたくは無い関係国と、私の名誉を守る為という思惑が働き、事件は秘密裏に処理された。


 私の事を匿ってくれたヨハネス殿下は、私の姿が違った事と、私が口止めしたという理由で、不問となったと聞いてホッとした。


 それらの経緯を聞いた後の事は、思い出したくはない。クロード殿下が無理を言って、次の日には帰国。


 帰国後は、クロード殿下と兄から、護衛という名の監視が付けられた。


 体調を心配したクロード殿下は、私を魔法師団の客室(兄の部屋)で過ごす様、父を丸め込んでしまい、私は家に帰らないまま、王宮で過ごしている。


 体調が回復した今は、魔法師団のクロード殿下の執務室でお手伝いをしていた。

 魔法師団の仕事と王太子としての公務を掛け持ちしている彼は忙しい。私の仕事は、彼のスケジュール管理や書類の整理、下調べなど、仕事は山程あった。完全にクロード殿下の秘書官だと思われている。

 魔法師団に就職した覚えはないのに!って兄に愚痴ると、お前が色々とやらかしたからだろう?って取り合って貰えなかった。


 まぁ、魔法師団だと抜け道とか、転移ポイントとかがを全て把握しているから、こっそり抜け出しているのは内緒だ。息抜きにこっそり下町に出かけて、買い食いしたり、孤児院で子供達と遊んでいる。

 魔法力も今ではすっかり回復しているけれど、これも内緒だ。


 そんな中、クロード殿下から婚約式をすると聞かされ、(それはおめでとうございます。お相手はどなたですか?)とお祝いを言ったら、殿下から怒られてしまった。

 殿下と私の婚約だったらしい。殿下はきちんと私に言ったらしいけど、卒業パーティーのドサクサの時や、病み上がりで言われた事は無効だと思う。

 父からは聞いていないし…

 

 兄に聞いたら、婚約式って言ったら、お前が逃げ出すかと思ったから言わなかったと。私当事者なんですが…

 


 そんなこんなで一騒動あり、今日を迎えた。

 そもそも婚約式って、する必要ある?

 婚約式は貴族の中で、家同士の繋がりを示す為に行われる。だけど、破談になったりすれば、家の名に傷が付くので、必ずしも必須ではない。

 片方、もしくは両方に求婚者が多い時には、牽制の為に婚約式を執り行なうらしいのだけど…


 私とクリストファー殿下との婚約は幼い頃から決まっており、婚約式もなかったのに、相手が変わった途端に婚約式って…何だか居た堪れない。


 クロード殿下は私が相手でいいのかな?


 殿下は本当は結婚式が良かったとボヤいていた。

 何をそんなに急いでいるのかはわからないけれど、もしかしたら、私を正妃に据え、想う方を一日も早く側妃に迎える為に、早く私を娶りたいのかもしれない。


 愛している方がいらっしゃるのであれば、その方を正妃にと何度も進言しているのに、気を遣って私を愛しているんだと言ってくれる。


 元々優しい方だったし、妹としてという枕詞が付くのよね、きっと。

 殿下が王太子になったからには、有力な後ろ盾として、我が家は必要だし。


 まぁ、クリストファー殿下の時の様に蔑ろにされる事はないと思うけれど…お飾りの妃にしてやると言われた事を思い出し、気分がどんどん下がっていく。

 どんなに気を遣って貰っても、本当に愛する方が別にいるのであれば、お飾りの妃と変わらないかも。


 気が乗らない婚約式を前に、更に追い討ちをかける物が届いていた。

 それが、この手元にあるお祝い?のカードと心尽くし?の祝いの品々。




[アリアへ

 婚約式おめでとう。まだ結婚した訳ではないのだから、近いうちに、攫いに行く。楽しみにしていろ!

               レオンハルト]


 相変わらずの俺様で笑ってしまうが、おめでとうの後に攫いに行くって…

 どう反応したらいい?



[アリアへ

 婚約式だそうですね。意に染まぬ婚約など心中いかばかりか。本当は今すぐ迎えに行きたい。だが、私は、国を平定し国内を立て直している所で、民を守る為にも国から出る事が、今は難しい状況だ。しかし早晩体制は整えられるだろう。私にとって、アリアが婚約しようが結婚しようが、我が妃に迎えるには支障は無い。なるべく早く迎えに行くから、待っていて欲しい。          イスマエル]


 まぁ、何と言ったらいいのか…

 思わずこめかみに指を当ててしまう。

 イスマエル殿下まで、壊れてしまったのだろうか?


 彼は卒業パーティーの直後、国で民の暴動が発生し、呼び戻されたのだけど、その混乱に乗じて、暴君と言われていた父皇帝を廃し、彼が皇帝になったそうだ。だから今は陛下だった。今までの様に気軽に話せる相手ではなくなったのよね。

彼なら民の生活を考えた統治をしてくれるだろう。

頑張って欲しいな。


 でもこの二人にどんな返事を送っても、聞き入れてはくれないよね。きっと。アカデミーは卒業したのだから、二人ともこれからもっと忙しくなるだろうし、私の事は淡い青春の思い出にしてくれないかな?



[アリアナ嬢へ

 ご婚約おめでとうございます。

 我が国へお迎え出来なかった事は残念ですが、貴女が幸せになる事を願っています。ですが、お相手が嫌になった時には、いつでもいらして下さい。両親共に歓迎します。マリーも貴女に会いたいと申しています。近い内にマリーと会いに行きますね。

                  ヨハネス]


 ヨハネス殿下には、国に戻ってから、お礼状と詫び状を送っていた。働くという約束を守れなかったので、手紙や魔法通信でリモートワークをする事になった。

 特産品の開発のアイデアを出したり、輸出に関して我が国との調整役を引き受けたりのアドバイザー役である。北の国からは謝礼代わりに、特産品が届く予定。もちろん、特産品は宣伝代わりにも使うけれど、個人的に興味がある品々が多いので、楽しみだ。

 いつか落ち着いたら、また訪問したい。



 次に手に取ったカードの差出人を見て、封を開けるかどうか、戸惑ってしまった。

 彼が今更カードを送ってくるなんて、なぜ?

 だけど、彼の今の状況には自分が関係している。

恨み辛みが書いてあったとしても、カードは私が見なければならない義務だよね。

 そう思い、ペーパーナイフで封を切った。



お読み頂き、ありがとうございました。


次回もアリアナ視点です。

明日か明後日には更新できると思います。

お付き合い頂けましたら幸いです。


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