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悪役令嬢は婚約破棄を言い出した王子様に決闘を申し込む。  作者: 藤宮サラ
第二章 決闘後

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北の国でのクロード(クロード視点)

ブックマーク等ありがとうございます。

前話の続き、クロード視点になります。

 北の国へ到着し、側近より報告を受ける。


 少女は女神の森で国王に保護されたらしい。

 周辺国には見かけない容貌だった為、各国には問い合わせをせずに、王宮で保護する事になったそうだ。

 ヨハネスがアリアナを保護したのかと思っていたのだが、国王が拾った少女か……


「アリアナかどうかは、これだけではわからないな。」


 もう少しアリアナに繋がる手掛かりがあると思っていた。


「だが、会ってみれば、アリアナかどうかはわかるだろう?挙動不審だったらアリアナの可能性は高いぞ。だいたい王家が保護するなど、普通なら考えられない。」


 エリックが慰めてくれる。気落ちした表情を出してしまった様だ。彼も期待していただろうに。

 確かに彼の言う通りだ。私もアリアナだと思いたい。


 そう考えながら、ヨハネスとの会談に臨んだ。


 ヨハネスと王家の儀礼的な挨拶を済ませると、早速本題に入る。


「着いて早々で悪いが、貴国で最近女神の森で保護した少女がいるらしいな。」


 ヨハネスは感情を見せない完璧な作り笑いで、応える。


「何処からお耳に入ったのかわかりませんが、確かに一人の少女を父が保護致しました。父の意向で王宮で世話をしておりますが、それがどう致しましたか?」


「その少女と会わせてもらおうか。」


「何故我が国が保護した者を貴殿に会わせなければならないのですか?貴殿も貴国も関係ないではありませんか。それに今回の会談は鉱物の取り引きの話ではありませんか?」


 ヨハネスは怪訝そうな顔をしている。確かに鉱物の取引で会談を設定したにも関わらず、いきなり保護した者について聞きたいと言えば、不審がられるか。


「鉱物の取り引きの会談は、明日だろう?先に少女の事か知りたい。女神の森で保護したのだろう?我が国の者でないと何故いいきれる?」


「彼女の容姿からこの周辺国の者ではないと判断しました。最初に我が国の王が保護し、国民として認めました。彼女はもう我が国の者です。貴殿が白薔薇姫をお探しなのは存じておりますが、彼女とは全く別人です。」


 用意した答えの様な返事に違和感を感じる。


「ならば会うぐらい問題なかろう?君が隠すから疑うのだ。」


「他国の王族の方にお目通りなど、許可出来ません。」


「私は無礼であろうと気にしないが?」


「彼女は保護されたばかりです。これ以上の精神的な負担を増やしたくはありません。」


 ヨハネスは会わせる気はないらしい。

 これだけ拒むのは、保護した少女はアリアナなのだろうか。

 次の一手を考えなければならないな。一旦諦めた振りをして、偶然を装い、勝手に会ってみるか?


 そんな事を考えていると、後ろからエリックが口を挟んできた。


「では、遠目からでも構いませんので、その保護された方を確認させて頂けないでしょうか?違うとわかれば、我が主も諦めがつきましょう。」


 堂々巡りの話し合いに痺れを切らしたヨハネスの側近たちが、遠目であれば、良いのではと声をかけてくる。


「幸い今日は女性たちが皆で仕事をしています。大人数であれば、遠目で見ても問題ないでしょう。」


 そう彼の側近の一人が進言してくれた。

 ヨハネスは納得していない様であったが、これ以上会談を長引かせたくはなかったらしい。


「わかりました。遠目で宜しければ。今日は女性達が作業をする日ですから、その視察という事で。」


「感謝します。」

 エリックが礼を言う。


「平民を含め、皆で作業をしています。他国から見れば奇異に見えるかもしれませんが、我が国は王家や貴族と民の距離が近いのです。ですので、他国の王家の方には不敬だと思われる言動や行動をする可能性がありますので、くれぐれも近付かないで頂きたい。」


 そうヨハネスが釘を刺すが、あまりにも警戒しているところが、怪しい。これはその少女に会ってみなければ。


「アリアナだと思われる者がいれば、会わせて貰うが?」


「保護した少女は一緒に作業している筈ですが、アリアナ嬢とは全く姿が違います。いずれにしろ、遠目からの視察ですから、お声はかけないで頂きたい。」


「見てみないと言えないだろう?」


「少女は黒髪、琥珀色の瞳ですよ。」


 ヨハネスは呆れた様に溜息を吐いたが、側近の一人に何やら言付けていた。


「川の近くの作業所に女性たちはいます。屋外での作業ですから、近くの橋の上からでもご覧にいれましょう。騎馬で構いませんか?」


「ああ、宜しく頼む。」


 ヨハネスが案内してくれた先は、城近くにある川にかかる橋の上だった。彼が示す先には、平屋建ての建物があり、周囲の川の近くでは、女性達が楽しそうに羊毛を洗っていた。


 アリアナらしき女性は見当たらない。

 だが、ヨハネスとよく似た少女と一緒に黒髪の少女が働いている。


 同じ年頃の娘たちと一緒に大きなタライに入れた羊毛を洗っていた。


「今日は刈り取った羊毛を洗浄しています。アリアナ嬢はいらっしゃらないでしょう?」


 確かにアリアナらしき娘はいないが、保護したという少女が気になる。


「保護されたのはあの黒髪の少女か?」


「ええ。今は妹と仲良くしています。」


 彼女をジッと観察していたら、視線が合った。

 彼女が慌てて視線を逸らし、娘達の輪に入って、姿を隠してしまう。

 怪しい。

 あの顔、アリアナが困った時の顔と一緒だ。

 私は隣にいたエリックに視線を向ける。

 彼も疑わしいと思った様だ。彼女を注視している。とにかくあの少女と話がしたい。いや、さっさと連れて帰れないだろうか?


「ヨハネス殿、貴殿が保護した少女は我が国の者の様だ。保護してもらい、感謝する。これ以上迷惑をかけられないので、即刻連れて帰ろう。」


「彼女が貴殿の国の者だと、どうしてわかるのです?それに彼女は今は我が国の国民として、認められています。折角この国に慣れたところです。おいそれと渡す訳には参りません。」


 何故、頑なに拒む?普通の平民であれば、他国の者だとわかれば直ぐに引き渡すだろう。


「では、会わせて頂きたい。彼女と話がしたい。」


 そう言って、黒髪の少女に目を向ければ、彼女は集団を離れて、一人で歩いている。


 何があった?

 エリックに目配せし、後ろに隠れていた影に彼女を追わせる。


 その時、ヨハネスに似た少女が駆け寄って来た。

 私達を見て、軽く会釈したが、急いでいる様で、ヨハネスに声をかける。


「お兄様、旅の方が何か尋ねていらっしゃるのだけど、言葉がわからないの。リナがわかるかもしれないって、今向かっているのだけど、お兄様もリナと一緒にいてあげて。」


 彼女が向かった先には、道が見え、近くの大きな木の下に人影が見えた。


 異国の者か?

 そう思うと同時に、叫んでいた。


「エリック、行くぞ!」


 そう叫んで、彼女の元へと転移したのだが、一歩遅かった。


 黒髪の少女は、ルーカスに腕を取られていた。


「その娘を放せ。」


「嫌ですね。彼女は私の婚約者です。行方不明になっていたのをやっと発見したのです。クロード殿下こそ彼女とは関係無いではないですか。」


 私は剣を抜く。

 すると、ルーカスの前に五人程の騎士達が剣を抜いて私達に立ち塞がる。私の護衛も剣を抜いて対峙した。


 それを見た黒髪の少女は、ルーカスに何かを異国の言葉で訴え、腕を振りほどこうとしている。

 何を言っているのか全くわからないが、これはアリアナが話していた異国の言葉ではないのか?


 その言葉を話している少女を見ていると、確かにこの辺出身ではない異国から来た者に見える。

 だが、ルーカスが無理矢理にでも攫おうとしているのであれば、アリアナに違いない。

 二人は我々が知らない異国の言葉で会話が出来る。

 この黒髪の少女はアリアナだ。

 そう確信した。


「彼女は嫌がっているではないか。」


「貴殿には関係ない。邪魔をするのであれば、排除します。」


 そう言ったルーカスは上着の内側から、黒い物体で掌サイズの物を出してきた。


 一体何だ?

 そう思った時、ルーカスは腕を上に上げ、その黒い物体を上に向けた時に、パンと音が響き渡る。

 そして、こちらにその武器を向けた。


 その時、少女が叫ぶ。

「クロード殿下、気を付けて!これは遠くから攻撃する武器です。細長い部分の先から、小さな鉛の塊が強い威力で出て、人に当たれば命を奪うから!剣では対抗できないから防御魔法を使って!」


 やっぱり少女はアリアナだ。

 私を見る瞳はアリアナそのものだった。

 やっと見つかった…だが、今の状況は最悪だ。


 驚いて、彼女をもう一度よく見ようとした時、バンとまた音が鳴り響く。

 近くに立て掛けてあった桶が粉々に砕け散った。

 彼女が教えてくれた様に、威力の強い武器だった。

 慌てて防御魔法をかける。


 その間に、ヨハネスも駆けつけて来た。

「彼女は魔法力がまだ回復していないそうです。身を守るのは難しいでしょう。今騎士団を向かわせています。ルーカスはアリアナ姫が彼女だと知っている様です。」


 緊急事態だからだろう。さっきまで認めていなかったアリアナの事を伝えてくる。


 魔法力が回復していないだって?

 その言葉に、背筋が冷える。

 アリアナは今は無防備なのか?


 アリアナはルーカスに何か言っていやたが、突然ルーカスがその武器をアリアナの顳顬(こめかみ)に当て、彼女を背後から拘束した。


「彼女の命が惜しければ、剣を捨てて、両腕を上げて下さい。魔法もダメですよ。」


「やめて!クロード殿下と兄を巻き込まないで!」

 アリアナが叫ぶ。

 アリアナが危険に晒されていると思うと、剣を捨てるしかなかった。目の前の地面に投げ捨てる。


「クロード殿下、防御魔法は絶対に解かないでください!彼の武器は遠くからでも攻撃できます!」


 アリアナが叫ぶと、彼の左腕がアリアナの首を締め付けている。


 彼女の顔が苦痛に歪む。


「彼女は連れていきます。貴方達はそこから動かないで下さい。」


「国際問題になってもいいのか?」


「彼女はリナだ。アリアナ嬢ではない。貴殿から守る為の正当防衛だ。」


「アリアナに武器を当てておいて、何を言っている?ここはお前の国ではないぞ。2ヶ国敵に回す事になる。」


「構いませんね。リナが手に入るのであれば。」


 ルーカスはアリアナに武器を当てたまま、後ろに下がっていく。首の縛めは解いていたが、武器はしっかりと彼女に向いている。

 彼の背後には、護衛がしっかりと守っていて、影も手出しが出来ない。


 アリアナは苦しそうな顔をしながらも、何かを一生懸命に訴えている。


 アリアナは会話でルーカスの気を引いているのだろう。手をスカートの中へ忍び込ませている。

 頼むから大人しくしてくれ、アリアナがいない世界など考えたくも無い。

 そう思った時、彼女は短剣を出し、ルーカスに突き付けた。


 大人しくしろ!そう叫びたいのを我慢する。

 背中に冷たい汗か流れる。

 手出しが出来ない自分を歯痒く思い、拳に力が入る。


 二人はまだ知らない言葉でやり取りをしている。


 ルーカスは彼女に短剣を突き付けられても動じていない。アリアナも全く大人しくするつもりはない様だ。


 そんな時、ルーカスが武器をこちらに向けた。


 アリアナの表情が明らかに変わる。

 何かを言い合っていたかと思うと、ルーカスは彼女の短剣を取り上げ、彼女の両手を縛り、馬に乗せたと思った途端、ルーカスも彼女の背後に飛び乗り、駆け出した。


 私達はルーカスの特殊部隊に囲まれたままだ。


 この状況を打破し、アリアナを助けに行かなければ。焦りが怒りに変わる。


「エリック、ここは任せた。私は追う!」


 馬に飛び乗り、前方の土埃を目指し駆け出した。









お読み頂き、ありがとうございました。


ルーカスが暴走しました。

次回はルーカス視点ですが、暴走気味?な主観が入る予定です。

ルーカスの次はクロード視点の今回の続きを予定しています。

あと一息で完結を目指そうと頑張っていますが、なかなか進まず…(−_−;)

最終話を含め、今頑張っていますので、お付き合い頂けますと嬉しいです。

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