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悪役令嬢は婚約破棄を言い出した王子様に決闘を申し込む。  作者: 藤宮サラ
第二章 決闘後

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クロードの焦燥と不安(クロード視点)

ブックマーク、評価、ありがとうございます。

逃げたはずなのに(アリアナ視点)のところから後のクロード視点です。

 魔法具店でアリアナの転移を止めようとしたが、失敗した。転移したアリアナを追いかけようとしたが、エリックに止められた。


 一体何処に転移した?

 周囲にいた王子達も唖然としている。


「エリック!アリアナを探すぞ。」

 そう声をかけて、その場を後にする。


「アリアナが次に行きそうな場所の手掛かりは?」


「魔法具店の本店だな。だがあそこには部下を入れている。アリアナが来たら連絡が入る筈だ。」


「アリアナの事だ。私も王子達も魔法解術をかけていた。とんでもない所に飛ばされている可能性がある。王都の警備隊と国境警備隊、各領地の境界警備隊に連絡を入れろ。」


「既に連絡済みだ。元々警備にはアリアナを逃さないよう、連絡は入れているが、もう一度、確認をしよう。俺は公爵家関連を当たってみる。ついでに周辺国にも問い合わせを入れておくよ。」


「頼む。」


 その日の内に探せる所は全て探した。

 しかし、彼女は見つからなかった。


 次の日、周囲の者や関係者に聞き取り調査をすれば、彼女は魔法具店の何処かに身を隠すつもりだったらしい。


 エリックが調査の書類をバサリと机に置いた。

 彼も溺愛していた妹が何も告げずにいなくなった事で、かなりのダメージを受けた様だ。目の下の隈が酷い。


「調べたら、領地の片隅に魔法具研究所なんてところを作っていた。ここに逃げ込むつもりだったらしい。」


 やはり逃げ込む先は用意してあったのか……

 国内であった事には、安堵したが、彼女が見つからない事実は変わらない。


「アリアナはそこにいたのか?」


「管理人が卒業パーティー後に行くから、準備してほしいと言われていたらしいが、現れなかったそうだ。念の為、管理人と我が家の者を置いている。」


「やはり転移は失敗したのか?」

 思わず眉を顰める。


「そうだろうな。ただ国境警備からも境界警備からも何の連絡も無い。国内にいる可能性は高い筈だ。」


 そうであって欲しいと思う。だが、彼女の行動は想定外になる事が多い。考えられる限りの対策を取っても、彼女は更に上を行く行動を取る。今頃どう過ごしているのか?


「他国の王子達はどうしている?」


 アリアナが逃げ出すとしたら、喜んで手助けをしそうな王子達を思い出す。


「レオンハルトは我が国に留まっている様だ。同じ様に探しているのだろう。イスマエルは一旦国に戻ったらしい。ルーカスも国に戻ると寮を出たらしいが、所在は不明だ。ヨハネスはアリアナが転移した時にはいなかった。卒業パーティーのあの事件直後、国に帰ったそうだ。急用で呼び戻されたらしい。」


「怪しいのは、イスマエルかルーカスか?」


「イスマエルの方は、見張らせていたが、国で内乱が勃発して平定に向かったそうだから、違うだろう。ルーカスは付けていた者が撒かれてしまった。だが彼の国に戻っていないのであれば、探している最中ではないのか?」


「ヨハネスは何故戻った?」


「具体的な内容は不明だ。アリアナの近くにいた王子ではあるが、大人しく、危険度は低いと判断していたからな。現にアリアナが最後に転移した時にいなかったではないか。」


「彼とアリアナが示し合わせている可能性は?」


「アリアナに付けていた護衛からは二人きりでの接触はなかったとの報告を受けている。」


「だが、一人だけアリアナが転移した際にいなかったのだろう?念のため、北の国に潜らせている者に連絡を。それと引き続きアリアナと交流があった王子達の動向を見張る様に。」


 それからも、アリアナの捜索は続けられた。

 対立する貴族の館や関係先なども含めて。

 彼女が囚われている可能性も否定出来なかったからだ。

 かなり強引なやり方だったが、大なり小なり後めたい悪事に手を染めている家ばかりだったので、この際とばかりに、手を入れた。


 しかし一週間経っても、手掛かりさえ掴めない。

 焦燥感に駆られ、夜も満足に眠る事が出来ず、食事も生きていけるだけの最低限になってしまう。

 一体、何処にいるのか、アリアナ。

 毎日そう叫びたくなる。


 毎日、鬱々と過ごしていたが、仕事だけは多量に湧いてくる。今回の事件で貴族の館を調査するための理由として挙げた不正などの後始末だ。


 本来なら、自分でアリアナを探したいのだが、周囲はそれを許さない。


 そんな中、クリストファーの処分が決まった。

 王族から除籍され、子爵位になるらしい。

 王族から臣下に降るにしては、子爵位は厳しい処分だ。


 だが、能力も無く、身分だけを傘にきて横暴な振る舞いをしていた奴には、当然の報いだと思う。

 いや、奴は本気でアリアナを排除しようとしていた。それを考えれば、甘い処分だ。

 アリアナはまだ見つからないというのに。

 直接顔を見れば、怒りに任せて、殺しかねないとエリックから止められている。

 アリアナはそんな事を望んでいないと。

 何の為にアリアナが決闘で済ませはたのか、考えろと。


 クリストファーが入れ込んでいた娘は、修道院に送られることになった。彼女の子爵家はアリアナ誘拐の罪で取り潰しになり、帰る家も無いからと、温情で修道院行きが決まったらしい。だが、女性だけの厳しい生活は彼女にとっては厳しい罰になるだろう。


 クリストファー側に付いていた貴族令息達は、それぞれが取り調べを受けている。本人もしくは家が犯罪に手を染めていなければ、取り敢えず厳重注意らしいが、出世は見込めないだろう。


 アリアナがいない中で、彼等の処分を淡々と行った。


 そんな中、エリックが書類を持って来た。


「お前、酷い顔しているぞ。ちゃんと食って寝ているか?」


「俺の事はどうでも良い。お前も一緒だろう?それよりアリアナの事だ。何かわかったか?」


 ここ最近のいつもの会話だ。そして彼は目を伏せて、進展は無いと答えるのだ。

 そう思っていたが、今日は違った。


 エリックは口角が上がっている。


「今のところ、有力な情報はないが、北の国からの報告だ。ヨハネスが急いで帰国した理由は不明だが、王宮に娘が一人入ったらしい。王が保護し、ヨハネスが面倒を見ているそうだ。時期的にアリアナが姿を消した直後だな。」


「アリアナか!」


「それが、黒髪、琥珀色の瞳で周辺国の者の容貌では無く、歳も幼いらしい。ヨハネスの妹と同じぐらいだろうと言われているそうだ。」


「アリアナが魔法で姿を変えている可能性は?」

 アリアナかもしれないと、一筋の希望の光が見える。


「無いとは言えないが…アリアナは髪の色を変えたり、瞳の色を変える事はよくあるが、姿形を全く別人にした事は無いからな。知っている誰かに容貌を似せる魔法はあるが、かなり難しい。出来たとしても、周辺国に存在しない民族に容貌を似せるよりは、自国の者に似せる方が簡単だ。その方が目立たないだろう?だから、北の国の潜入者も、保護された娘がアリアナの可能性は低いと判断し、連絡しなかったそうだ。見た目は全く違うと。だが、王家が保護するという前代未聞の措置であった事と、お前からの命があったから念のために報告したと。」


 どう思うかと、視線で問われた。

 手掛かりとも言えない様な情報だ。けれど、何の手がかりも無い今は、縋りたい。


「怪しいな。これだけ調べてもアリアナの痕跡が掴めないのは、既に国外へ出ている可能性がある。レオンハルトのところか、イスマエルのところかと思ったのだが、まさかヨハネスの所とは…」


 一番怪しいと思ったのは、レオンハルトだった。

 彼の国にはそれだけの力があるし、他の王子には無い強引さが目立っていたからだ。


 イスマエルも十分怪しかったが、彼の国の国内事情からアリアナに構っている余裕はないだろう。


 ルーカスはアリアナが二人きりでも気安く接していた。男に対して、仲良くはするが一線を引き、親密にはならないアリアナにしては、珍しい対応だった。レオンハルトとは別の意味で怪しかったのだが。


「その二人とルーカスの事は引き続き調べている。ルーカスの消息が掴めない。アリアナと一緒だと厄介だが。アリアナがあの場面で彼の手を取らなかったのだから、彼の元へ向かったとは考えられないな。」


「だが、彼は影の部隊を持っているだろう?アリアナが攫われた可能性は?」


「転移の最中に手出しは出来ないだろう。転移先は我々が調べても不明なのだ。奴が突き止めているとは思えない。」


「そうか。一番有力な手掛かりが北の国か。だったら私が行こう。彼の国には転移ポイントがあったよな?直接その娘と会えば、わかるだろう。アリアナなら動揺するはずだ。」


「そう言うと思った。丁度、北の国との鉱物の取り引きに使節団が訪問する予定がある。お前がその代表になればいい。5日後に会談の予定だから、明後日出発するよう、調整しておく。今日は程々にして、ゆっくり休んでおけよ。」


「お前もだろう?」


「そうだな。その娘かアリアナだと良いな。帰ってきたらお説教だな。」


「ああ。」


 久しぶりに笑った。まだアリアナが見つかった訳ではない。だが、アリアナがここに戻って来る未来を思い描くと、暗く沈んだ気持ちが浮上してくる。


 急ぎの書類を片付け、明後日に向けての準備を始めたのだった。



お読み頂き、ありがとうございました。

次回もクロード視点の予定です。

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