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悪役令嬢は婚約破棄を言い出した王子様に決闘を申し込む。  作者: 藤宮サラ
第二章 決闘後

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北の国のアリアナ(アリアナ視点)

ブックマーク等、ありがとうございます。

女神の森(アリアナ視点)の続きになります。

 ヨハネス殿下に私がアリアナだと、バレている?

 どうしよう…と考えていたら、いつの間にか、北の国の城に着いた。


 まさか山賊さんがヨハネス殿下の父君で北の国の国王陛下だとは、誰も思わないよね。

 しかもヨハネス殿下には、全く似ていないし。


 いや、今考えないといけないのは、この場面をどう乗り切るか。

 ヨハネス殿下には、もう隠せないかもしれない。

 さあ、どうしましょう?


 城の中に入り、取り敢えずご家族にご挨拶と考えていたら、満面の笑顔のヨハネス殿下がそれを制した。


『お疲れでしょう。先にお部屋にご案内させます。必要な物は部屋に揃っているはずですが、足りない物がありましたら、侍女に申し付けてください。』


 流石気遣いの塊というべきなのか、ヨハネス殿下らしいと思う。


『恐れ入ります。ですが、殿下にご迷惑をお掛けする訳には…』


 私が固辞しようとするのを殿下は強引に遮った。


『その件は、後で昼食を取りながらでも、ゆっくり話をしましょう。侍女がお部屋へご案内致します。後ほど私もお迎えに伺いますから。』


『かしこまりました。』


 用意された客間は、二間続きの部屋で、寝室と居間になっていた。

 そこには、本当に必要な物が用意されている。


 部屋に入ると、部屋で待機していた侍女が紅茶を入れてくれた。


『ありがとう。』


『お嬢様、落ち着かれましたら、湯浴みをいたしましょう。お着替えも用意されております。』


 確かに昨日の夜は野宿だったし、地面に倒れていたりと、薄汚れているのだろう。

 そんな中、ヨハネス殿下と馬に一緒に乗ってしまったと、今更ながらに焦ってしまう。

 アリアナであれば、許されない失態よね。

 あーあと頭を抱えたくとも、他国の侍女の前、平静を装って、了承とお礼を言った。


 ゆっくりと湯船に浸かり、髪を洗って貰うと、自分の居る場所を勘違いしてしまいそうだ。


 湯浴みを済ませて、髪を乾かして貰い、ドレスを着させて貰う。薄い桃色で胸の下にに切り替えがある。スカート部分には幾重にも薄い生地が重なり合い、襟ぐりと袖口にはレースが施され、可愛らしいドレスだった。アリアナの姿であれば可愛らしすぎるドレスだったが、リナの姿であれば、可愛らしい女の子の出来上がりだ。可愛い…だけどますます幼く見えてしまう。

 お世話になっている身では、十分過ぎるほど贅沢なドレスで、もしかしたら、マリー様のドレスかも。

 そんな事を考えながら、侍女達に着替えさせて貰った。


 丁度準備が整った時に、ヨハネス殿下がいらっしゃった。


 私に用意された客室の居間でお話をする事になったのだけど…


 ヨハネス殿下は完全にアリアナだと見破っていました。先見の能力って、未来予知?の能力らしい。

 羨ましいチートな能力よね。


 バレているにも関わらず、アリアナではないと言っていた私の方が馬鹿みたい。殿下も可笑しかった事だろう。思わずクスクスと笑ってしまう。


 ヨハネス殿下は自分の能力を信じてもらえないと思ったのだろうか?

『姫こそ、私の先見の能力を疑わないのですね。』

 と、目を丸くして私を見ている。


 この世界に転生して、信じられない事ばかりで、未来予知があっても、不思議ではないと思う私が変なんだろうか?

 転生者の方が信じられないと思うけれど。


 それらしき言い訳を考えてみる。

 私の姿が変わったのは、普通であれば、有り得ない事だ。前世の姿になるなんて、思ってもなかった。

 髪の色や目の色を変える事はあっても、全く別人に化ける事は難しく、私も魔法で成功した事はない。


 今回は転移した先が女神の森だったから、転生と同じように、神様や女神様の力じゃないかと思っている。

 グルグル回っていた時に、梨奈の人生も見えたから、梨奈の姿になったのではないかな。


 この姿からアリアナに戻る事が出来るかどうかは、自信がないけれど、身を隠すつもりだったから、梨奈の姿でもいいかと思っていたのよね。バレなければ。


 現実逃避している場合じゃなかったと、片手を頬に当てて、首を少し傾げる。


『それは、わたくし自身が信じられない体験をいたしましたから。わたくしのこの姿は意図して変えたのではないのです。転移魔法が失敗して、飛ばされた際、気付けばこの姿に変わっていたのです。自分では変化の魔法を使った覚えはありませんし、そんな余裕はございませんでしたのに。女神の森だからでしょうか?』


 こんな言い訳でいいのかしら?

 ヨハネス殿下を直視出来なくて、下を向いてしまう。


『わたくしもこの姿に驚いたのです。』

 反応が怖くて、私はそっと呟いた。

 驚いたけれど、馴染みのある顔だったから、あまり気にはならなかったけれど…そこは心に留めて置いた。


 すると、ヨハネス殿下は私の今の姿を不憫に思ったのだろう。一生懸命に慰めてくれる。

 確かにアリアナに比べれば、梨奈の姿は平凡だけど…

 愛らしいと言われても実感湧かないし。

 見破られると困るとは伝えたけれど、仕草で見破られるなどは、ありえないと思う。

 

 梨奈の姿になったせいか、性格まで梨奈寄りになってしまう。気を付けて、アリアナらしい会話を心がけなければと、気合を入れる。


『姫、ファーガソン公爵家へ連絡を入れておきましょうか?』


 真面目なヨハネス殿下は、私を保護したと連絡するつもりだったらしい。危ない。止めなければ。


『公爵家への連絡は不要です。わたくしは今リナですわ。』


 彼は疑わしそうに私を見る。


『本当に公爵家への連絡は不要ですか?』


 だって、この姿でアリアナだと言われても信じられないだろうし、たとえ公爵家に戻ったとしても、あんな事をしでかした娘など、人前には出せないだろう。

 それに今の私は、魔法力がかなり減っている。

 魔法を使い姿を戻す事は難しい。

 そもそも魔法で戻せるのかもわからないけれど。

 自分で魔法をかけたわけではないから、やってみないとわからないし。


 そんな理由を伝え、連絡は不要と念を押した。


 すると、ヨハネス殿下は苦笑いを浮かべる。


『ですが、フランベール国から我が国へアリアナ嬢を探して保護して欲しいとの依頼がありました。仕事が早いですよね。姫が失踪されたのは昨日だと伺ったのですが。』


 早い!兄かしら?

 今頃怒っているのだろうなぁ。

 でも今はこの姿だ。アリアナだとはわからない。

 連絡は必要ないと伝えて、兄に注意だけして欲しいとお願いした。


 兄ならば、私が見つからない中で、ヨハネス殿下が保護した娘がいると聞けば、興味を示すだろう。

 実際に見て、諦めてくれればいいけれど、会話すればボロが出るかもしれない。


 ヨハネス殿下は私の事情を薄々察してくれていた様で、私の素性は両陛下にしか明かしていないと教えてくれた。


 ついでに、身を隠すのであれば、市井の方がいいとお願いしてみたけれど、それは却下された。

 元々一般市民として生きるつもりだった。国が変わっても取り敢えず言葉は話せるし、なんとかなると思っていたのに。


 迷惑をかけるわけにはいかないと言うと、ヨハネス殿下は微笑みながらも探る様な眼差しを向けてきた。


『ご心配には及びません。姫がお戻りになりたいのであれば別ですが、我が国は姫を歓迎いたします。ずっといてくださって構いません。それとも何処かへ行く予定、もしくはどなたかとお約束をされているのですか?』


 う〜ん。研究所を管理人には行くと伝えていたけれど。今となっては難しいし。

 特に予定はない事を伝えて、自分で家を用意していてそこに行くつもりだったのだけど、転移魔法が失敗してとんでもない所に出てしまったと、説明しておく。

 本当に。転移魔法、もっと練習しておくべきだった。今回は幸いヨハネス殿下のお父様に保護されたから、良かったけれど、本当の山賊だったら今頃どうなっていた事か。考えただけで恐ろしいよね。


 そんな事を考えていたら、ヨハネス殿下が嬉しそうに微笑んだ。


『安心しました。リナと仰られていたので、ルーカス殿とお約束でもされているのかと。』


 何故、ルーカス殿下の名前?

 私は首を捻る。

 ああ、アカデミーでリナと呼んでいたのは、ルーカス殿下だけだったから?

 私はこの姿になって、前世の名前の方が馴染みやすいと思って、リナと名乗っていたのだけど、ヨハネス殿下は気を回していたらしい。

 そういえば、この姿、ルーカス殿下はわかるんだ。

 北の国だから、会う事は無いと思うけれど、万一見つかった時には、大変かも。


『リナはわたくしの昔の呼び名ですわ。ああ、でもルーカス殿下はわたくしの今の姿をご存知です。彼と約束などしておりませんが、わたくしがこの国に滞在していると知られると、何かと問題になりそうですね。』


 そう言えば、ヨハネス殿下は張り付いた微笑みを浮かべている。私何か失礼な事を言ったかしら?


 すると、今までの声色より一段低い声が聞こえてくる。

『何故、ルーカス殿が姫の今の姿を知っているのですか?』


 ああ、この姿をルーカス殿下が知っている事を不審に思ったんだ。

 まさか前世の知り合いでしたとは言えないし。


『以前この姿でルーカス殿下とお会いした事があるので。これ以上詳しくは申し上げられませんが。』


 苦し紛れの言い訳だけど、これで許してほしい。

 そう思って、目を伏せた。


『そうですか。でしたら、ルーカス殿下とフランベール国の動向は注意しておきましょう。ですので、姫には好きなだけゆっくりなさってください。父も喜びます。』


 ヨハネス殿下も私の回答には満足はしていないのだろうけれど、それ以上の追求が無かったのには、ホッとしてしまった。


 ヨハネス殿下から父という言葉を聞いて、そう言えばと、冷や汗が出てくる。

 最初は山賊、次が狩人だと思って、対応してしまい、失礼だったよね。


『そう言えば、陛下とは存じ上げず、わたくし、ご挨拶もしておりません。どういたしましょう?』


『山賊だと思われたのではないですか?父はあの見かけと一緒で細かい事は気にしません。両親には晩餐の際にご紹介致します。』


 まさか、殿下から山賊という言葉が出てくるとは思わなかったけれど、陛下も殿下も気を悪くしている様子が無いので、安心した。


『ふふふ…とても頼もしい頭でしたわ。』


『さあ、難しい話はこれくらいにして、食事にしましょう。お口に合えば宜しいのですが。』


 そう言って、食事を用意してくれた。




 サーモンや卵のサンドイッチで、二人きりで気軽にゆっくり食べることが出来る様にという気遣いが嬉しい。シンプルな料理だけど、素材の味が生かされていて、前世で食べた料理を思い出す。


 サーモンがあれば、イクラもあるのかな?他の魚はあるのかしら?

 この国の素材を生かして、新しい料理を作ったりとか、保存できるよう工夫して、輸出したりとか…

 つい、貿易の事を考えてしまう。


 そんな事を考えながら、食べていると、ついつい手が伸びてしまった。


 食べ過ぎだと呆れられたかもしれない。けれど緩む頬は止められない。


 食べ終わると、お茶を楽しみながら、ヨハネス殿下に他にどんな食べ物があるのかや、特産品について、色々と質問してしまったのだけど、ヨハネス殿下は、丁寧に答えてくれた。


 話が一区切りした時に、ヨハネス殿下がニコリと笑う。


『姫、我が国で働いてみませんか?』


 えっ?

 私は目を丸くした。とても魅力的なお誘いだった。

 働かざる者食うべからずとも言うし、お世話になっている間は、役に立つ事は嬉しい。

 喜んで承諾したのだった。


お読み頂き、ありがとうございました。

次回はクロード視点の予定です。



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