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悪役令嬢は婚約破棄を言い出した王子様に決闘を申し込む。  作者: 藤宮サラ
第二章 決闘後

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逃げたはずなのに(アリアナ視点)

ブックマーク、感想等、ありがとうございます。

遅くなりましたが、決闘後になります。

 慌ててバスルームに立て篭もった私は、とりあえず、ドアと鍵に強化魔法をかける。

 空間防御魔法も念のためかけた。

 でも、外にいる3人は平気で入ってこれるから、意味ないかも。急いで次の手を考えないと。


 でも早かったわ。まるで私がここに行くとわかっていたみたいに。

 転移魔法での追跡は難しいはず。とすれば、ここに私が移動するとわかっていた?


 いや、今はそんな事より、逃げ出す方法を考えないと。


 普通に逃げ出すには、窓がある。幸い格子も付いていないから、外に出ようと思えば出れる。

 ここは3階だけど、風魔法を上手に使えば、簡単に着地できるはず。

 でも、降りた後にどうしようかと考えると、魔法力が強い3人だから、見つかれば、あっという間に捕まる未来しか見えない。


 取り敢えず、2階の執務室に行きたい。それから本店か研究所に転移できればいい。

 本店なら、田舎に作った魔法具研究所までの転移ポイントがある。本当は、ここに作る予定だったけれど予定外の軟禁生活が入ってしまい、ここまで手が回らなかったのよね。


 魔法具研究所は、私の隠れ家としているので、目立たない様に、魔法具店とは別の人物が設立している事になっている。


 研究所はここから距離があるから、転移ポイント無しでは、私には難しいし、ここには研究所までの転移ポイントは作っていないし。


 転移魔法は私にとって苦手な魔法だった。かなりの確率で、ポイントがずれてしまう。練習不足だと言われるが、その方面には才能がなかったのよね。

 幼い頃から、とんでもない所に辿り着いてしまう。

 仕方ないので、良くいく場所には、目印として転移ポイントを作って移動していたんだけど。


 ああ、何でここにも転移ポイントを作って置かなかったのかと今更ながらに後悔してしまう。

 あの時は、勘の鋭い兄達にバレたらマズいとギリギリで作ろうと考えたのだけど、そもそも、ここに私が最初に転移すると思われていると気付くべきだった。


 兄がお前はどこか抜けているんだと、いつも言っていたけれど。


 捕まってしまうと、お説教で済めばいいけれど、また軟禁生活に逆戻りかも。いや、それで済めばいい方だよね。きっと。


 陛下に罪に問わないと言質は取ったし、一応謝罪の手紙を送ったけれど、私の処分はどうなるかは、わからない。

 あのクリストファー殿下が黙ってはいないわよね。反省してくれたらいいとは思うけど、今までの行動をみれば、有り得ない。


 アリアナとしての評判は地に落ちただろうし。

 父も兄もきっと怒り狂っている…


 良くて修道院行き?それは嫌だな。

 悪ければ処刑?いや、それは流石に無いかな。

 国外追放だったら、喜んで出て行くけれど。


 ブルブルと体が震える。

 ゲームと同じストーリーでは無い。今まで違う展開だったし。

 だけど、わかっていても不安になる。


 不安な気持ちに蓋をして、とにかく逃げないとと、気持ちを奮い立たせる。


 どうやって逃げるかな?


 あの兄とクロード殿下の裏をかくのは、かなり難しいけど、捕まるわけにはいかない。


 優秀で冷静沈着なクロード殿下に捕まれば、どんな罰が待っているか。

 無理無理!絶対回避ですね。はい。私も流石に学習しました。


 ほんの数分考えにふけっていたら、バスルームドアをドンドンと叩く音で、現状に戻される。


「アリアナ!開けろ!悪い様にはしないから、とりあえず出てこい!クロードも味方してくれるから、何も心配ない。だから出てこい!出てこないと扉を壊すぞ。」

 と、兄が叫ぶ声がする。


 兄様、レディがバスルームに入っている所をドンドン叩くんじゃない!

 しかも脅すなんて、怖くて出ていけない。

 クロード殿下が味方って、めちゃくちゃ怖いんですけど。味方であっても罰からは逃れられるわけでは無い。


 そう言えば、さっき、クロード殿下から結婚を申し込まれたんだっけ?

 クリストファー殿下に気を取られ、すっかり忘れていました。


 責任取って、結婚してもらうなど、申し訳なさすぎます。クロード殿下には、想う方がいらっしゃるのに。私がいると、殿下の恋路を邪魔してしまう。


 クリストファー殿下との婚約が無くなれば、陛下はクロード殿下に私を押し付けるだろうと思っていた。

だから、それを回避する為に、クリストファー殿下に決闘を申し込み、喧嘩両成敗で済まそうと思ったのに。


 何とか逃げないと。

 私の我儘に、クロード殿下を巻き込む訳にはいかない。


 冷静で厳しいクロード殿下だけど、何よりも国と民を大切に考えている。彼なら王として、立派に国を導いてくれると信じている。

 こんな事をしでかした私は、側で支える事はできないけれど、市井に降りても、国を発展させる為の手伝いは出来ると思う。


 兄は性懲りもなく、ドアをバンバンと叩いている。

 うー。ドアが強化魔法かけても壊れそう

 兄様、腕力強化魔法使ってる?


「ファーガソン殿、アリアには逆効果じゃないか?」

 レオン様の声がする。

 レオン様までいるなんて、私詰んでしまった?


「もう一度転移魔法を使うか。」

 とクロード殿下。


 それが一番困る。


 私も転移魔法使いたいけれど、さっきから魔法力かなり使ったので、正確さに自信がない。


 でも、ドアの向こうの三人は常に正確に転移魔法を使える。

 隣の部屋から移動するなんて、他愛も無い事だろう。


 取り敢えず、執務室に転移するぐらいなら、何とかなるかしら?そこにマントと確か街娘様の着替え一式が入った鞄を置いていた。

 今のままの格好は、どこに行くにしても、マズい。

 パーティー用の真紅のドレスに、アクセサリーまで豪華だ。念のための短剣と換金の為のアクセサリーは身に付けている。

 着替えてから、移動しようと思っていたけれど、その隙は無さそう。


 取り敢えず、執務室に転移しよう。

 そう決心して、ピアスを外す。

 ちょっと残念だけど…

 ピアスには位置を把握するための魔法具は付いている。多分?

 あの過保護な兄達から、必ずつける様に言われたのだから、間違いないわよね。

 だから、ここに置いていかないといけない。


 取り敢えず、執務室に転移しよう。

 そう思った時に、もう一人の声が聞こえた。


「アリアナ様に、何か御用でございますか?失礼ですが、紳士の皆様が、まさか、女性のお部屋に押し入り、バスルームの扉を叩くなど、なさる訳はありませんよね。」


 魔法具店の店長セオドールの声だった。

 今度のお給料弾むわよ、だから頑張って!と心で応援し、彼等が店長に気を取られている間に、執務室に転移する。


 執務室にあった着替え入りの鞄に、慌てて当座に必要な物を詰め、隠しポケットに路銀と予備で置いていたアクセサリーを忍ばせた。

 マントを羽織り、さあ移動しようと思い、転移魔法を唱えようとしたその時、「アリア」と声が聞こえた。


 恐る恐る振り向くと、イスマエル殿下が部屋に立っていた。

 いつの間に!


 彼が一歩一歩と近付いて来る。


 窓を見て、逃げ道を探したが、開け放たれた窓からルーカス殿下が入って来ている。


 前門の虎、後門の狼って、こんな時の事?


 ここで足留めされると、話が更にややこしくなる。

 私は逃げるが勝ちだと、慌てて転移魔法の呪文を唱えた。


 唱えている最中に、クロード殿下、兄、レオンハルト殿下も執務室へ入って来てしまう。


 状況を見た彼等は、それぞれ私を捕らえる為の魔法を発動させる。

 だけど、私の転移が一歩早かった。

 早かったのだけど、魔法力の高い彼等の魔法は私の転移魔法に干渉してきた。


 ……結果、ただでさえ、苦手だった転移魔法の軌道が大幅にズレてしまう。


 暗い空間の中をグルグル回って、魔法酔いしそう。


 誰かが手を差し伸べてくれた気がしたんだけど、私の手は空を切り、体は暗い空間の奥底に吸い込まれていった。


 普段の転移では無い事だけど、この感覚は経験したことがある。

 そう、これは前世が終わる時だった。


 ああ、この人生もここで終わりなのかな。


 そう思った瞬間、虹色の光が暗闇の中に差し込み、私の体が宙に舞う。


 そんな中、前世と今世の今までの出来事が走馬灯のように頭の中を流れていく。


 前世も親しい人にお別れを言えなかったのに、今回も言えなかったなぁ。逃げるつもりだったけれど、もう会えないと思ったら、最後ぐらいはお礼を言っておくべきだったと後悔した。


 届くはずはないけれど、気持ちは届いて欲しい。


 私の事を大事にしてくれた兄様、今までありがとう。兄様がいてくれたから、前世を思い出しても、私らしく生きていく事ができました。


 クロード殿下も妹同然に可愛がってくださり、ありがとうございました。殿下の想う方と結ばれる事をお祈りいたします。


 クリストファー殿下は心入れ替えてくれるかな。


 レオンハルト殿下やイスマエル殿下、ヨハネス殿下は心配ないよね。


 エリスは幸せになってね。


 ルーカス殿下は大丈夫だろうか?

 佐伯くんの記憶から解放されて、新しい人生を歩む事ができますように。何も言わずに旅立つ事になってごめんなさい。と、彼に届くはずも無いけれど、彼が苦しまない様にと願う。


 アカデミーの皆も仲良くしてくれて、ありがとう。


 転生した人生は一度目より短かったけれど、楽しかった。


 そんな事を思いながら、光の中を漂っていく。

 すると急に暗闇が広がって、吸い込まれるように落ちていった。


 多分、あっという間の事だろう。

 だけど私にはとても長い時間だった。


 防御魔法をかけてみたが、この空間では効かなかった。


 ドサリと体が地面に叩き付けられる感覚を最後に、私は意識を手放した。



お読み頂き、ありがとうございました。

とうとう100話目になりました。

皆様のおかげで続ける事ができました。

ありがとうございます。

怪我も順調に回復しています。一部の爪が無くなったので、全快までは暫くかかりそうですが、随分楽になりました。

あと少しだけ、その後を書きたいと思っています。

お付き合い頂けますと嬉しいです。

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