宿探し
「くそう!魔獣の数が多すぎる!」
「『瞬間建設!』これ思ったよりも攻撃に使えるわね…」
「うーわ…えげつねぇ…」
現在、アイロア達はヨミロデウスの森にいる大量の魔獣に道を阻まれていた。自分達の力を試すためになるべく倒そうと思っていたのだが、少し倒した途端にその魔獣が群れで襲ってきたのだ。
そしてそれをミーシャが『瞬間建設』で群れのいる場所に壁を創ろうとしたら、魔獣を巻き込みながら壁が建設されたので攻撃手段としても使えると学んだところだった。
「あー、もー!『光刃』!『闇玉』!『水ノ奇跡』!よし、だいぶ減った」
アイロアも、ジジイの剣を使うのをやめて魔法攻撃に切り替えることで効率を上げる。しばらくすると、魔獣を全て倒し終えた。
「やっと倒し終わったか…早くいかないと森で一夜過ごすことになる。急ごう」
「そうだね」
そうして2人で歩くこと数分。ミーシャはある提案をした。
「ねえ、アイロアの『光走』で早く人間の国に行って、宿とか取っておいてくれない?私はゆっくり行くから」
「それを聞いて思いついたいい案があるぜ」
そう言ってアイロアはミーシャをヒョイと抱き上げた。
「ふぇっ!?」
ミーシャが赤面しながら戸惑う。
「しっかり捕まってろよ」
「えっ!?あっ!ちょっと待っ…」
「『光走』!」
アイロアはミーシャを抱えながら光の速さで走る。そして
「ぐえっ」
「え?何してるの」
木にぶつかった。どうやら練習が必要な技みたいだ。
「慣れないことしないで、やっぱりゆっくり行こうよ」
「慣れないなら練習あるのみ!『光走』!」
「ひょぇぇぇぇぇぇぇぇえ」
その後も走る、ぶつかる、また走る、を繰り返した2人は、やっとの思いで人間の国についた。
「やっとついたわね」
「体ボロボロ」
「それは自業自得でしょうに」
ミーシャのスキル「インビジブル」を使って門番の目をかいくぐり、人間の国に入った。
「どうにか無事に入れたわね」
「そうだね。えーと、ソフィの資料によるとここは『スラエム王国』と言う国で、封印されてる幹部は銃女神の2つ名をもつ『マディヨン=クルーリー』か。マディヨンの情報を集めるのは後にして今は宿を探そうか?」
「そうね。賛成よ」
ちょうどその時、ナイスタイミングな声が掛けられた。
「やっほー。そこのお2人さん。ウチの宿で泊まっていかない?サービスしちゃうよ?」
看板を持った少女が2人に声をかける。少女はクーニラと同じくらいなので、ソフィがいたら歓喜するだろう、とか考えてたアイロアはミーシャの言葉にはっと我に返る。
「丁度いいじゃない。ココにしない?」
「え?ああ、いいんじゃないの」
「え!?」
なぜか2人に声をかけた少女が驚く。
「え、ここで本当にいいんですか?ここはボロだし、小さいし、正直もっといい宿他にたくさんありますよ?」
「いや、ボロさとか大きさとかそんなに気にしてないので大丈夫です。お願いできますか?」
「はあ、はい。あ、一部屋でよろしいですか?」
少女がニヤニヤしながら聞いてくる。200年間眠っている間に培われた知識の中に、そういった行為のこともあったので、ミーシャが赤面しながら返す。
「え!?ちょ、ちちち、ちがいますよ!この人とは、そういった関係ではないです!もちろん、二部屋で!」
自分でも驚くミーシャの恥ずかしっぷりに、さも愉快といった風に少女は笑う。
「くしし、これはからかい甲斐がありそうなお客さんだ。私はライカ=ジツツ。ライカって呼んでね」
「俺はアイロア。こっちは幼馴染のミーシャだ。よろしくな」
「へえ、お2人は幼馴染なんですか。それはイイ仲ですねぇ。ミーシャさん?」
「…ッ!だから!そんなんじゃありませんってば!」
ミーシャの叫び声が街中に響いた。
「おお、ライカ。久しぶりのお客さんかな?」
「そうだよ、父さん。カップル一組、ご来店でーす」
「だ、だから!違うって」
「くしし、もうっかわいいなぁミーシャちゃん」
「もうっ!ライカったら!」
「よーし!それじゃあ、ここはカップル割として3割引きだー!」
「おおー父さん、太っ腹!」
「カッ、カップルじゃありませんからー!」
何度もからかうライカ親子と何度もからかわれるミーシャを見ながら、いつの間にか出てきたライカの母親とアイロアはため息をついた。
遅れた上に短くて本当にすみません。