マディヨン=クルーリーの後悔
章初めは毎回こんな感じで、魔王軍幹部達のトラウマや過去などを自分が語るように書いていこうと思います。
――私は何人、この銃で撃ち抜いてきたのだろう。人の頭を、人の胸を、足を、手を、首を。人間との和解を求めた魔王様のもとについたのに、魔王様が人間に平和条約を結ぶことを促すも、それをことあるごとに拒否し、勇者とやらを送り込んでくる。
平和条約に参加しようとしない人間のせいで人間を殺すことになっているのは理解している。理解しているが、やはり頭だけでは納得しきれない部分もある。
勇者が送り込まれる度に相棒の引き金を引く。そして撃ち殺したあとの、拷問中に手足を撃ち抜いたあとの罪悪感といったら嫌いという一言では済まされない位に不快だ。
銃女神なんて2つ名、いらない。嬉しくもなんともない。私が欲しいのは悪魔と人間が仲良く暮らせる世界だ。
いつまでも変われないのだろうか。人間は、悪魔は、人間と悪魔の関係は。
そんなある時だった。
「ラーラルの未来予知によって今度、人間との戦争があるらしい。そこで俺達は負けようと思う。これは敗北ではない。人間と悪魔のよりよい関係への第一歩だ。」
魔王様が戦争前の敗北宣言。これに敗北し、我々自ら氷漬けになれば、200年後にアイロアという少年とミーシャという少女が助けに来るという。
いざ氷漬けになってみると、意外にも意識があった。氷漬けになっているのだから、当然暇という一文字で埋め尽くされる。
私はこれは私自身への罰だと思っている。人間は悪魔を滅ぼそうとしているが、あれだって自らの平和を願ってのこと。その願いへ向かって一直線に走っていく勇者達を、私は何度も殺めた。当然の罰である。
もしもだ。もし今までのことをやり直せるのなら、この氷から解かれるのならば、
―――もう、誰の命も奪いたくない。―――