親との対面1
毎日投稿意外に疲れますね
「はぁ…緊張する…」
200年ぶりに家の前に立ったアイロアが呟く。アイロアだけではなく、もちろんミーシャも今、自宅に戻っていた。アイロアが開けるか開けまいかとしどろもどろになっていると後ろから声がかかった。
「あの、さっきからうちの前にいるけど、なにか御用ですか?」
アイロアは聞き覚えのある声がしたので後ろを振り返ってみると、そこには大量の薪を抱えた見覚えのない少女が立っていた。先程この少女が言った「うち」とは、まさにアイロアの家のことだったので、一瞬の間をおいてからアイロアは少女に聞いた。
「え〜と、キミ、名前は?」
「知らない人に名前教えちゃいけませんってママが」
そう言った少女に対してアイロアがものすごく困っていると、家の扉が開いた。そしてアイロアの目に200年ぶりの父、「ハルライト=テスラー」の顔が写った。
「遅いと思って家に出てみたら、誰と話しているんだい?クーニラ。……ん?」
そしてアイロアとハルライトの目が合い、ハルライトはしばらく呆然としたあと、
「もしかして、ア、アイロアか?アイロアなのか?」
「そうだよ。父さん。ただい…」
「ただいま」と言い終わる前にハルライトは家の中にドタドタと入っていき、すぐにアイロアの母、「サンローズ=テスラー」が現れた。
「本当だわ…その目、アイロアなのね。」
「そうだよ。ただいま、父さん、母さん」
アイロアの種族は赤緑族と言う、体のどこかしらが赤く、また緑の部分もあるといった種族だった。アイロアの場合は、右目が赤く、左目が緑なのである。この赤と緑の部分はそうそう被ることはないので、個人の識別には大変むいていたため、すぐに両親はアイロアだとわかったのである。
「…ねえ、さっきからイイ雰囲気って感じのところ水指すようです悪いんだけど、パパ!ママ!アイロアって誰!?父さん、母さんってどういうこと!?」
先程から放置されていたクーニラがキレる。そこで我に返った3人。アイロアも事態の説明を要求すると、自宅に入るように促されたので200年ぶりの自宅に上がった。
☆ ☆
一方その頃、ミーシャは
「はぁ…緊張する…」
と、幼馴染と全く同じことを言っていた。だが、その後ミーシャはすぐに家のチャイムを鳴らした。ここがアイロアと違う点である。すぐに家から出てきた「ミレイン=ケセラン」はミーシャに問う。
「どちら様でしょうか」
ミーシャには、アイロアのような自分の事を証明できるものがなかったため、両親が信じるかどうかは五分五分といったところだった。そのミーシャが取った行動は
「ミレイン=ケセラン…ですよね?」
「ええ、そうよ。それがなにか?」
「あの、信じられないかもしれませんが、私は…あなたの娘のミーシャ=ケセランなんでしゅ!」
突撃だった。しかも噛んだ。しかし、ミレインはそんなことは全く気にせず、
「ミーシャ!?そんなはずないでしょう!あの子は、あの子は200年前の戦争で殺されたんです!憎い人間共によって!あなたがミーシャだと言うなら、あなたの父と姉の名前を、言ってご覧なさい!」
「父はラック=ケセラン、姉はシュッツ=ケセラン。ねぇお母さん!信じてよ!」
「いいえ、まだ信じられないわ!家族の名前なんて調べればいくらでも出てくるもの!」
そう言い争っているところに1人、割り込んでくる者がいた。
「ねぇちょっとお母さん、さっきからうるさいんだけ…ど…」
ミーシャの姉、シュッツはどうやら気がついたようだ。
「…ミーシャ?ミーシャだよね!?」
「シュッツ⁉あなたこの子のことを本当にミーシャだと思っているの!?」
「そう思うわよ!ねぇ、ミーシャなんでしょ?」
「そうだよ!信じてくれたの?シュッツ姉さん」
「ええ、私はあなたの姉よ?目と髪色でわかるわ。」
どうやらこのことが決定打だったようで、ミレインも
「本当に、ミーシャなのね?」
と、認めてくれた。
「そうだよ。200年ぶりだね。ただいま、お母さん、シュッツ姉さん」
☆ ☆
所変わってアイロア宅。アイロアは家族に全てを話した。200年間眠りながらソフィに守られ、成長したこと。これから魔王軍の幹部達を助けに行くこと。もう戻らないかもしれないこと。この全てを。それについての家族の反応は意外にも、
「そうか。頑張れよ」
という激励だった。アイロアは否定されると思っていたが、予想が大きく外れたのは嬉しい誤算だ。何でも、200歳の悪魔はもう親離れ寸前の年らしい。だから両親はアイロアの旅立ちを否定しなかった。
その話が一時的に済んだ時、アイロアは先程ハルライトがクーニラについて聞いたところ、アイロアが寝ている間にできた妹らしい。でも、2人とも実感がなかったので酷くソワソワしていた。と、その時家のチャイムが鳴った。サンローズが扉を開けると、ソフィが立っていた。だが、
「どちら様ですの?」
当然、サンローズがアーティファクトのソフィを知るはずがなかった。ハルライトも。そこでアイロアが説明する。
「この人はさっき話したソフィティア=フランセスカ様のアーティファクトで…」
ズザザァッと音がしたかと思うと、ハルライトとサンローズがDOGEZAしていた。無理もない。いくらアーティファクトとはいえ、もともと自分等を支配していた主の側近なのだから。そしてアイロアは気づいた。ソフィが持っていた剣と杖を置いてあったが、ソフィがいなかったのだ。探そうとすると、居間からけたたましい悲鳴が聞こえてきた。
ハルライトとサンローズはDOGEZAしていてすぐには動けなさそうだったため、アイロアが居間に行ってみると、失神寸前のクーニラと、そのクーニラにデレデレ顔で抱きついているソフィの姿があった。
「ちょっ!?何してんですかソフィさん!?」
「ふへへへへ、カワイイ幼女がいたもので、ぐへへへへ」
その時アイロアはソフィの評価が驚くほど下がった。
(無表情で何考えてるのかわかんないのにロリコンだったのかよ…)
ソフィの設定がロリコンって知ってました?