第二十九話 魔王会議
すいません。
本編一か月ぶりなのに、ものすごく短くなってしまいました。
ここは、存在しないといえば存在せず、存在するといえば存在する場所。
ここは、ルーミたちがいる同じ世界ではあるが、同じ『位相』ではない。
ここは、説明することのできない、黒の『位相』。
そんな『位相』に、今にも消えてしまいそうな頼りない光が一つ。
その光を中心として、騒がしい声が聞こえていた。
「よーしっ!今回も!努力してっつーかオレが運んで、ここに来てもらった!!さあ!『魔王会議』を始めるとすっか!!」
「え~、おいちゃん、めんどくさいから寝てていい?」
「ハッハッハッ!まあ、そう固いこというんじゃないぜよ。どうせ集まったんだし!めいいっぱい楽しもうぜよ!!」
「おっ!じゃあ、かーりーとしょうぶしよう!」
「貴女が闘ったら、この空間すら破壊しそうだからやめときなさいな。」
「そうじゃぞ、カーリー。妾たち〝魔王〟が闘っても壊れないこの空間でも、お主が闘ったら超壊れてしまうかもしれんからのう。」
「にしても、これで全員なのか!!?皆ちょっと、努力がたりねえんじゃねえのか!?」
「そうなんじゃないの~。おいちゃん、ここに来るのめんどくさかったけど。」
「スロウス。お主がいるのは超珍しいのう。」
「そうぜよ、そうぜよ。滅多に参加しないスロウス殿がいるとは。」
「えー、かーりーとしょうぶしないのか?」
「というか貴方達、そろそろ話し合いましょうよ・・・。」
「おお!そうだったな!それじゃあ、全力で話し合いすっか!!」
「で、何話すの?おいちゃんもう帰りたいんだけど~。」
「!!?」
「?どうしたの、フィスィノシアさん?」
「・・・森が、超・超・超危ない。」
「どうしたんぜよ!!?」
「〝九罪王〟が・・・超攻めて来おった。」
これで話は終わり。
〝九罪王〟。
〝魔王〟の敵対者である者達の総称。
一瞬で、その『位相」には誰もいなくなった。
彼らは、散り散りに分かれていき、それぞれの目標を完遂する。
世界のどこかで、誰かが言った。
「遂に動いたか、遅すぎるぞプライド。俺様のために精々働けよ、〝九罪王〟。」
その声は、傲慢、暴食、嫉妬、怠惰、強欲、色欲、怠惰、虚構、憂鬱。
それら全てが、今はもうない男の、言葉だった。
世界は変わる。
平穏な時代は幕を閉じ、新たな時代の扉が開く。
誰が生き残るか。
それだけが重要な世界となる。
ルーミ達三兄妹は、その激動の時代に飲み込まれていく。
ルーミは一人、森の中を疾走していた。
時折、爆音などが聞こえるが、今の彼にかまっている暇はない。
彼が救いたいと思うのは、二人。
アンナベラとユーズ。
しかし、彼は一人。
今のところ、どちらが危険なのかといえば、〝魔王〟と出会っているというユーズである。
だから。
ルーミだけは、ユーズのいる場所へ向かった。
彼は、自分の考えられる中で最も全員が助かる方法を選んだ。
その『全員』の中に、自分自身は入っていない。
ルーミは目撃した。
森の中の、ひときは開けた場所で、楽しそうに笑っているユーズと。
異様な気配を放つ、目つきの悪い金髪の少年。
恐らくは、〝魔王〟。
出会った瞬間、理解させられる〝格〟の違い。
それはまるで、エンヴィーと出会った時のような感じだった。
戦うのは危険だ。
本能から、そう警告されている。
ユーズに近づくということは、その傍らにいる〝魔王〟に近づくということだ。
死の危険すらある。
それでも、ルーミは重い一歩を踏み出していく。
一歩一歩踏み込むごとに、身体が重くなっていくのを感じた。
近づくにつれて、時が経つのが遅くなっていく感覚がする。
すぐに踵を返して、逃げ出してしまいたいという気持ちにかられる。
そして、今刀を抜いたら〝魔王〟の首を跳ね飛ばせるのではないかと思えるぐらいの距離になったとき、ルーミは全身に冷や汗をかきながらも、笑って言った。
「ユーズ、大丈夫か?」
しかし、ユーズは〝魔王〟から離れるどころか、動きもしなかった。しかも、実の兄であるルーミに怯えているようだった。
そして、ユーズの口から出てきた言葉は、予想も、理解もできないのような一言だった。
「・・・お兄ちゃん、誰?」
お読みいただきありがとうございました。
キリをよくしたら短くなってしまいました。




