第二十八話 アンの闘い
超不定期思いつき企画~!◯◯って実はこんなヤツ~!
はい!今回から始めていきます『◯◯って実はこんなヤツ~!』
え~、こちらの企画は、登場キャラの性格や日常風景、設定としてはあるけど本編では使わないかもしれないマル秘話などを紹介する企画です!
例として、第一回目は!
『作者って実はこんなヤツ~!』
この企画考えて書いてるの徹夜明けの朝八時。
みたいなことを登場キャラでやっていきます。
最後に、今回の話は作者的に最高の出来栄えなのでよろしければ高評価、ブックマークお願いしまーす!(ユーチューバー風)
「な、にが、起こった、の?」
一瞬だった。
気が付くとアンの身体は木に叩きつけられていた。
〝血鬼将〟ヘイグ。
そう名乗った男が右腕を振った。
それだけで。
「ヒャヒャヒャヒャ!オイオイィ~。マダマダくたばるンじャネェぞ、メスガキィィィ~。」
ぞわぞわ、と。
アンの身体を這いまわるように嫌悪感が駆け回った。
ヘイグの腕が動いた。
しかし、それより速くアンが杖を振り、無詠唱で魔法を行使して飛びあがる。
バキバキと木の枝を折りながら、月明かりの眩しい夜空へと。
アンの眼下では、先程まで背後にあった木がなぎ倒されていた。
(アレは魔法?それともスキル?・・・いや、そんなことどうでもいい。とにかくアイツが何をしているかを・・・。)
「オイオイィ~!吸血鬼のオレサマから逃げてンじゃネェぞォォォ!クソガキィィィ!!」
吸血鬼。
そう自分の種族を言ったヘイグの背から蝙蝠のような羽が生え、飛びあげる。
だが、それを悠長に待つ必要などアンにはない。
よって、追いかけてきたのなら逃げるだけ。距離を取りつつ戦う。それが魔法を使う者・・・魔導士の基本戦術だ。
(あの地獄の日々で積み上げたこの力。存分に使ってやる!!)
実を言えば、アンに戦う理由などない。逃げてしまっても良い。
しかし、先程アンの視界の端に捉えた一つの光景。
燃え盛る森。動く『神樹』。空を覆い隠すような飛ぶ大地。
明らかに異常だった。
目の前にいる敵と同じくらいの強さの敵が何人いるかも分からない。他の場所ではもっと酷い戦場があるかもしれない。
だから。
少女は。
敵と対峙する。
倒せてしまったらそれでいい。
しかし、それが叶わないのだとしたら。
せめて、足止めぐらいはしてやる。
他への負担が減らせればそれでいい。
ただ、それだけの為に。
少女は戦う。
初級光魔法 光線=十連。
アンはヘイグから距離を取ると、杖を振った。
するとアンの周囲に拳大の閃光が十個現れ、ヘイグへと放たれた。
これも無詠唱。
どんな技や能力にも必ず熟練度というものが関わってくる。
それは魔法も例外ではない。
詠唱あり杖あり。詠唱あり杖なし。詠唱なし杖あり。詠唱なし杖なし。
と、左から右へ、順に熟練度は大きくなっていく。
通常、詠唱なし杖ありの第三段階まで極めるためには、数年かかると言われている。それを五十日余りで習得したということは、それだけ修行が厳しかったということを物語っている。
そんな無詠唱で放った魔法を、ヘイグは避けようともせず、突き進んだ。
(効いてない・・・ッッ!)
「ヒャヒャヒャヒャヒャ、その程度かァ?」
ヘイグはアンとの距離を近づけながら、右腕を動かす。
アンも一度見た技を食らわぬよう、風魔法で見えない空気の壁をヘイグとの間に創り出す。
しかし。
アンの右のわき腹に衝撃が走り、身体がくの字に折れ曲がる。
一瞬、呼吸が出来なくなる。
骨がミシミシと軋み、口から赤黒い血が出てくる。
意識を失い、魔法の制御が乱れて落下しそうになる。それでも何とか持ちこたえて、再び立ち向かう。
(とにかくアイツの攻撃方法がなにかわからないと対処のしようがない。見極めないと、アイツがなにをしているか見極めないと。とりあえず魔法かスキルかは置いておくとして、属性かな。目に見えないってことは空気を操る風系?それとも力の法則を操る力系?いや、速すぎて見えないってことも・・・。)
大前提として、この世界の全ての魔法やスキルは十二属性に振り分けられる。
例えば、ルーミの「創造力」なら土属性。「神の瞳」なら命属性といったところだ。
そして、それが分かったのならば対処しやすくなるのだ。
光属性だったら水属性で反射や屈折、雷属性だったら風属性で雷の通り道を遮るなどの。
「ヒャヒャヒャヒャ、考えゴトでもしてンのカァ~?ヒャヒャヒャ!」
聞いた者全てに不快感を与えるような声。
それに気が付いた時には、アンとヘイグの間の距離は格段に短くなっていた。ヘイグがアンに拳を当てられるほどに。その証拠にヘイグは、現に今、右腕を振るっていた。
しかし、ヘイグの接近に気づかないアンではない。
そして、あの地獄の日々で遠距離中距離の戦闘方法のみを修行しただけなはずがない。
ヘイグの振り切った右腕を止めたのは、兄のように、〝闇〟ではなく〝光〟で、杖を覆うようにして作り上げた、一振りの刀。しかも、身長の半分の杖を覆ったので、兄よりも大きい、光の太刀。
さらに、アンはヘイグの右腕を止めるだけではなく、はじき返した。
人間のアンが、吸血鬼であるヘイグを、だ。
現在アンは身体強化の魔法を自らにかけている。
何故なら、魔物の巣窟『魔の大森林』で二十日間過ごし続けた。何時襲われてもおかしくないその森で。故に、どんな時でも身を守れるように、自分自身に一日中身体強化の魔法をかけ続けた。
その結果、アンは、常に身体強化の魔法を使えるほど魔力回復量が上がり、常時身体強化人間として生活することが可能になった。
そしてアンは、ガラ空きとなったヘイグの胴に光の太刀を放った。
ヘイグの胸から肩にかけて太刀が切り裂き、ヘイグの血が返り血としてアンの右腕にかかった。
しかし、体が切られてなお、ヘイグはおぞましい笑みを浮かべたままだった。
その様子に、アンは途轍もない嫌悪感と、得体のしれない危機感を覚えた。
そしてその瞬間。
バキバキバキィッッッ‼‼‼
アンの思考は、一瞬で真っ白になった。
そして思考の利かなくなった体は、落下を始める。
アンは何とも変わった空間に立っていた。
(体がフワフワする。ケムリみたい。それにしても・・・なんでこんなところにいるんだろう?)
アンは辺りを見回す。
その場所は一面真っ白。
そして白い綿のようなものがフワフワと漂いながら集まったり分かれたりを繰り返していた。
自分の身体より大きい綿のようなものがあれば、拳より小さい大きさの綿もある。
そして気づく。
(そうか・・・私、死んじゃったんだ。・・・みんな、大丈夫かなあ?)
アンの脳裏に兄と弟、そして友の顔が映る。
みんなで泣いたこと。みんなでケンカしたこと。みんなで笑ったこと。
あの時は辛かったなでも楽しかったな、とか。あの時の料理はおいしかったな、とか。
そんなことを思い浮かべているうちに、笑いあう両親の姿を思い出した。今は亡き両親の。
(ははは・・・。ここは、涙も出ないんだなあ。そうだ!お父さんとお母さんに会えるのかなあ・・・。)
無理矢理に心を嬉しい方向へと変えようとするが、悲しさがとどめなく溢れ出してくる。
そんなとき。
「アン!」
誰かに声をかけられた。
声のした方向を見てみると、そこには父や母ではなく。
ルーミやユーズ、フィスィノシア、イリス、カーリー、シドラ、オルシオ、シヴァ。
今を生きる者たちがいた。
「アン、大丈夫だ。俺達がいる。だから、行ってこい!!」
生きる者たちは、みんな、笑っていた。
「うんっ!!」
ここにきて、アンの瞳から涙が流れた。
落下の最中、アンは覚醒した。
アンの身体は、アン自身が落下していることに気づく前に、動いていた。
地面とアンの間に風魔法を使い、爆発的に上昇気流を発生させた。それにより、アンの身体は一瞬浮き、地面への激突は回避された。
そしてアンはあることに気づく。いや、脳が信号を受信したと言うべきか。
右腕から激しい痛みが発せられる。
見ると、アンの右腕は腫れあがっており、青紫色に変わっていた。完全に折れていた。
見なければよかった。痛みがより現実のものへと変わる。
夜の森に絶叫が響き渡る。
少女の苦しむ姿を見て、上空に浮かんでいる男は、
「ヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!そうだァ!それでいいンだァ!!アヒャヒャヒャヒャヒャ!!」
少女の絶叫が止まる。
「・・・ぅ・・・く、ぅ・・・わ、かった。アン、タの、能力。」
痛みながらも。苦しみながらも。
見なければもっと痛みが和らいだかもしれないことも。
だけど。
それでも。
得られたものは確かにあった。
「ア、ンタ、の、能、力は、血を、衝撃に、変えるチカ、ラ。もしく、は、血を介、して、衝撃を、放つ、チカラ。」
そう。右腕の傷は、ヘイグの返り血を浴びたところしかなかった。
息を整えながらアンは話し続ける。
「最初、吹き、飛ばされた、時は、完全な、不意打ちだった。その時、でしょ?お腹と横の、お腹に血を付けたのは。おかしい、と、思ってた。だって、『風壁』を張ってたのに、その内側の私に当たるなんて。アンタの能力は、血が付けば、いつでも、どこからでも、血の付いた場所から衝撃を放つチカラ。」
そこまで聞いて、
「ヒャヒャヒャヒャヒャ、それで?だから?なンだって言うンだァ?」
ヘイグは自らの手首を爪で切り裂き、そこから流れる血を目下めがけてばら撒いた。
その血はまるで雨のように降り注ぎ、そのうちの一滴が右腕を庇いながら避けるアンの左ふくらはぎに落ちた。
「あああああァァァぁぁぁああああああああああああああああああ!!!」
アンは倒れ込み、それを見たヘイグは高笑いをする。
「・・・ぅう・・・く・・・私、の、戦いは、無駄じゃない。」
「なァに言ッてンだァ?オマエはよォ!」
傷だらけになりながら、ボロボロになっても。
「私は、信じてる。」
『あれ』は夢だったのかもしれない。
「あァ?誰をだァ?英雄サマかァ?それとも親かァ?」
親はもういない。
だけど。
だけど。
だけど。
「私には・・・。私には・・・っ!」
家族が。
友が。
その時だった。
突如として突風が吹いた。
親の死という誰しもが通る道を乗り越えた少女は、目にした。
その姿を。
「仲間がいるんですッッ!!!」
アンを守るようにして立つ。
イリスという友であり、仲間の姿を。
早くも第二回!
『ルーミって実はこんなヤツ~!』
ボーっとしている時は大体「走馬灯」でアニメとか見ていて、傍から見ると一人でにやけていて気持ち悪い。
お読みいただきありがとうございました!




